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【英国の不透明感は消えない】スコットランド独立!?であぶり出された大銀行の危険な政府依存体質④

2014-09-21 00:01:20 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 18日の住民投票の結果、スコットランド英国からの分離独立は否決され、同地域の英国残留が決定しましたこちらの記事にも書きましたが、いまのスコットランドにとってはそれが現実的な道だし、スコットランド、イングランド、ウェールズ、北アイルランドの4地域がひとつの「英国」としてやっていくことがすべての英国民にとっても望ましい方向性だと思います。

 しかし、スコットランドが英国に留まることが決まったからといって、英国、そしてポンドに対する将来の不透明感はぬぐえません。その大きな理由のひとつが、本稿でこれまで綴ってきたようなRBS(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)に代表される英銀の不良債権問題です。

 世界的に資産バブルが膨張しているなかで、バブル崩壊にともなう強烈な資産デフレへの恐怖感がジワジワと高まっています近いうちにそれが現実となり、バブル形成に関与してきた英国の銀行の多くが債務超過に陥ることで金融危機が発生するだろうという悲観的な予想を立てています。

 で、そのとき、彼ら英銀は「助けてくれ~。われわれはTBTFToo Big to Fail(大きすぎてつぶせない銀行)だぞ!」と救済を求めます。そんな彼らを苦々しく思いながらも英国政府は公的資金を各行に投入せざるを得ません。ですが、英国は財政赤字国であるとともに、アメリカに次ぐ世界ワースト2位の経常赤字国・・・。ということは、その際におカネを集めようとして国債を大量に発行すると、国債価格の急落および長期金利の急騰が引き起こされ、英国経済は存亡の淵に立たされてしまう・・・。

 したがってこのとき英国政府にできることはただひとつだけ。それは英国債のイングランド銀行(BOE)による直接引き受けです。これによって、必要な資金を手にするために政府が英国債をいくら振り出しても、その価格は高値で安定し、長期金利の上昇を食い止めることができます。「身びいき」が過ぎる(?)感じがする格付会社も「金融当局による適切な対応が期待できる」などという?な理由で、英国のソブリン格付をAAAなどの高位に維持するでしょう。その本音は格付を実態以上に高く見せることで英国を助けたい―――英国債の価格下落・金利上昇を食い止めたいから。

 その反作用として、ポンドの価値と信認はどんどん失われていくでしょう。ポンドがドルや円などの他の通貨に対して安くなっていくということです。まあBOEがじゃんじゃんポンドを刷っていくわけですから当然といえば当然の現象です。これによって英国民の多くは通貨安インフレに苦しめられることになるでしょう。もっとも世界主要各国、とくに基軸通貨国アメリカは今後も引き続きドルを散布し続けていくしかなさそう(!?)なので、ポンドだけが独歩安になるという事態にはならないかもしれませんが(そのときはアメリカ、イギリス、そしてわが国を含む世界中の国々が通貨の過剰発行がもたらすインフレに悩まされることになる[いまもそうだけど])・・・。

続く

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