製造業の構造は今やグローバル化の影響で、大半は海外生産に移行している。
それなのに、日本の有識者の感覚は、ほとんどが1990年代に留まっていて、マスメディアはそれを不思議とも思わずに、旧来の慣習のママに報道する。
その旧態依然とした経済報道が、事例として見つかったので、それを例として取り上げて、製造業がどの様に日本の中におかれているか、論じてみよう。
事例として自動車産業が一番判り易いから、6月28日の報道記事から引用する。
自動車メーカー8社の5月国内生産の実績の報道記事で、下記の様な国内生産実績が朝日新聞10面(経済欄)に載せられた。
国内生産 うち輸出分 世界で生産した合計
トヨタ 25万0477 12万3539 72万3367
日産 6万2026 3万2246 42万6223
ホンダ 8万0500 2324 38万0416
スズキ 8万9817 1万2716 27万0835
マツダ 7万5933 5万7757 9万9649
三菱自 5万7757 2万7409 10万3112
ダイハツ 6万3397 512 8万4415
富士重 5万5982 4万0484 6万9897
さて、この実績表を見て、違和感を持った人もいるでしょう。
実はこの、世界で生産した合計が、一番左にきているのが原本の記事の表です。
日本の経済欄では、世界での生産台数の多い順に、記載するのが習わしの様だ。
しかし、筆者の様に、国内経済への貢献や雇用創出効果で見る立場では、国内での生産実績が一番に注目する数値である。
当然、この表の上からの順番は、トヨタ、スズキ、ホンダ、マツダ、ダイハツ、
そして、日産、三菱自、富士重。 と並んでいるのが、順当に見える。
正確には、生産台数ではなく、生産金額が妥当だが、その数値は掲載されない。
(月ごとの変動による多過は、無視するとしての話ですが・・・)
なぜ、国内生産台数が、6番目の日産が、表では2番目に載せられるのか?
其れは、1990年代までは、海外生産の比率が少なかったので、世界での生産台数はそれほど、多くはなかった時代の名残である。
日産自動車の様に、海外生産比率が85%を超えている様な企業は、国内経済への貢献は低くなっているのに、旧時代感覚のまま、2番目に掲載される。(続)