日本の国際的な評価を期待するならば、気候変動対策の先頭に立って、「温室効果ガスの削減目標」を、志を高く掲げるのが適切である。
それを、消極的な姿勢に終始して、「経済への影響ばかりを懸念する」様な、情けない態度を続けては、日本に対する評価は下がり続けるばかりである。
アメリカは、ブッシュ政権時代には、京都議定書の締結をしておきながら、経済への悪影響を口実にして、「温室効果ガスの削減義務」を完全に拒否した。
その結果は、バブル経済を加速させて、果てはサブプライムローンの破綻の行きつき、金融の大混乱を世界中にまき散らして、悪評の中に退陣した。
そのあとを引き継いだ「オバマ政権」は、「グリーン・ニューディール」政策を打ち出して、新産業の育成に多くの資金を投入して、経済の再生を図った。
「再生可能エネルギー分野」でのいくつかの成功事例もあり、経済は少しづつ回復途上に転じて、悲劇的であった失業率も大きく改善している。
そして、エネルギー分野では、シェールガスの採掘技術進化によって、アメリカは天然ガスエネルギー立国によって、経済を牽引する状況に転じている。
今まで、大量の石油輸入に依存していた状況が、多くの産業分野でシュールガス「天然ガス」に転換して行ったのである。
いまや、石油の輸入依存は大幅に低下し、中東からの石油の輸入は不要になる将来が見えている。
アメリカは、石炭に依存している電力供給を少しづつ「天然ガス火力発電」に切り替える政策に転じている。
これは、必然的に[CO2排出]の削減効果を生みだし、再生可能エネルギーの普及と重なって「温室効果ガスの削減」に向けて、転換する要因となった。
2015年3月の、長期の削減目標を提示する義務に対して、意欲的で先進各国の先端を行く様な、高い削減目標数値を提示する動きに転じたのである。
それに対して安倍政権は、原発事故を口実にして、「削減目標を低く」設定して国内の「再生可能エネルギー産業」への投資意欲にブレーキをかけ続けている。
経済を優先させる硬直化した頭で、「グリーン産業」への投資に消極的な政策を打ち出すことによって、かえって経済の活性化にブレーキをかけるお粗末さだ。
「温室効果ガスの削減」が、経済に与える影響については、経済学の研究では、わずかのコストしか、必要としない。
一部の、特に化石燃料産業界に負担を与えるだけで、新産業にはチャンスだ。