Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

「異教徒」が理解しようとしない心情

2016-06-10 20:39:00 | ノンジャンル
モハメド・アリが亡くなりました。いまだにヘビー級チャンピオンというと彼を思い出すくらいの存在感と強さが印象に残る「チャンピオン」でした。

その訃報に対し、何とも妙な動きが見え隠れしています。
ベトナム戦争に反対して徴兵を拒否したことを大きく取り上げて、「平和勢力」の戦士のような扱いです。
もう絵に描いたような「反米左翼」の舞い上がりですが、「ベ平連」の亡霊が蘇ったというか、当時のままで時が止まったような老人が大はしゃぎしてアリを称賛しているのを見ると、ありがちな自分の思想のために利用するだけ、といういつもの流れです。

またいずれも共通していることとして、「カシアス・クレイ」からなぜ「モハメド・アリ」になったのか、を単にイスラム教に改宗した、と流していることでしょう。

キリスト教国の米国でイスラムに改宗したのか。その意味をきちんと説明できない、いや、しないのは何故か。
それこそ足下はテロの温床のように忌み嫌われて差別されているイスラム教徒に進んで改宗したのはなぜか。「カシアス・クレイ」として体験した黒人差別がキリスト教的価値観と不可分である、ということに気付いたからでしょう。

本来「異教徒」である日本人こそその心情を理解すべきなんですが、それをしない。それがキリスト教的価値観を共有する日本以外の「先進国」に対する遠慮や阿りなのか。安っぽい反戦、反米意識ではない「戦い」を見ずに、安っぽい評価で「美化」されるのには耐えられないものを感じます。