木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

格差社会への全米抗議デモは日本にとっても鏡

2011年10月09日 | Weblog

今週の衝撃は「ウォール街を占拠せよ」という格差社会アメリカに抗議する大規模デモと、小沢一郎の政治資金をめぐる一連の判決や公判開始、そして沖縄密約判決か。

「富める1パーセント」への怒り。
今回の格差社会への抗議デモの特徴は貧困層やマイノリティーだけではなく、基本的には「中間層」を形成するはずの学歴もある若者達が抗議の中心を占めていることだと思う。
「アメリカンドリーム」に毒されてきた人々もようやく気づいて行動を起こしたのだと、そんな印象がある。
規制のない「金融資本主義」の行き着く果てを最もはっきりと体現しているのが今のアメリカだ。
新聞記事によれば、ノーベル賞経済学者のジョセフ・スティングリッツ氏もニューヨークの抗議会場に現れ、現在の状況を「1%の1%による1%のための政治」と批判した。
1%の富裕層、ウォール街に巣食う「金融詐欺師達」が99㌫の人々の富と生活を奪い平然としている。
抗議デモに加わった若者達は大学を出ても職がない。なのにウォール街の金融機関は公的資金を受け、リーマンショックから息を吹き返し、経営トップは「そんなにもらってどうするんだ」と思うような高額報酬を手にしている。
多額の学費ローンを抱えた大学院生は「多くを求めるつもりはない。朝目が覚めるたびに家賃が払えるか、食事はどうするか、そんな心配をしたくないだけ」と言う。
教育への公的援助が少ないアメリカでは(これは日本もそうだけど)、高額の大学授業料を払うためローンを組む学生も少なくない。それは卒業後の安定した就職が担保になるわけだが、その職がない。
彼らはオバマ政権に期待した人々でもあった。
しかしオバマ氏は当選後、妥協的な人事と政策を繰り返し、強欲なウォール街を抑えられないできた。
市民派とみなされてきた政治家がリーダーとなって、その依拠すべき市民を裏切る結果になるのは日本の菅総理も同じだった。
オバマ大統領も菅総理もトップの座に就いてから中途半端に経済界に擦り寄って妥協した。その結果、国民の支持は失い、社会状況も最悪になっていった。
市民派の彼等がやるべきだったのは、徹底して富裕層ではなくそれ以外の国民の側に立った政策を進めることだったのだがそれはできない。
なぜなら二人とも「2大政党制」の申し子だからである。
「2大政党制は民主主義の墓場」という至言はまさに今のアメリカや日本の状況を見れば、行き場のない人々の気持そのままで、単なる言葉のあやではなかった。
アメリカに広がった抗議行動は次どう展開していくのかそれが問題だ。
日本の場合も震災・原発事故を受けてまだなお既得権の亡者達を退場させられないでいる。
退場させたくても「小選挙区・2大政党制」が邪魔をする。
自民・民主を退場させる新しい政治潮流を作らなくてはどうにもならない。

検察からバトンタッチの裁判所。
小沢一郎氏の政治資金をめぐる「虚偽記載事件」。
小沢氏も古巣の自民党議員もこうした政治資金の回し方を伝統的にしてきたと思う。
だからこの資金の原資がどこからきたのかどうかということより「狙い撃ち」をしたんだなと思う。
そして「沖縄密約判決」では「密約」は存在した。しかしそれを示す「文書」は国=外務省が存在しないと言っているのだから存在しないのだと片付けて済ましている。
裁判所の怠慢であり暴走だ。
小沢氏秘書団の判決でも状況証拠だけで判決を言い渡している。
「俺たちが有罪だと決めたんだから有罪なんだ。つべこべ言うんじゃない」ということだ。
検察が大阪地検特捜部の証拠改ざん事件等で信用を落とし、身動きできないので代って裁判所が「検察の傲慢」を肩代わりしたかのようだ。
警察・検察・裁判所はどうせグルでしょ、と思うものの、裁判所がこれでは絶望するしかない。
原発の安全性を問う裁判でも裁判所は国の言う「安全だ」を追認してきただけ。その結果の最悪事故だ。
そしてそうした判決を下した裁判官の幾人かは東電や原子炉建設に関わるメーカーに社外取締役などで天下りしているのだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする