映画「沖縄・うりずんの雨」を見る。
祝日だったことも多少影響があったかもしれないが、観客の入りのいいのに驚いた。
おおむねこのような社会的・政治的メッセージの強いドキュメンタリー映画は、私が見に行く平日の昼間はせいぜい7・8人がいいところなのに。
この間の政府による辺野古移設の異常な強引さに対して、沖縄の民意を一心に受けた節度ある翁長知事の「辺野古移設は容認できない」のメッセージが日本本土の人々にもいくらか浸透し始めたのかとも思ったりしたが・・・。
アメリカの監督ジャン・ユンカーマン氏は、ペルリの来航から沖縄の歴史をたどり、米軍による地上攻撃で、沖縄の人々が捨て石としてどのような残酷な運命をたどらされたかを、沖縄戦で生き残った人、その子供たちの証言で描き、米軍占領の後は米軍と共存させられた沖縄戦の記憶のない人たちの心情を聞くというように、淡々としているがゆえに真実味を感じさせる手法で伝えた。
特に1995年の米兵3人による少女暴行事件の当事者である米兵の一人のインタビューを実現させたのはアメリカ人監督ならではと思った。
今米軍兵士として沖縄にやってくる青年たちはまさに「経済的徴兵」と言われる境遇の者たちである。彼らは沖縄では自分たちはなんでも自由にふるまえると考えていて、無軌道な行為を繰り返すのである。
兵士を監督する立場の上官も兵士たちに基地外での規律の厳守を指導しない。彼らにとって沖縄の人々は占領支配地の従属民なのである。
沖縄の米軍支配は私たち日本本土に住む者に「アメリカの軍事支配を日本国民として見過ごしていいのか」という問題を今突きつけているのであると、そう私は感じた。
知られざる「護郷隊」の存在
「戦争を知らない子供たちへ」証言とアニメ(NHKBS1)
敗戦間近の沖縄北部地域で「護郷隊」なるものが、14歳から16歳の少年1000人によって結成された。
ゲリラ的な偵察部隊として子供が利用されたのである。
秘密部隊であるから資料が残っていない。それで80歳半ばから90歳近い生き残りの隊員の証言とその証言を元にアニメで当時のこの部隊の様子を伝えたのである。
名前がわかっている死者は162名だが、それ以上の少年たちが無謀な帝国軍隊の作戦とも言えない愚行の犠牲となったのである。
中には足を負傷していて歩けなくなって野戦病院用の小屋で横になっているところを移動できないということで、軍医の拳銃によって始末される友人の悲劇を目撃し、それをずっと70年、遺族に言えないまま過ごしてきた人もいる。
「ひめゆり部隊」や「鉄血勤皇隊」のような旧制の女学校や中学の生徒を主体にした動員は知っていたが、「護郷隊」とは初めて知った。
こちらは高等小学校の生徒を対象にしたらしい。
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