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【中国、ドルに代わって売れない金を中銀B/Sに積み上げ、身動き取れずに…】中国人の金買いが教えてくれること④

2021-06-25 00:58:35 | 金(ゴールド)
前回からの続き)

 前述のように、米ドル米国債に基づく通貨・金融システムを構築している中国にとって、ドルのとめどもない劣化(インフレ・実質マイナス金利状態)によるダメージは、理論上は、大量にかき集めているはずの(?)(ゴールド)の価値で埋め合わせればよい、ということになります・・・が、実際にはそううまくはいかないでしょう。たしかに、それによって、見た目の上記システム、すなわち中国人民銀行の資産勘定は、ドル減額前のスケールを保ち、その負債に当たる「人民元」もまた減ったドル価値と同等かそれ以上の金の価値で裏打ちされた通貨としての信認を維持するように思えます。しかし、それはあくまでも人民元が本当に所定量の金と交換が可能になってはじめていえることです・・・が、先述のとおり中国の人々には数千年の昔から変わらぬ金への絶対的なまでの信頼があるなか、人民銀が市中の人民元を回収等するために自身が保有する金を放出するようになったら、どうなるか、は自明です。こうして結局、中国当局は金を手放せなくなってしまう・・・ために、人民元もまた金との交換が不可能な通貨(せいぜい金以外の資産・・・ってまたもやドル(?)とだけ交換可能な通貨)としての価値しか認められないでしょう・・・

 ご存じのように、現在の中央銀行は、自身の資産(おもに国債)の売買を通じて金利や通貨量を調整することで物価や金融システムの安定を図っていますから、その資産は売り買いともに随時かつ極端な値動きがなく市場との取引が成立するものである必要があります。その資産に金を充てようというのは・・・まあ理屈の上ではあり得るでしょうが、現実には、ことに厚い金信奉がある中国のような国にはほぼ不可能。なぜなら、上記取引が成り立たない・・・って具体的には、金を売って人民元を得た側は、同じ量の金を買い戻すにはまず例外なく得たときよりもずっと多くの人民元を支払わなくてはならなくなるからです。これを人民銀(中銀)からみれば、こちらの記事でも書いたように、金融緩和(金を市中から買い上げて人民元を放出)はできても金融引き締め(金を市中に売却して人民元を回収)はできないことを意味するわけで、であれば金は、少なくとも人民銀の金融政策に用いる資産にはなり得ないでしょう・・・

 もちろん、だからといって金準備を増強することが無意味とはいいません。金は「不変かつ普遍的な価値を持つ通貨」(東方新報)だから、万一の際の外国に対する支払い等に充てるべき通貨になるためです。よって金を多く持つに越したことはないでしょう。けれど、国家の根幹(通貨・金融システム)をドル資産にしてしまい、かつその急激な劣化の脅威に直面する中国は、否応なく、その劣化分を金で充当するしかないために、結果として、使えない(手放せない)金を中銀B/Sに積み上げて、自らを縛ることになって―――金融緩和ばかりで引き締めがし難くなって―――インフレを防ぐことができなくなるのではないか・・・

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