庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

新しい技術開発は本流以外のところから発芽する。

2012-10-20 | 経済問題
自動車の技術革新において、今は【ハイブリッド車】が低燃費車として、世界に広まっている。
これは、トヨタ自動車が本格的に始めて日本で発売したが、もともとの技術開発の核芯は、トヨタの関連会社が開発した技術である。
その技術の試作車を見て、トヨタのトップ経営者が将来における大きな可能性を感じて、本格的に発売することを指示した。
これによって、トヨタ本体の技術陣の総力を結集して、困難な技術課題を次々に乗り越えて、本格的な量産に成功したのだ。

企業経営において、トップマネジメントの重要さは言うまでもないが、「何をすべきか」という中身は、あまり理解されていない。

経営学者のドラッカーは、会社経営で最も肝心な事項を解り易く表現している。
月曜日・火曜日は、今日の事業の業績(売上。営業利益。生産性)を上げる為の経営管理をする。
水曜日は、現在の商品の販売先開拓や顧客増加を図る「潜在的機会の発見」。
そして、木曜日・金曜日は、「明日の為に新しい事業を開発する」根幹の仕事。
これが出来ていないと、会社は停滞・衰退して、経営は破たんする。

会社経営の環境が厳しいと、月・火・水の仕事に集中せざるを得なくなり、木・金に行うべき「明日の為に新しい事業」に対する力を抜かざるを得なくなる。
日本一の大企業といえども、将来の技術革新の芽を生みだすのは、相当に困難な課題なのである。
それを、傍流の部門では、月・火・水の仕事だけに集中しなくても、木・金の仕事を継続する機会を持つことが出来る。
そうは言っても、傍流の部門を締め付けすぎて、研究開発費も絞りこむ様な企業は、「明日の為の技術」を開発する力もなくなってしまう。

今の日本は、経済の停滞によって、「明日の為の新しい事業」を本流の中央政府・官僚群の方に権限を集中し過ぎている。
中央官僚は、月・火・水の仕事も、月曜日から金曜日まで使ってやっても、やり遂げられない状況で、【木・金にやるべきコトをおざなりにやっている】状態になっている。

お金だけは使っていても、「明日の為の事業の芽」は、ホンのわずかしか生まれていない。
日本政府は、会社経営的にみて、破綻への道を歩み続けているのだ。