(前回からの続き)
日本国債の保有者のほとんどが、わたしたち。そのとおりで、2018年度第1四半期の日銀資金循環統計によれば、わが国の場合、国債保有者のほぼ9割が日本国民となっています(2018年3月末時点の外国人の同保有割合:10.9%から)。ということは・・・インフレ(名目金利-インフレ率<0[実質の利回りがマイナス]が継続する事態)になったとき、債務者である日本政府はその実質負担が軽減されてありがたいけれど、いっぽうで債権者(日本国債保有者)である国民はその実質価値の現象に苦しめられることになるわけです。
このあたりが日本において「アベノミクス」(本稿の文脈に沿っていえばインフレ年率2%達成を目指すもの)のようなインフレターゲット政策が適切とは言えないことの大きな理由のひとつと考えています。いくら上記のように政府の「負債」を減らしてこれを助けても、肝心の国民の「資産」(≒日本国債≒預貯金)の実質価値をこうして目減りさせてしまったら、意味がないでしょうに・・・
・・・って「だからこそアベノミクスは国民にインフレ以上の利回りが望める株等への投資を促しているのだ~!」ということなのでしょうが、株はしょせんはゼロサム、つまり理屈上、利益を得る人もいれば、同じく損をする人もいる、いわばカジノ!のような面があって、これを国家が国民に対して貯蓄(≒国債買い)以上に推奨するのは、いかがなものかと思います。では外国の国債はどうか、ですがこれ、後述するように、株よりもさらにリターンを得るのは難しいはず・・・(?)
といったように、上記観点からも、わが国では不適切な印象の強い(?)インフレ政策ですが、外国にとっては・・・じつはメリットがあるところが少なくないといえるでしょう。というもの、これら諸国にとっては、その政府債務の債権者(国債ホルダー)の相当数がヨソの国の人々だからです。つまり、自国政府の債務負担を軽くするため、当該国の中銀がインフレ策を展開して実質金利をマイナスに誘導すれば、その国債の実質価値もまた下がってしまうが、これら保有者の多くが外国人ならば、損をするのは彼ら彼女らだからべつに遠慮はいらない、みたいな感じ。だったら、そりゃ~自国政府を救済する意図の上記策が優先的に採用されるはずですよ、外国から借金している状態は国家安保上、非常に危険ですからね・・・
以上がインフレ(マイナス金利)政策の本来の狙い(?)になりますが、はっきりとこんなこと―――債務者(政府)を助けるために債権者に損を負わせること―――をノーブルな(?)欧米中銀の幹部や経済学者らは露骨に口にはできません。だからこそ、これを「リフレーション」だの「インフレターゲット」だの、経済や景気に良さげに(?)聞こえるカッコイイ表現に言い換えている、というわけ(?)。
これに見事に引っかかり(?)、よりによって国債保有者の大半が自国民のわが国にこれを適用しよう!というのがアベノミクス、という次第です・・・って、そうした米英流経済学を盲信するから、こうなっちゃうんだよね・・・(?)