(前回からの続き)
前回、日本以外の外国の多くが、財政資金を「税金」ではなく、国債を発行して金融市場から調達する、つまり「借金」で賄っている、と書きました。で、その諸外国が抱える借金には次の2つの特徴があると思っています。1つ目は、(他国の投資家やIMFなどの国際機関を含む)よその国から借り受けたお金であるということ。そして2つ目は、その国の国力ではとうてい返済しきれないほどの金額に膨れ上がっているということ。
このあたりで真っ先に挙げられる国がギリシャでしょう。ご承知のとおり、2010年前後の欧州国債危機に見舞われたギリシャは現在、対GDP比174.7%(2013年:世界ワースト2位!)にも達する巨額債務を抱えています。同国の政府債務の総額は3000億ユーロをゆうに上回る規模ですが、その8割以上が「よその国」つまりEUとかIMF、そして欧州他国の投資家などからの「借金」です。ということは理屈上、ギリシャ国民はこの先、一生懸命働いて税金を納めるとともに、政府はその歳入の多くを借金相手への返済や利払いに充てなければならないことになるわけですが、はたしてギリシャにそんなことができるのでしょうか・・・。
先日、日経新聞に載ったフィナンシャルタイムズの記事にこんなことが書いてありました。ギリシャの経済学者が示したデータによると、ギリシャ280万世帯のうち、何と!230万世帯が「税金」を滞納しているとのことです。いくら失業率が高い(2013年の若年層失業率は60%を超え、直近[1月]の失業率は26.7%だそうです)とはいえ、これほど多くの国民がマトモに税金を払っていないなんて、どう見てもマトモな国家とはいえません。そんな国に数千億ユーロもの「よその国」から借りたお金を返せるわけがないし、(おそらくは)ギリシャ国民にも返済する気なんてないのでしょう・・・。
このギリシャをはじめとする欧州PIIGS諸国は、上で述べた「よその国」から身の丈を超えるほどの巨額の借金をした国の典型例です。当然ですが(?)、各国はお金が足りなくなったら増税してお金を集めようとはせず、また借金を重ねるのでしょう。だって増税は国民の抵抗が予想されるので実現はとてもたいへんだし、それにいまはけっこう楽に借金できる(資金調達金利が低い)わけだから・・・。
ところで、2位のギリシャをおさえ、政府債務の対GDP比率で堂々世界ワースト1位となっているのは、ご存じのとおり、わが国です(2013年:243%!)。でも日本は上記の「借金」の定義にあてはまりません。「よその国」にほとんど頼ることなく自国民からお金を借りることができているということです。このあたりは「ホーム・イシュー」などとよく言われるように、同じ家庭のプアーなお父さんがリッチなお母さんからお金を借りるようなもの。いくらお父さん(=政府)の借金が多くてもお母さん(=国民)がお金を貸すゆとりがあるため、その家庭(=日本国)としては他の家庭(=外国)から借金する必要がない、というようなことです。
(続く)
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