Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

自分に甘い体質全開

2023-07-28 21:18:18 | 時事
先にも触れた大阪万博工事での残業規制除外要請、厚労相は単なる繁忙を理由とした適用は出来ないと見解を示しています。まあ維新による維新のためのイベントですから、維新がねじ込む可能性は否定できません。人に厳しく自分に甘い体質ですからね。今回の件で言えばコンプラが自分にはガバガバというわけです。気を付けるべきは万博工事は「単なる繁忙」ではない、として例外認定する余地を残しているわけで、今後も厳しく見ていく必要があります。そして物価高、人手不足によるコスト上昇に対し、国家的イベントだから国費を、と維新の連中が言い出していること。維新による維新のためのイベントに国費を支出する必要は無いし、支出されていたら即刻返還させるべきでしょう。無駄を省くとかなんとか言いながら、最大の無駄を推進しているパラドクスも、ひとに厳しく自分に甘いの面目躍如です。

まあその体質が如実に出たのが立民や共産に対する批判でしょうね。いや、批判ではなく消え去れとか存在意義が無いといった「否定」ですよね。似て非なる行為であり、公党の責任ある人間が公言するというのはあり得ない話です。さらに「第二自民党」で何が悪いと開き直ったのに至っては呆れてものも言えませんね。連立与党の甘い水に浸って下駄の雪のようについて行く政党もありますが、それでも「よ」党と「や」党の間で「ゆ」党という立ち位置を自称していたわけで、今回は限りなく「よ」ですねん、と言っているのですから。

身を切る改革とか言いながら自分に甘い体質を隠さない時点で信頼など何もないわけで、「敵」と認定して成敗するパフォーマンスだけ。泥臭い実務になると逃げますからね。Covid19で逃げられなくなった時のドタバタを見ればわかる話です。イソジンだの雨合羽だの酷かったですからね。
それでも大阪の東京コンプレックス、ルサンチマンを焚き付けることで地方政党としては十分な支持を集めてしまうことで地歩を築ているからややこしいです。同批判しても東京が大阪をいじめている、と曲解すれば支持に化けるんですから。まあ本来はトンデモの類のはずですし、自ら言い放ったように「コピー商品」であれば存在価値がないのはどっちだというブーメランですが、コンプレックスやルサンチマンが罷り通る地域性が正当化してしまっています。

その意味では、有権者の行動がどういう結果を招くかという民主主義のコスト、リスクと言われる部分を地で行く感じでは、有権者の意識改革も困難でしょうし。ただ、駅で列に並ばない、とか言われてきた気質、マナー意識が今や東京もかくやというような向上を見ているわけで、こんなのを支持していいのか、という意識の向上がいつ実現するかです。



1億総買い叩きでは持続できない

2023-07-28 21:16:32 | 交通
物流業界で「2024年問題」が深刻な問題になっていますが、労働時間などの負荷を分散させようにもドライバー不足が深刻です。
人手不足は他業界でも深刻ですが、大阪万博の準備に人手が足りないとして博覧会協会が残業規制の例外にしてくれと言い出すあたり、ブラック上等、過労死上等でこき使うと公言するような状態です。Covid19で仕事が無くて離職した人は確かに多かったですが、需要が回復して雇用が増えているのに戻らないというのも冷静に考えるとどういう構造になっているのか。Covid19で労働人口が多く死亡したり後遺障害でリタイアしたという話も聞かないだけに、「復活」の段階での人手不足は、じゃあ人を基準にしたらその労働人口はどこで就労しているのでしょうか。ポストCovid19で新たな就労機会が拡大したというケースが顕著に出てこない限り、パイの総量は一緒のはずなのになぜ、となります。

さてこうした運転手不足は物流同様に「運転手」が必要なバス業界においても顕著なわけで、Covid19に感染したため運休というようなスポット的な減便もさることながら、運転手不足による減便が恒久化しています。もともとローカルバスではバス1台、運転手1人で切り回す、というようなケースも少なくなく、曜日によってコースが変わるとか、土休日運休で平日のビジネスアワーにしか動かないとか、労働側の条件で律則されるケースが目立ちます。

それは分かるのですが、バス研究の大御所である鈴木文彦氏の「『鉄道ダメならバス』誰が運転するんだ!『バスがダメならタクシー』の幻想 乗務員不足もう限界」という「乗りものニュース」の記事はどうなのか。
もちろん運転手不足が深刻化しているのは事実ですし、そこを否定する気はさらさらないですが、ローカル線問題でバス転換がある、という選択肢をバスの運転手不足を理由に事実上否定するのはどうなのか。

確かにバス業界の運転手不足は深刻でどのバス会社が受託するのか、という問題がありますが、じゃあ鉄道として存続する際に「運転手問題」はないのか。
大型2種免許という汎用性がある「資格」に対し、鉄道の資格はつぶしがきかないわけで、そもそも旧国鉄の特定地方交通線の第三セクターへの転換の段階で、OB雇用などで人件費を下げることで収支を償う、という今から振り返るとデフレというかブラックというか、前提がそもそもおかしかった転換であり、その流れであれば今のローカル線の運転手(運転士)は労働人口にとって魅力的な職場なのか、というそもそも論に至ります。

鈴木氏はともかく(適材適所を厳しく言われますし)、軌道系至上主義の面々に共通することとして、乗務員など人材は必ず確保できるというものがあります。それでいてバス転換などは人材不足云々とダブスタ全開なんですが、つぶしが効かない資格で薄給という職場がどうやって人材を確保できるのか。バスのように大型2種という汎用性の高い資格ゆえに労働市場の流動性も高く、人件費を低く抑えるしか能がない運輸業界はまともに人材を集められない、という構造的問題は鉄道では当てはまらないのか、いや、そうじゃないでしょう。強いて言えば、汎用性の高い資格持ちを必要としない職場、という実も蓋もない状況が鉄道であり、労務費が安く抑えられます、ということが鉄道のメリット、であれば、まさにコペルニクス的転換で軌道系交通で公共交通を維持すべき、となりますけどね。

答えは見えているんです。分かっているんです。給与を上げる。並行して安定した就労を確保する。それしかありません。
収支がそれではガタガタになる、というのであれば、自治体が補助を出す。無尽蔵には出せませんから、運賃を上げる。それこそバスがなくなってタクシーしかない(地方ではそのタクシーすらなくなってきていますが)、となるよりはマシですから、100円ワンコインというような出血大サービスは諦めて、500円ワンコインで持続可能なバスとする時代でしょう。特定の曜日しか来ない100円バスよりは、毎日乗れて本数もある500円バスの方がマシです。地方でタクシーに頼らざるを得ない、という生活を実際に見ているし、都市部から公共交通で帰省した瞬間にタクシーに大枚叩くか身動き取れずに籠城するしかない経験を嫌と言うほどしていますから。レンタカーだって安くないですしね。

物流だってそう。そして「自由競争」の美名のもとに市場を攪乱させる「ブラック企業」の退場を強制する制度設計も必要です。
「2024年問題」や、足元の物価高起因の生活防衛に対応するための人件費を転嫁すべきところ、この手の「ブラック企業」は安値受注で市場を攪乱するわけです。価格転嫁できないから労働力を買い叩くしかない、諸問題への対応をギリギリのレベルにする、不十分に甘んじる、という業界を作らないように、こうした「ブラック企業」を公平な競争を阻害する企業として独禁法などの活用で排除しないと、結局理想論のコストを業界とその従業員が負担するだけになります。

同様に労働力を買い叩いた安価な物流という存在を前提にしたeコマースなども規制すべきでしょう。デリバリーはその典型ですが、人手が必ず必要だが安く買い叩ける、というのが前提のビジネスです。根源的には人件費が安いのと同時に貧富の差が激しい途上国、また移民や人種という「下層階級」を買い叩く欧米だから成立しているビジネスであり、日本でそれが拡大しているのは本来由々しき問題です。また小物だろうがなんだろうが発送側の都合で統一された大きな箱を使って物流の空間や人的資源を浪費するのもあってはならない商売です。やってられないと大手運送業者が契約を打ち切った際に、中小と組むというまさに「ブラック」前提のビジネスモデルであることを天下に示したのはその典型です。

便利なんだから排除すべきではない、という人が無数に湧きそうですが、まさかそう言いながら強制労働や児童労働の産品は買うべきではない(キリッ)、と意識高いブリッ子をしている人はいませんよね。世の中のあらゆるものにはコストがあります。そして適切に転嫁されないといけません。さらに言えば消費側もそれをカバーできる収入があるわけです。さすがに異常な物価高に悲鳴が上がっているようですが、米国の「物価」は日本円ベースだと目を回すレベルですが、ドルベースでの収入と価格の関係でいえば、それを負担できる「適正価格」であるというのが本来あるべき姿です。デフレに騙されてかつての個人所得がいつの間にか世帯収入でトントンという切り下げで、途上国以下の労働コストを実現した日本の末路が、足元の「人手不足」に顕われています。