Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

正直者を貶める記事と事業者

2023-10-16 22:49:57 | 交通
ネットの記事にJR東日本の普通列車グリーン車で「ただ乗り」が横行しているというものがありましたが、なんか無用なレッテルやトラブルを招きかねない記事です。

赤ランプ点灯のまま下車した、ただ乗りだ、という話ですが、紙のグリーン券で乗車したら、アテンダントが確認して表示を操作するまでは赤ランプということを忘れています。また車内料金でいいからと座っている人も当然いるわけで、総武快速線でも気前よく払っている人はそれなりにいます。

制度変更までは事前にグリーン券を購入している人が優先でしたが、車内料金の導入によりそのルールは廃止されており、完全な先着順になっています。また、沼津直通列車ではシステム上ICカードでのグリーン券発券が不可能であり、特に函南、三島、沼津からの乗車においては紙券の発行を受けるしかありません。逆向きでは熱海まで購入してアテンダントに申し出るとい手がありますが(これにより熱海発車後も緑のまま)、料金が変わるケースでの対応が出来るのかどうか。

また表面上は無札でも、上記のように払う気マンマンの人もいますし、またダイヤの関係で事前購入が事実上無理という阿漕なケースもあります。特に系統分断を専らとする乗り換えで1分連絡だと絶対に買えません。JR側は乗り換え時間が無くて買えなかったというのは理由にならないと明示しており、車内料金を取ろうとするセコい手口にも見えます。

一方でモバイルSuicaでの購入は車内からでも可能なため、座れたら払い、座れなかったら退去、というのはまだかわいい方で、あわよくばを狙ってアテンダントが来たら購入、というのが横行しています。本来「ただ乗り」はこちらであり、車内購入を許した時点で制度が矛盾を引き起こしています。さらにアテンダントが来るまでの区間を切り捨てることで50㎞以内に抑えるということも当然あるでしょう。これもあわよくば数百円ケチろうとする姿勢ですが、絶対にあるはずです。

今回の記事もライターが問題意識をもって書いたとは到底思えないわけで、ステマ的な匂いを感じます。そうであってもそうでなくても問題なのが、「赤ランプ」を強調したことで、正当に料金を事前に支払った乗客をdisったわけです。さらに周囲から「あの人不正乗車だ」と濡れ衣を着せられる可能性があります。正義の行使に快感を得るネット民の中にはお節介にも「持ってますか」とか問いかける人も出てきそうですし。

刑事法、訴訟法の大原則として、10人の犯人を取り逃がしても1人の冤罪を許してはならない、というものがありますが、足元の状況は10人の犯人を取り逃がして1人の冤罪を産む、という最低の状態です。
というか、「きっぷは正しく買いましょう」と国鉄時代から叫んでいながら、正しく購入したらバカを見る、という状況があちこちにみられるのが問題でしょう。

その代表として、青春18など改札機を使えないきっぷだとゲートがある改札機が設置されている「無人駅」では不当に足止めを食います。あるいはきちんと特急券や指定券を購入しようとしたら、よろず相談と化した窓口や対話式券売機の順番待ちで10分単位で足止めを食います。これは省力化を優先して正当な客を蔑ろにするというおよそ客商売ではあり得ない姿勢ですが、それでもオペレーターを充実させる、正当なきっぷとそうでないきっぷの通信を分ける、といった対応もしないからこうなるのです。

そして「不正まがい」が横行ですから話になりません。
だからと言って不正は不可、とドヤ顔で正義を語るバカが出てくるでしょうが、不正をどうやったら抑止できるか、という時にいわゆる「不正のトライアングル」を考えるイロハのイの常識も知らないバカでーす、と自白している格好です。
まさかJR側が「不正のトライアングル」を理解していないとは思えませんが、都合のいいところだけつまみ食いする会社ですからね。領収書は何の効力も証拠能力もない、と乗客に向かって主張し、ベンダーには領収書で払った証明と言い張ってますからね。



勝利への執念と咄嗟の判断が生む好結果

2023-10-16 22:48:49 | ノンジャンル
ラグビーW杯は決勝トーナメントが始まっていますが、南アが1点差を守り切っての4強入りという結果に、敗れたフランスの悔しさというよりも脱力感は8年前のジャパンのジャイアントキリングに敗れた南アを思い出しました。あの時南アの選手は皆グラウンドに座り込んで目が虚ろという状態でした。

さてこの試合で目を引いたのがフランスのトライ後のゴール(コンバージョン)を南アの選手がチャージして阻んだこと。
コンバージョンはもちろんプレースキックですが、PGと違いキッカーが蹴るために走り出したら相手も妨害できます。相手はゴールラインより後ろに下がっている必要がありますが、走り出したら全力で突っ込めます。ですからキッカーは後ろに下がって助走を付ければ力を貯められるけど、ゴールラインに近ければ相手の方がボールに近くなるという洒落にならない事態になります。

今回南アの選手があまりにも素早くさらに大手を拡げたため、まんまとチャージに成功したわけですが、結果としてはこの2点があればフランスは逆に1点差で勝っていたわけで、ラグビーでは最少得点の2点に過ぎないコンバージョンも許さないという勝利への執念ともいえる姿勢に勝利の女神がほほ笑んだ格好です。

そうそう、南アは後半まだ時間がある段階での6点ビハインドでPGではなくプレー継続を選択しましたが、これが決まってトライ&コンバージョンの7点ゲットで試合をひっくり返し、そのまま逃げ切っています。これ、8年前の試合終了間際にPGのチャンスを得ながらプレーを選択したジャパンに逆転負けしたことを思い出しますね。PGで同点に追いついて引き分けてもジャパンにとっては大健闘、大殊勲で勝ち点もゲット、というのに、勝ちに行ったわけですから。

スポーツにはなんか見えない手が働いているケースがしばしばあるわけで、勝利への執着心、執念があるチームには勝利の女神が微笑む傾向が強いですね。それを考えると、今大会でのジャパンはそれが無かったわけです。
ジャパンが8年前のジャイアントキリング、4年前の決勝トーナメント進出といった見せ場を作れずに予選敗退となった今大会を決めたのは、競り負けたアルゼンチン戦ではなく1つ前のサモア戦でした。6点差でリードのなか、もちろんトライを許せばコンバージョンとあわせて7点となり逆転負けのリスクはあるとはいえ、ここまでの予選プールの戦績から言えばジャパンは勝ち点を1つでも積まないと厳しい状況でした。

最終戦のアルゼンチン戦で、引き分けると勝ち点まで並んでしまい、アルゼンチンがラス前でチリに大勝していることもあり得失点差で進めませんでした。というかアルゼンチンはチリ戦前に得失点差が+4ですから、日本がサモア戦に勝ったように見えて得失点差が+24なので、チリ戦で大勝したら勝ち点が並び、得失点差で上回る、すなわち引き分けでは進めない、という窮地に立つことが見えていました。

さらにチリが勝てばサモアが息を吹き返す、という関係になるわけで、それを封じるためにもサモアに7点差以内での惜敗というボーナスポイントを与えてはいけない局面でした。
ところがジャパンは漫然とボールを蹴り出した。勝利は確定しましたが、自らの勝ち点上積みとライバルの勝ち点阻止を共に放棄した格好です。アルゼンチンがチリ戦を終えた段階でジャパンはアルゼンチンに勝つしかない、という状況に追い込まれていました。ですから終わってみれば22点差と糸が切れたような敗戦です。

勝ち点制というルールへの適応能力というか判断能力に欠け、勝利のその先にある決勝トーナメント進出への執着心も執念も無かったジャパンに勝利の女神が微笑まなかったのは必然でしょう。
ラグビーの代表選手に関する規制の厳しさを踏まえると外国人選手が多いという批判は必ずしも当てはまりませんが、日本国内で競技人口の減少傾向に歯止めがかからず、4年前に「にわか」を取り込めなかったことも合わせると、今後のジャパンはどうなるのか。4年前をピークに落日の道を歩むということにならなければいいのですが。