Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

代わりがいないという「恫喝」

2016-06-13 00:25:00 | 時事
いすみ鉄道の経営問題ですが、最大株主である県が現社長を支持している以上、地元自治体が反旗を魔サうが影響はないといえます。その意味では県税の投入に対するモニタリングが機能していないし、よしんば機能しているとしてもそれをトップダウンで事実上無視できる状態は県側に問題があることを示しています。

こういうと現知事を「追い込んだ」ら、その後どうなる、という類の「恫喝」に見舞われます。
足下の都知事のスキャンダルも同様で、じゃあ前回の落選者を見よ、ということであまり追い込むな、という妙な風向きも感じます。

しかしそれはまともな候補者、支持者を出さない与党側の問題を有権者に転嫁しているだけでしょう。
少なくとも千葉県の場合、京葉道路と首都高の大幅値上げに対する無対応、というか、アクア800円維持の裏取引とも邪推できる状況で、今回のいすみも、となると、房総半島に税金を投入して北西部の住民から収奪する、という知事を支持できるか、ということになってしまいます。

そういう候補者を擁立するのであればそれまでの話ですし、いわゆる「カレー味のウンコとウンコ味のカレー」の選択しか提示できない選挙をするのであれば、有権者を馬鹿にした話です。

ちなみに東京都知事のほうですが、与党側も現知事を見限って新しい候補者を立てるという報道が出ています。
それが元環境相の女性議員や、超人気アイドルグループのメンバーの父親でもある元事務次官の名前が上がるあたり、実力よりも人気を重視しているとしか言いようがないわけで、そろそろ有権者がそういうミーハー路線に辟易している、そういう路線が今回のようなザマを招いている、ということに気が付いてほしいものです。

かつて埼玉県知事に元参院議長が立候補、当選して世間を驚かせましたが、三権の長まで務めて県知事をするか、と言われたものの、晩節を汚したきらいはあるものの、実績を数多く残しました。
有権者も馬鹿じゃないですから、こういう「本格派」の知事ならきちんと評価して支持するのです。首都の知事なんですから、客寄せパンダではなく、地位と権限に見合う「本格派」をなぜ擁立できないのか。その隙が退場すべき知事の延命に加担するような意見を招くのです。

「経営」に対する評価と理解

2016-06-13 00:18:00 | 交通
先週末からネット上で、今月開催のいすみ鉄道の株主総会で社長が解任される、という噂が流れています。
にわかにきな臭くなってきた、という感じですが、内容にはおかしなところもあり、これも一種の「怪文書」かもしれません。

解任の提案は株主である一部自治体が提出したとか、どこそこの株主自治体は反対しているとか、民間株主はどうだとか、生々しい話題も流れていますが、会社法上は1%の議決権があれば提案可能なので、そういう動きがあってもおかしくありません。
一方でこの会社の取締役の任期は2年以内(社長の任期が2年とある)ですから、2016年は改選期に当たるはずです。そうなると続投であっても重任ということで総会の決議が必要なわけで、総会で解任など動議しなくても、改選という決議にさらされているのですから、わざわざ解任というひと手間を入れる必要はありません。

そもそも株主提案権の行使という意味では正当な行為とはいえ、沿線自治体は株主であると同時に経営陣でもあります。
自治体派遣の取締役もいるでしょうから、自治体は経営責任を負う立場でもあります。ですから鬼の首をとったように解任動議を上げるのはどうでしょうか。

この噂が広まるにつれ、というか噂の流布とセットになっているのが、「社長解任とは何事」「反対しましょう」という拡散の動きであり、こうした動きに共通するのが、「社長はいすみ鉄道を立て直した」という評価です。廃線の危機にあったローカル線を立て直した、ということのようですが、少なくとも会社の経営者としての「社長」を評価する際に、そういう定性的な評価でものを語る段階で議論の土俵に上がっていません。あるいはこの会社が「黒字」だと主張する財務諸表の基礎もわかっていない人も少なくなく、それで経営を「評価」するとは心臓が太いです。

数字を残していない、ということが総てでしょう。地元自治体から解任動議が出たことが本当なら(動議は会日の8週間前までの行使です)、よく支持者が主張する、地域全体ではメリット、ということも怪しいわけです。
さらには脱線事故の処理の際に、現場保全をせずに勝手に修繕してしまったという「隠蔽」を疑われても仕方がない前代未聞の処理をしたこと。経営者としてみた場合、経営責任や引責を免れ得ない状態です。

メディアやヲタ受けが良くても、経営者としては失格。簡単な話です。昔終戦直後に皇族が闇市に手を出し、商品は人気を博したけど全然儲からなかった、という話があります。理由は簡単で、原価>販価だったからというオチですが、そりゃ周りからは好評、絶賛でしょうが、経営の根本から間違っていた点でいすみ鉄道の大先輩です。
しかも「経営」する会社は税金の投入を受けているわけで、数字が残せない=税金投入の増加であり、ヲタはともかくとしてメディアが、それも経済紙誌が評価する時点でその新聞や雑誌のレベルすら問われる事態です。

「税金で電車ごっこ」についても、赤字を拡大するだけで経営の下支えにすらなっていないわけです。
せめてヲタ向け事業が黒字で赤字幅を縮小している、とか、最低でも固定費の回収には寄与しているとか、経済的な意義がなければ事業を継続する理由はないですし、導入した経営者は「赤字拡大」の部分について特に責任を負うべきでしょう。

社長を解任したらいすみ鉄道は廃線まっしぐら、という声も少なくないですが、収益の下支えにもなっていないヲタ向け路線で水増しされた事業規模をスリム化して、赤字額を抑える、という手法のほうが、公共交通の維持と地元の負担のバランスが取れますし、税金を投じて維持すべき公共交通であれば、「適材適所」を厳しく問うべき話であり。鉄道を維持する段階を過ぎていれば見直すべきです。

借入や株主資本だけで経営しているのであれば、株主や金融機関が容認すればこういう路線もありかもしれませんが、この会社には税金が投入されています。社長やヲタの道楽に税金を投入していることが正しく、それを批判することがおかしい、という判断をするような「ヒョーロンカ」未満の意見が堂々と幅を利かせているのを見ると、県税の納税者としては怒りすら感じますね。
ついでに言えば、2015年度の決算につき、本決算どころかほとんど9ケ月前の2015年9月30日に締った中間決算すら開示されていないわけで、このようなガバナンスでは税金を扱う資格などありません。


このブログでも過去に小論に対して社長を狂信的に信仰する人が粘着的にコメントをつけてきたことがありましたが、経営も会計も全く分かっていない状態で「社長は正しい」「なんで社長を批判するのか」と壊れたレコードのように論破された論点を繰り返し蒸し返していました。そういう無益な議論で疲弊させて勝利宣言でもするんでしょうね、この期に及んでも支持している人たちは。