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【ポンドで何を買う?】スコットランド独立!?であぶり出された大銀行の危険な政府依存体質⑤

2014-09-23 00:01:53 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 スコットランドの住民に英国からの分離独立を思い止まらせた大きな要因は、独立によって通貨ポンドが使えなくなるおそれにあったことは間違いないでしょう。

 ですが、前回までに書いたように、慢性的な経常赤字を埋め合わせるため、そして近いうちに(?)不可避的に襲ってくる金融危機に対処するため、英国はポンド札を大量に刷るしかないはず。それによってポンドの価値と信認は下落し、結果としてインフレが激しくなり、大半の英国民(スコットランド住民を含む)は貧しくなっていかざるを得ないのではないでしょうか。

 そもそも、「ポンド」という通貨にどれほどの魅力があるのでしょう。ドルならばまあ分かります。ドル基軸通貨石油引換券ですから、わが国を含む世界中の国々が外貨準備としてドルあるいは米国債を保有しようとするのは自然です(もっとも最近はドル以外の通貨で石油や天然ガスの取引が行われるケースもあるから、ドルが唯一の石油引換券の地位を今後も保っていくのかどうかは分かりませんが・・・)。

 一方、ポンドはなどと同じくハードカレンシー(国際決済通貨)ではあるものの、基軸通貨ではありません。それでダイレクトに石油等が買えるわけではない。となるとポンドを持つインセンティブは、純粋に英国がもたらしてくれる何らかの価値と交換できるから、ということになるわけですが・・・。

 有名ブランドの皮革製品、スコッチウイスキー、キルトの衣類などなど・・・たしかに一部の英国製品は魅力的です。でもこれらだけで日本円で兆円単位の価値を生み出すなんて絶対に無理。となるとポンドとリンクする価値のあるものは・・・やや極端ですが、個人的には2つだけだと思っています。1つ目はロンドンの不動産、そして2つ目は資源株・・・。

 別な言い方をすれば、これら以外にポンドで買いたいものなんてほとんどない。つまり―――大多数の人々は衣類や雑貨等の日用品は中国製を、車や電子機器等は日本製やドイツ製を買うかもしれないが、メイド・イン・U.K.(United Kingdam:英国)は買わない、正確には買えるものがない、ということです。それは外国人のみならず、ほかならぬ英国民にとっても同じだから、彼ら彼女らは必然的に外国製品の輸入にどっぷり依存するようになってしまう。でもそれに見合うだけの輸出品がないから英国の経常収支は慢性的な赤字状態に・・・(英国はモノ作りの能力、競争力、基盤をとっくの昔に失っている)。

 で、そんな危うい国の通貨・ポンドの価値をかろうじて(?)支える上記2つの価値:ロンドンの不動産と資源株ですが、この先は何とも不透明。不動産バブルがいつまでも続くわけがないし、資源バブルも頼みの大需要家・中国がさまざまな面でアヤシクなってきたからです。いまがピーク?のこの両者の価値が崩落したら、栄華を誇った英銀とポンドは、もはや・・・。

 ・・・なんてシビアな将来が英国を待ち受けているような気がしてなりません。そのとき、ポンドの力を信じて英国残留を決めたスコットランド住民は何を思う・・・?

(「スコットランド独立!?であぶり出された大銀行の危険な政府依存体質」おわり)


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