現在の世界では、再生可能エネルギーで最も将来性のある「風力発電」が、急速に普及が進んでいる。
設置に要する期間が短い上に、量産効果もあって設備コストが下がり、電力の価格競争力は、急速に火力発電に近づき、現在でも石油火力を完全に凌駕する。
日本では当初から「風力発電」は日本の国土、気候には適さないから、補完的な電力にしかならない、とブレーキをかける専門家たちが続出した。
経済産業省では1990年代には、日本は風況が適さず、風向きが変わり易い上に、雷の被害で設備が故障するから、適地は限られるとして、開発を放棄した。
しかし、2000年代に入って欧州の急速な普及状況をみて支援する方向に変わったが、時は既に逸して中国やインドなどの新興国からも大幅に遅れてしまった。
現在は世界で第13位の普及量のレベルに留まって、量産効果も出せない日本の企業は苦戦を強いられている。
それでも、やっと日本の風力発電を増やす潮流が、「再生可能電力の固定価格買取り制度」の発足によって、再度、始まっている。
特に日本では、洋上風力発電が将来の可能性が大きいとして、国も力を入れ始め様としている。
だがエネルギーの専門家たちは、いまだに風力発電の将来性を否定して、欠点をあげつらうことに余念がない。
曰く、風力発電は安定しない電力だから、バックアップ用の電源を準備する必要があるから、実質的な発電コストは高い。と。
原発の発電コストは安いと言う時には批判せず、今は全原発ゼロでバックアップ電源の石油火力に頼る状況には、何の説明もしないでいる。
この論法でいえば、原発は現有電源の中で、もっとも高い発電コストになる。
次に曰く、風力発電は消費地から遠い地域に建設するから、長期距離の送電線網の増強が必要だ。と。
これも原発の論議でいえば、消費地からかなり離れたところしか原発は建設できないので、送電線の新規増設が必要であった。
この時は何も批判をしないで、風力発電の時には問題だと言い出すのは、専門家としての客観性が欠如しているのではないか。
確かに、消費地の近くに建設出来る化石燃料の火力発電は、送電線の建設負担は少ないが、それで火力発電優先を主張するわけでもなさそうだが・・。(続)