再生可能エネルギーの普及には、従来のエネルギーの専門家は、機会をとらえて欠点をあげつらってきた。
国民が最も身近に見る再生可能エネルギーは、「太陽光発電」であるが、これは、初期は「環境オタクの趣味」の範囲で、国が優遇するなどは論外だと批判した。
ある程度技術進化すると、今度は、日本には設置する屋根の面積は限られているから、普及しても微々たる電力にしかならない、と軽蔑していた。
ところが、電力会社としては、電力需要の一番多い時間帯に、わずかでも発電してくれるので、ある程度の普及には内心では歓迎していた。
2011年7月の民主党政権時代の大きな成果として、『再生可能電力の固定価格買取り制度』[FIT]が成立すると、設置までの期間が最短の「太陽光発電」の設置ブームが起きた。
その主流になったのは、工場用地の空地や耕作放棄地の有効活用になる、「メガソーラー」(1MW以上の大面積太陽光発電)事業である。
製品の品質や設置工事がしっかりしていれば、確実に投下資金が回収できる。
今の時代で、これは有利な投資対象事業で、日本中に広がり適地は次々に設置の申請が進められた。
その次には、農地を利用した太陽光発電の事業化の試みが拡大している。
化石燃料事業の専門家はその著書で、「大面積のメガソーラーを植生がある場所に建設すれば、その面積分の動植物は壊滅し、保水力も浄化機能も激減して、環境破壊になる」と、簡単に全否定している。
しかし、化石燃料の事業者が想定するほどの大面積ならば、そうなるかもしれないが、限られた農地に農産物への適当な日当たりを配慮した建設ならば、むしろ、有利な作物があることを知らない、【農業オンチ】の言い分である。
現在は、農水省もその効用を認めて、農業を続けることを条件に「一時転用」との扱いにして、この取組を支援することにした。
『ソーラーシェアリング』と呼ばれる方式で、「日光が当たり過ぎない作物では、収穫が増えた」との事例も現れた。
お茶の栽培でも、「抹茶の栽培」では、畑を覆って日陰を作る必要がある品種があり、この品種では通常の2倍の価格で売れる。
日陰を作る費用が浮かせて、太陽光発電も出来るメリットは大きい。
この様に化石エネルギーの専門家は、化石化した頭で柔軟な発想が出来ない。