Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

億単位の奉加帳は株主に説明が付くのか

2023-07-09 14:52:50 | 時事
維新と大阪の見栄で開催する2025年大阪万博、既に海外各国のパビリオン申請がまだないというまさかの事態が「話題」になっていますが、今度は「押し売り」です。関経連が会長、副会長の都合17社に1社15万から20万枚の前売り券に引き受けを求められたと報じられています。
要は各社が購入して売りさばけ、という話ですが、人気イベントをスポンサー枠でゲットというのとはレベルが違うわけで、9億から12億円の負担をよろしく、ということです。だいたい、チケットの売り捌きは各社の「業務」ではないわけで(阪急、近鉄とJR西日本は可能でしょうが)、定款にない事業であればコンプラ上問題です。高値で売ったらダフ屋となって法令違反となりますし、安値で売ったりただで配ればその分持ち出しとなります。

各社は上場会社ですから、関経連に言われたから、で億単位のコストを払っていいのか。その分を本業で回収する当てもないなかでコストを積み上げる行為は、株主から見たら配当に回るべき利益を失う行為です。当然総会で糺されるに足る行為であり、どう説明を付けるのか。
各社の従業員にとっても、その分利益が減れば業績見合いで増減する給与・賞与へ影響しますよね。他人事じゃありません。ユーザーにとっても損な話です。会社に損をさせたとして株主代表訴訟を受けてもおかしくありません。

各種イベントにいわゆる「奉加帳」が回るのはいつもの話とはいえ、最大で340万枚が強制引き受けというのは想定の入場者数の12%です。それが関経連会長、副会長会社負担というのはちょっと桁外れな「自爆営業」ですね。社員の数をはるかに超える引き受け枚数では福利厚生という名目も立ちませんし。
それでも開催で潤う企業であれば引き受けで協賛してもらうという意味もあるでしょうが、関経連の会長、副会長企業だから須らく万博に協賛しないといけないのか。だいたい会長、副会長企業が総て協賛企業にすらなっていないわけですし。

これで注意しないといけないのは、当然関係会社や協力会社などの下請けにお鉢が回ってくるということ。公取はそこを厳しく監視する必要があるでしょうね。関係会社であっても万博前売券の売買は不可、とするくらいでないと大変なことになります。2800万人の入場者を見込んでいるくらいですから、チケットが買えない、ということはまず無いでしょうから、引き受けて喜ばれるようなものではないです。



文字通りの人質商法を許してはいけない

2023-07-09 14:51:48 | 交通
駅のトイレが何かと話題になっています。
JR外房線ではトイレの閉鎖問題、そしてJR四国では設計が悪く「丸見え」に近いトイレとか、洋式どころか汲み取り式が大半という状態でも改修する予算がない、という問題。まあ事業者無謬の連中や、ネットのポータルに巣食う社会を知らないヒキコモリは誰がカネを出すんだ、と噴き上がっていますが、商売をする「前提」として存在するコンセンサスを無視できるかという話です。しかも「公共」として存在する事業者が。

まあ「当然あるべき」サービスというか「条件」「前提」を別売りにすることを覚えてしまったうえに、それを否定しなかった、どころか批判しなかったことが何を招いたか。はっきり言ってしまえば、踏み出した時点で完全否定しないといけないのです。そりゃ札ビラ切って受け入れる人はいくらでもいるでしょうが、「公共交通」という「公共」はそれを向いた経営、運営をして然るべきなのか。という話です。

その典型が着席サービスでしたが、今度はトイレと、利用者という「人間」の営みを人質に取ったような行動は「公共」としての矜持も何もない行動です。まあ人の不幸に付け込んで廃止かお布施かの二者択一を迫る味を覚えた事業者だけにさもありなんですが、それを当然視する事業者無謬の存在は社会にとって害悪そのものと言えます。ちなみにJR西日本で地方路線の長距離列車をトイレなしにしたところ、やはり乗客からの批判が相次ぐどころか、車内での「粗相」といった人間の尊厳にかかわる事態が発生し、監督官庁からの指導もあり列車へのトイレの設置改造に追い込まれたケースがあるわけで、トイレの問題も然り、また着席の問題にしても体調を崩したということを積極的に訴えるべきでしょうね。監督官庁に。身体への負荷が必要以上にかかっているんですから。無理なら着席サービスの金を出せは通用しないということを許さないコンセンサスが必要です。

トイレに関しては、かつてはどんな大駅、主要駅であっても紙は有料だったというセコさがありましたが、いつごろからか紙が備え付けられるようになり、さらにウオッシュレットもつくなど進化しています。まあ空港や高速道路のSA、PAではとっくに当たり前だったサービスが比較対象と考えたら、鉄道利用だとトイレが、と忌避される原因になりかねないだけに、嫌々の進歩だったのかもしれません。

それでもトイレそのものが無くなるというのは別次元ですし、今の世の中で汲み取り式というのも最早「トイレがない」に等しい事態でしょう。
海外旅行で、中国のいわゆるニーハオトイレや、東南アジアの手桶式トイレとか、どうしても無理、というスタイルのトイレがありますが、今の日本だと汲み取り式はその域に近くなっています。それでトイレがあるとしているのは、トイレを無くしているのと同じでしょう。

こうした批判をすると判で押したようにコストガー、とくるのが事業者無謬ですが、だったら座席有りません、空調などもってのほか、と貨車に乗せますか、という話です。輸送はサービスに非ず、とうそぶくような連中ですから、発着地間を輸送すればいいんでしょ、だったら貨車で十分じゃん、となんで言わないのか。
まあ着席サービスを放棄するところまで許容するようになってますから、貨車レベルで十分と言い出すのも間近かもしれません。まだ着席サービスは別売り、という発想がそこまで一般的でなかった時代に、ラッシュ時にオール立席となる6扉車は消えましたが今は増発、増結を渋って座席を撤去するのがトレンドにもなっていますし。

要はその商売をするにあたっての「当然」の「前提」である「条件」を別売りにできるか、サービス提供を止められるか、という話です。この手の話題で常に例示する「箸など食器を別売りする料理屋」ですよ。ステルス値上げよりもタチが悪いというか品がない行為ですから。まあ交通の世界では、チケットレスなのに運賃のほかに「支払手数料」という摩訶不思議な手数料(ピーチで640円)が必ずかかるLCCを容認してしまっており、事実上その金額で購入することは不可能という詐欺的表示が横行していることを考えると、品性も矜持もない世界です。

コストは確かにかかるが、運行など商売に必要なコストです。社会にそれを転嫁できないものと思い知る必要があります。