木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

国民感情と製品の質の関係

2008年02月13日 | Weblog

中国製殺虫剤入りギョーザ事件について(2)
鈴木宗男氏の「懐刀」として、外務省で暗躍したとして、今裁判係争中の佐藤優氏の意見。(「週刊金曜日」より)
佐藤氏は、ソ連時代末期にモスクワで勤務していたが、中ソ対立は大分緩和されてはいたものの、一般のロシア人の対中感情はきわめて悪かったという。その理由は中国製品がきわめて粗悪なことにあった。
ところが、リトアニアで、ポーランド人が売る中国製品の品質は悪くなかったという。
これは中国商人が、ロシア人を嫌っているので、何を売りつけてもいいと考えているからであり、その一方、ポーランド人とは真面目にビジネスをしているので、リトアニアにはきちんとした中国製品が入っているのだと、ある民俗学者が解説してくれたそうである。
その時は、佐藤氏はいくらなんでもそれはうがちすぎ、と思ったそうだが、「国民感情は、労働に微妙な影響を与える」と、今は考えている。
今回のギョウーザ問題も、もしかしたら日中関係がより良好ならば起きなかったかもしれない。
日本側は、コスト削減、安い製品作りのために中国を利用しているのであり、中国側は、外貨獲得、経済発展のために、「面従腹背」で、仕事をしているだけ、という関係にある。
経済活動は、お互いに利用しあう関係にはあるが、そこにやはり信頼関係、というものがなければ、相手に対して「いい製品を提供しよう」という気持になかなかなれない。
日本人は、「見た目重視」だということを見透かされていて、そのために農薬や、見栄えを良くする添加物を入れられたりしてきた。
顔の見えない、日本人が食べる製品を、生活のためにやむを得ず作っている、というのが、中国人労働者の気持だろう。
しかも自分達の賃金は安く抑えられ、今回の問題の天洋食品では、労働者が直近に解雇されたという現実もあった。
自分達を直接使用する中国人経営者と、かつての侵略者日本人と、両方に対する反感が、この事件の見える氷山の下に大きく横たわっているのだろう。



アメリカ大統領選のゆくえ。
今のアメリカは、軍事に傾きすぎた結果、崩壊したソ連邦の末期によく似ている気がする。
民主党の指名を激しく争っているクリントン、オバマ両氏が、共に今までなかった、女性、そして黒人系の候補であることが、まさに「崖っぷち」のアメリカを象徴している。
だが、二人とも決して「少数派」の象徴というわけではない。
ヒラリーさんは、女性ではあるが、社会の主流を占めている男性達の中で、有能に仕事をこなしてきた人だし、オバマ氏も名門大学出身で、貧しく、学歴もない多くの黒人層とは一線を画する存在だ。
ただやはり、女性であり、黒人であることは、白人男性には見えないものが見えるという存在だ。
大統領選の盛り上がりは大変なものだが、しかし、あまりに「救世主」を求めるようなその熱狂には危ういものも感じる。
将来を見通す能力を持ったリーダーは必要だが、政治はリーダーにゆだねるものではない。共に構築していくものだと思う。
いずれにしても、共和党は「カヤの外」のようだから、イラクからの撤退を即刻決断するのが、新大統領が真っ先にやらなくてはならないこと。
それができるのはやはりオバマなのだろう。



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