シングルマザーの悲愴な子育て。ドラマ『Woman』(日本テレビ)
『Mother』で子供を虐待する状況に追い込まれてしまうシングルマザーを描き、『それでも生きていく』で重大犯罪者の加害家族と被害家族が追い込まれていく現実を描いた坂元裕二が見つめる世界は、今回はシングルマザーの生きにくさだ。
幼い子二人を残して夫に死なれた満島ひかりが演じる主人公は、子供を預けて仕事に出るために朝の通勤時間帯にベビーカーを持って電車に乗り込まなくてはならない。
ガソリンスタンド、クリーニング工場を掛け持ちして働くが、子供が熱を出したりして急に休むことが続くと、パートの彼女は首を切られてしまう。
疲れきって役所の福祉課に相談に行くが、そこでは「援助してくれる親族はいないのか」と問われる。父はすでに亡くなり、家を出て行った母とは疎遠な主人公はそこで絶望的な気持になる。
これはドラマの上の作り話ではなく、現実の社会の中で繰り広げられている事実だと思った。
こういう母たちにこそ政治の光が当てられなくてはならないのだが、現実は彼女達は日々生きるのに精一杯で、選挙の投票にも行く余裕がないのではないか。
選挙も遠いし、候補者も遠い。
定時制高校生の貧困。
「働きながら学ぶ」定時制高校存在の主旨だが、その働きながらが、今企業のあり方の激変の中で困難になっている。
かつての製造業が盛んだった頃は定時制高校生の職場は朝から夕方までの工場などが多く、周囲も働く高校生が定時に学校に行けるよう気を配る余裕があったが、そうした製造業が減った現在ではコンビニなどのサービス業しか働く場がなく、これらの業種は時間が不規則で、夕方から学校に行かなくてはならない定時制の生徒は使いにくいというわけで、働きたくても働けない。学資が続かなくて結局退学に追い込まれるというケースも多いという。
その上学校の統廃合により職場から通いきれない事態も進んでいる。
貧困から脱け出すために何とか高校だけはと考えてもそれを拒否するのが今の政治の側だ。
参院選で安倍自民党政権が勝利すれば待っているのは「原発再稼働」、[TPP参加」、「消費税増税」。仕上げは「憲法改悪」か。
不思議に思うのは原発の事故による汚染は1パーセントの富裕・支配層にも被害を及ぼすのに「原発再稼働」を進めようとすることだ。
原子力発電の技術の不確かさ、電力会社の管理のいい加減さが福島の事故で誰の目にも明らかになったのにそれを認めない。
原子力発電は被曝労働なしには成立しないし、使用済み核燃料はただ溜まる一方だというのに。
「東京オリンピック招致」の狂騒は「原発事故なんてなかったんだ」と思いたいそれこそ狂った願望だ。