Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

ゴチなら豪遊、という発想の新駅計画

2023-10-04 21:43:20 | 交通
ネットのポータルなどで識者のような顔をして鉄道マンセーというヲタの戯言を書き散らかすケースが散見されますが、ヲタ受けが良くてPVが稼げるとはいえその程度のレベルの文章を垂れ流すのはどうなのか。ニュース配信の対価が低すぎるとか公取でも問題になっているせいか、話題物のような顔をして連載漫画の紹介だったり(しかも数ヶ月ピッチで「再放送」されることも少なくない)、相談記事のように見せかけてあからさまな金融商品やネットショッピングの紹介という、10月から無表示では禁止されているステマとしか思えないような記事で埋めているような状態ですから、PVが稼げてオリジナルの記事ということでこの程度のレベルでも世に出るんでしょう。
中には「二つ名」を持って活動している人もいるようですが、それと目されている人がJR北海道による日ハム新球場新駅の建設を批判しています。そこに事業者無謬が寄ってたかって批判しているから世紀末の阿鼻叫喚の様相ですが、本件はJRが批判されて当然という話です。

北広島市に開業したエスコンフィールドは千歳線の線路沿いにありながら最寄りの北広島駅との間に微妙な距離を残した格好で、エスコン界隈に新駅をつくる、という話になるのは至極自然です。バッファーエリアを設けるとかしったかで北広島駅でいいんだという人はあの距離を見て話をしたらいいのに、という世界で、実際シャトルバスが設定されていますからね。健常者、若者だけが訪れるんじゃないんですし。地形も影響してけっこう骨ですから、新駅を、という流れは自然です。

ところがこれがこじれたわけです。なんでまた、と思えばそりゃ当然という話で、通過線に引上線と欲しいものぜんぶ織り込みました、というような計画になったからです。それで費用は自治体におねだり、ですからそりゃこじれます。
ダイヤ編成を楽にするとか、エスコン輸送とは無関係の目的の工事が堂々と入ってるんですから。
しかもちょうどカーブになっているところに作る、ということで、さらなるコストアップ要因もかましてくるわけで、作る気が無いから吹っ掛けているのでは、とも言いたくなるような計画です。

この駅は何が目的か、といえばエスコンに行く人の乗降です。「最寄り駅」が出来ることでクルマからのシフトも当然あるでしょうが、家の最寄りはということもあるでしょうから、転移は限定的、というか電車で来る人は既に電車で来ています。その意味では「釣った魚」でありエサをやっても収入は増えないと考えているから、ダイヤ編成に資する、という別目的もセットにしよう、と思ったんでしょう。

常識的に考えて、ホームがあればそれで事足ります。待避線や引上線もいりません。カーブが問題なら前後に直線区間があります。ホームの設置、通路と改札口の設置、それだけでなんで125億円になるのか。工事を見直して85億円でもまだ多いでしょう。
単純に考えましょう。普通と快速の全列車を停車させればいいんです。快速は日ハムの試合のような大量動員があるとき以外は通過でもいいですが、妙に時間差が付くと「待避線ガー」となってしまいます。

確かに1駅停車、しかも乗降が多い、ではこれまでの退避駅まで逃げきれない可能性がありますが、快速も停めて並行化します。さらに単純に考えて特急も含めてスジを寝かせればいいんです。だいたい1分1秒を争うような経営環境じゃないでしょう。気動車特急の高速化を断念してデチューンモデルの261系に置き換えたんですからね。10分レベルの所要時間延で良しとしたのに、今更数分をどうのという話ではありません。

特急から貨物まで、と過密ダイヤを主張しますが、スジが全体的に寝ることで速度差がある貨物列車との差も小さくなる、つまり平行に近くなるのですからかえってダイヤ編成は楽になります。退避駅を増やさなくてもまかなえます。
2面2線の相対式ホームだけでなぜできないのか。実に不思議です。大量の人が集まるケースでは、上下線ともイベント前に降車、イベント後に乗車のワンウェイですから乗降時の錯綜もありません。

まあ建設にかかる積算が出来なくなっているという見立てもあるのでしょうが、自治体持ちだから吹っ掛ける、という体質が疑われますね。かつて宗谷線で駅の維持管理費用を自治体に負担してもらおうとして提示した計算が「間違っていた」ことがありましたが、自治体に積算などできないだろうと高を括っていたんでしょう。気が付かなければ「ぼったくり」で税金を支出してことになっていたわけで、もっと指弾されて然るべき事態ですが、有耶無耶になっています。そうでないにしても、他人の財布で飯が食えるとなったとたん特上寿司やフルコースを注文するような話です。自治体側はのり弁ではさすがに拙いから松花堂くらいは出さないと、と思っていたところにですから、そりゃ反発します。

引上線にしても、現在北広島折り返しは無いわけです。それで捌いているんです。身の丈に合った輸送でいいんですよ。
あるいは増発をするにしても、新駅で折り返す必要はありません。列車走行キロは増えますが、別の駅で折り返せばいい話です。それこそその記事でも指摘してましたが、阪神電車が甲子園輸送で甲子園駅だけでなく、石屋川の出庫や青木の引き上げ線を使っていると指摘していましたよね。2つ先の島松は活用できないのか。退避で使っているケースもありますが、上下共用の副本線があり折り返しは可能です。あるいはホームが無い方の副本線を渡り線を設けて活用する、という手もありますよね。

試合終了時間が不明だから長時間待機が必要、というつもりでしょうが、原計画だって待機させて1本ですから。甲子園輸送では西宮、青木、石屋川と当該時間帯に使用しない引上線(車庫)を使って待機させていますが、本気でやるなら1本では全然足りません。だから北広島以遠で折り返しが可能であれば対応できるはずです。単純折り返しでの対応でしょうから。しかも現状では不要です。

あるいは夜半の札幌方面行きですから、快速「エアポート」の増発でもいいんです。毎時3本の設定ですが新千歳から立客を出しているわけで、だったら毎時4本にするだけの恒久的需要はあるし、現状でもエスコン輸送対応をしている快速に余力を与えられます。そうですよ、現在は快速が北広島に停車してエスコン対応をしているのになんで通過する必要があるのか。通常は通過す売る特快も臨停していますからね。

ちなみにUシートも登場当初は310円とお値打ち感があって直前だと満席という人気でしたが、840円となって今回初めて見ましたが、立客がいるなか空席を残している列車も少なくなく、6連縛りのある快速の貴重な資源を空費しています。だから普通車はロングシートで誘導を図っているようにも見えますね。それはともかく、王道の増発でしょう。夜半に空路はるばる到着して札幌までたたされる、というのでは、北海道の印象も悪くなります。

直線区間に簡素な相対式ホームの駅、快速の増発、島松での折り返しといったメニューを組み合わせれば、85億もかからないでしょう。


銀座4丁目か数寄屋橋で起こったようなもの

2023-10-04 21:41:29 | 時事
バンコクの中心街で銃乱射事件があり、中国人とミャンマー人の2人が死亡しています。
まさに中心であるサイアムの駅を囲んで立ち並ぶ商業施設の一角でそのなかでひときわ目立つ百貨店であるサイアムパラゴンが事件現場ですが、まあこれだけの犠牲、被害で済んだだけラッキーとしか言いようがありません。

事件発生が平日の夕方前ということも幸いしたんでしょうね。17時を回れば会社帰りで立ち寄る人が増えますから。夕方から日没になって気温が下がると人出が増えるという熱帯特有の事情もあり、まだ日も高い16時半頃は少なかったのかもしれません。
また土日であればこの時間帯でも人出は多いわけで、在留邦人を中心に日本人も多く訪れますから、日本人が巻き込まれていた可能性もありました。

タイでは昨年東北地方北部の託児所で子供を中心に36人が殺害されたタイ最悪の乱射事件があり、その前も3年くらい前に東北地方の中心都市ナコンラチャシーマのモールで現役陸軍兵士が乱射して30人が殺害されている事件が起きています。特にモールで起きた3年前の事件を思えば、2桁の死者が出てもおかしくなかったのです。

長期出張時などそれなりに行っていた場所だけに、見慣れた場所で逃げ惑う群衆、という画像を見ると背筋が凍ります。



正しい交通モードの選択を阻害するトンデモ転換

2023-10-04 21:40:11 | 交通
赤字ローカル線のバス転換は、適材適所という当たり前の流れであり、また二次交通でもある地域のバスとの喰い合いを防ぐという意味でも進めるべき事項ですが、いろいろ理由を並び立てて否定する向きが後を絶ちません。運転手不足の問題にしても、じゃあ鉄道だったら集まるかというとさにあらずで、福井鉄道が大幅な減便に踏み切りましたし、大都市圏、大手私鉄でも南海が閑散線区で減便と、大型二種という汎用性のある資格でなく流動性も低いですから、採用して一から育成が必要なだけに余計に深刻な状態です。

そしてJRの赤字ローカル線で顕著に出ていますが、特に災害による設備損壊の復旧が出来ない、という問題があります。
いやいや、設備が事業者持ちだから問題になるのであって、道路のように公共財とすれば無問題、というお花畑が無数に湧いてきますが、その維持コストは税金が原資です。しかもクルマにだけ課される財源がメインです。それを事業者の都合で利用時間帯が限られる鉄道に割けるのか。公共がいくら利便性向上を訴えても塩対応の事業者に税金を投入する理由と妥当性が知りたいです。

そして災害だけでなく日常のメンテナンスにも事欠く状態であるわけです。弘南鉄道は線路の状況に異常が発見され突然全面運休に追い込まれていますが、かつては脱線事故を起こした銚子電鉄とか、メンテナンスではないですが保安装置の未導入が原因の正面衝突で事業者が事実上変わった京福(現えちぜん鉄道)とか、ランニングコストも賄えないようなレベルの収支で事業を継続できるのか、という疑念を強く感じます。

もちろん公共交通に独立採算を徹底させることは不可能ですしそれはしてはいけないのですが、過剰な交通モードで税金の支出が嵩むことは許されません。公共の支出は交通だけでなく、社会保障、福祉、教育、インフラとあらゆる分野に及ぶわけで、鉄道が望ましくてもバスで我慢する、ということが求められるのです。そしてそれは国が出せば、というのも話にならないわけで、国もまた巨額の借金をしているわけです。道路のような公共インフラであれば、負債見合いの資産があると胸を張って言えますが、鉄道はそこまでの公共性はないですし、いわんやランニングコストとなれば資産にもならない垂れ流しであり、過剰な交通モードによる支出増は他のジャンルへの支出、投資を阻害すると言う意味でも百害あって一利なしです。

ところがバス転換が下手というか、「ほらみたことか」と言われる隙を与えかねない転換例が後を絶ちません。
その典型が、路線の大半がバス転換された日高線のダイヤで、どこがどうしてこうなったのか、という感じですが、日高線の終点となった鵡川から南下する始発は9時59分発の静内行きまでありません。このバスは苫小牧から直通していますが、8時55分発となんとも遅いです。さすがにその先は浦河、様似と拠点で乗り継いで広尾まで行けますが、庶野からは最終バスなので広尾に抜ける際に襟裳岬には寄れません。

札幌8時の「ペガサス号」が事実上の始発ですが、クローズドドアで乗車は輪厚まで、鵡川から先は乗れません、というか8時の便は10月から多客期運行になっています。「ペガサス号」の2便というか定期便初便は札幌10時20分発で日高エリアは午後の到着です。ですから日高の入口である苫小牧に泊っても意味がないどころか、日高に行くにはレンタカーを使わない限り1日仕事です。あるいは午後の半日仕事です。しかも浦河だと札幌21時過ぎの特急で帯広に泊って広尾回りの方が早く着きますから。
まあ短縮後の日高線も苫小牧5時42分、7時51分、10時31分と散々なダイヤですが、鵡川まで行くと7時51分発でもバスの初便よりは1時間半早いわけで、「接続が無い」状態です。

上り方向はこんないびつなダイヤではないので、どうしてここまで使えないダイヤにしたのか。バス転換でこんなことをしているから鉄道廃止はイクナイ、というお花畑がのさばるんですよ。襟裳岬という北海道を代表する観光地があり、用務利用でも日高管内に産業が無いということはないでしょう。冬場はどうするのか、という問題もありますし。

まあこのエリアは昔から難物で、国鉄時代に北海道ワイドで旅行した際、8月号の時刻表に「8月改正予定」としか出さず、時刻表に掲載されている旧ダイヤでは様似で朝の急行「えりも」崩れの普通から国鉄バスが「お見送り」ダイヤでした。時刻表を信じたら広尾線経由で帯広に抜けようとすると散々待って襟裳岬には寄れないダイヤでしたから。実際には接続になっていて、さらにもう1本あって襟裳岬に寄って広尾線に乗れましたが、ネットもない当時、まさに賭けでした。夏以外は乗るなと言わんばかりのダイヤだったわけで、そのDNAは令和になっても残っているのかもしれません。



時間を貴ばず、計算もできないまさに「ゆとり」の施策

2023-10-04 21:36:32 | 交通
名古屋市がエスカレーターの片乗りを禁止する条例を施行しました。埼玉県に次いで2例目ですが、またぞろ算数が出来ない人が湧いてきています。あるいは実態が見えていない人も。

必死になって両側立ちの方が処理能力が高い、と言っていますが、どういう計算なんでしょうね。半分が歩く前提で、両側立ちなら総輸送人数の半分の数の列になって立って運ばれていきますが、半分が歩けば当然片側の半数は立って運ばれるよりも早く通過します。もちろん全員が立って行きたい場合は両側立ちの2倍の時間がかかりますが、そういうケースはレアケースでしょう。

混雑する都心の駅で何かの拍子に両側立ちになってしまっているとてきめんにホーム上が滞留するのも、両側立ちの処理能力が低い証左なんですが、両側立ちを主張する人は計算能力もさることながらそういう現実すら見えないようです。

というか、今回ネットで見かけた記事もある意味まやかしですからね。全員を処理する時間が両側立ちの方が早かった、とさも片側立ちの処理能力が低いように印象操作を図っていますが、評価すべきは全員を処理し終える時間でないですからね。各人の通過時間の総和です。片側開けであくまで立ちたい人の最後が移動し終わる時間に意味はありません。時間の経過とそれで通過した人数の総和ですよ。これで測らないと、ホーム上になぜ滞留するのか、ということが理解できていないことになります。

なお、その計算で見れば、降車客の一定割合が通過できる時間が両側立ちの方が長くなるのは間違いないところです。
そうなるとエスカレーターしかない駅では乗り換えにかかる時間の見積もりを従来より長くとらないと乗り継げない人が多くなります。そうなると乗り継ぎを介した所要時間は増加し、総移動時間が伸びる、という悪循環になります。
道路交通で警察がとにかくスピードを上げなければ事故は減る、と思い込んでいるように、それで失われる時間という価値の評価が全くないことによる社会的損失はどうなのか。

時間は貴賤を問わず誰もが公平に費消されます。それを勝手に無駄にさせられるというのは、その一瞬、一回は短いとしても、長い目できたらどうなのか。限られた人生のなかで、こんなバカな論理で時間を無駄にさせられることは耐えられないものがあります。時間を大事にしないで無駄に費消してもかまわない、計算もできない。まさに「ゆとり」の政策でしょう。急速に劣化している社会も「ゆとり」が社会を蝕んだなれの果てと言えます。