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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

画像は悪化、症状は軽快~急性膵炎その後

2016年06月10日 | Weblog

 先週入院しした67歳男性は、入院後に血清アミラーゼは順調に減少して正常化したが、腹痛は悪化して炎症反応が上昇した。膵臓自体の腫脹も悪化して、周囲脂肪織の炎症像も悪化した。やはり総胆管結石の嵌頓からの自然排出を考えていたが、証拠がないのでわからない。

 3回目の腹部CTで増悪した膵炎像をみて困っていた。膵壊死・感染の併発・DIC・ショックに陥る前に、高次病院への転送すべきかとも思われた。午前中にCTを撮影して、午後に病室に行くと、案外腹痛はそれほどではなくなっていた。その翌日(入院1週間後)からは明らかに腹痛が軽快した。昨日炎症反応もやっと下がり始めた(悪化時も改善時も遅れて変化するものではあるが)。画像をみると気持ち悪かったが、臨床症状の改善から、食事を開始した(流動食から開始して上げていく)。来週明けの検査でぐっと検査値が改善したところで治療を終了できそうだ。重症膵炎を多数診ている施設からすれば、大したことはないのかもしれないが、今回はちょっと怖い思いをして診ていた。

 

 

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You Tubeで事前学習~OC・LEP製剤

2016年06月09日 | Weblog

 プライマリ・ケア学会(学術大会)の一般講演は案外目ぼしいものがなく、少人数のワークショップが中心になっている。1ワークショップについて別途1000円ずつ支払う。申し込みがちょっと遅いと人気のあるものはすぐに埋まってしまう。今回は希望するワークショップが半分しか申し込めなかった。

 あまり考えずに、ワークショップ「明日から処方したくなるOC・LEP製剤」に申し込んでいた。そもそもOC・LEPが正確にわかってないレベル。OCはOral contraceptives経口避妊薬で、LEPはLow dose Estrogen Progestin低用量エストロゲン-プロゲスチン。使用目的がちがうだけで、ほとんど同じもの。

 受講予定者にメールが来て、事前学習としてYou Tubeの動画を診て下さいとあった。さっそく見てみると、計45分くらいで良くできている(たぶん)。これを見て、ケアネットの池田裕美枝先生(今回の講師)の番組を見返せば充分な気もしてきた。ワークショップの目的は一般医も低用量ピルを処方できることとあるが、自分で処方することはないと思う。低用量ピルの使い方がわかって、月経前症候群の症状がわかればいいかな。

 7~8年前に、下腹部が腫れているという訴えで30歳代女性が受診した。就学前の子供もいっしょだった。横になると確かに下腹部がポッコリ膨れている。エコーをちょんと当てると、妊娠だった。月経(You Tubeの講義で生理と言わないようにと)は最近3か月ないそうで、子供を二人出産しているのに、自分でわからないものだろうかと思った。産婦人科に回しますかというと、今日はいいですと言ってあわてて帰って行った。まったくの想定外で、びっくり+パニックの状態になったらしい。

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引っ掻いてもとれなくて~基底細胞癌(疑)

2016年06月08日 | Weblog

 2週間前に91歳女性が肺炎で入院した。高血圧症・気管支喘息で当院の内科外来に通院していた。発熱と咳・痰の増加が続いて、午後だったので近くの内科クリニックを受診して、肺炎としてその日のうちに紹介されてきた。胸部X線・CTで3か所に浸潤影があったが、普通に抗菌薬投与(セフトリアキソン)で解熱治癒した。膝が悪いので歩行はゆっくりだが、認知症もなくしっかりした方だった。

 明日退院の予定だった。昨日病室に行くと、鼻に黒い低く隆起した4mmくらいの皮疹があった。小鼻のちょっと上になる。1か月前から気になっていて引っ掻いてもとれなくて、と言う。入院してからあったはずだが、こちらも気にしていなかった。いつからあったのかと訊いても、正確にはわからないようだ。これは皮膚科の教科書に載っている基底細胞癌?。

 今日皮膚科外来(大学病院皮膚科からの出張)で診てもらうと、基底細胞癌疑いで生検された。予定通り明日退院して、1週間後に皮膚科外来受診予約となった。全身を診ないとだめという教訓。

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もう専門医には行きません~多発性骨髄腫

2016年06月07日 | Weblog

 2月に63歳女性が医療センターの血液内科からの紹介で当院を受診した。6年前に多発性骨髄腫と診断されて、ベルケイド(ボルテゾミブ)、次いでレブラミド(レナリドミド)の治療を受けて、完全寛解にはならなかったが、病状が落ち着いてその後は経過観察になった。定期的な通院になるはずだったが、そちらにはもう行きたくないということだった。なんでも診断がついた時の話で余命3年と言われたそうで(MP療法の時の平均余命か)、どうせ完治しないなら、もう治療は受けたくないという。今は治療が複雑になっているので、フォローの通院はしてほしいところだが、その気はなかった。紹介状には、通院する気になったらまた紹介して下さいとあるが、患者さんの勢いに困惑したような文面だった。

 最初に診た先生(大学病院からの応援医師)は中堅になりかかったくらいの先生だったが、その後若い大学院生の先生に変わり、患者さんの個性にタジタジとなって、常勤医の方に回された。一般的な患者さんに比べて治療の変更・開始に納得してもらうまで時間がかかる方だった。最初に言われた余命を過ぎているので、もう死んでもいいと言うが、治癒していると思いたいのかもしれない。

 高血圧症・糖尿病があって、HbA1cが高値(一時は9~10%)だったが、専門外来なので治療していなかったらしい(糖尿病科はない)。当院の初診時はHbA1c7.1%だった。少なくともここ1年は、血清クレアチニンが2.2~2.5mg/dl。血圧は安定している。糖尿病の治療を追加して経過をみることにした。骨髄腫についても見ていくことになると、最新の治療を勉強するしかない。

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「プライマリケアの精神医学」

2016年06月06日 | Weblog

 「プライマリケアの精神医学」中外医学社は、獨協医科大学越谷病院こころの診療科教授・井原裕先生の著書。先週末に読んでいた。「うつ・不安・不眠を訴える患者さんには、ヘルシーな生活習慣を勧めさえすればよい」、ということが15の症例を通して書かれている。重症うつ病などを除いた非精神病圏の軽症~中等症のうつ・不安・不眠を対象にしている。

 具体的には、1)睡眠の絶対量(7時間の睡眠をキープ)、2)睡眠相の安定化(寝るのが遅すぎない、早すぎない)、3)アルコール制限、4)適度の運動(毎日1時間の外出、週1回半日の外出)、5)適度の対人交流(人とお話する)。数量できないので、EBMにはならないが、常識を大事にされている。生活習慣の是正を行って、それでも改善が見られない時に、薬物療法を試みる(その場合でも、できるだけ頓用で使用)。

 確かに高齢者の不眠は、よく聞くと就床が早すぎて(午後7時ごろ)午前2時に目が覚めるということがある。割に安易に睡眠薬を処方してしまうが、それまでずっと処方されていたから急にはやめられない。6~7時間しか眠れないので、早く寝ると早朝(夜中)に起きるのは当たり前とお話すると、案外納得されてもっと薬を追加してほしいとは言わなくなる。実は、付き添いで来ていた家族がもっと納得してくれる。睡眠薬でうまく眠れる方には、できれば半分で試してみてはと勧めるが、無理にそれ以上は踏み込まないようにしている。

 巻末にはお勧めの精神医学の本が書いてあるが、昔なら読んできた笠原先生の本など、なじみのある本が入っていてちょっとうれしい。後期研修で内科外来に出る様になった若い先生にお勧めの本だ。

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普通に慢性硬膜下血腫でした

2016年06月05日 | Weblog

 今日は日直で出ている。受診数は少なく、救急車の搬入もなかった。72歳男性が10日前から足がふらつくという訴えで受診した。仕事は大工さんでまだ現役だった。きょうも仕事場まで行ったが、車から降りる時にふらついたという。普通に歩いて診察室に入ってきた。難聴はあるが、普通に会話できる。頭痛も嘔気もないという。両下肢を拳上してもらうと左右差なく上げた。座位からの起立もすばやくできた。

 受診時、37.6度の発熱があった。タバコ20本/日、アルコールは日本酒5合/日。咳・痰はないというが、人間ドックで肝機能障害を指摘されたそうだ。アルコール性肝障害だろう。聴診すると、左下肺にラ音(coarse crackles)が聴取された。COPDの方が肺炎になって、熱があってふらつくのだろうと思った。

 ふらつきなので、まず頭部CTを撮影することにした。撮影すると、右側に慢性硬膜下血腫を認めた。改めて、頭部打撲の既往を確認すると、覚えていないというが、アルコール多飲と大工さんという仕事から大いにあり得ると思われた。頭痛は、嘔気はと訊き直してもないという。CTの台でも乗ったまま両下肢を上げてもらうと、あっさり上げた。両側上肢も左右差はない。CT室まで看護師さんと一緒に歩かせてしまったが、出る時はストレッチャーを持ってきてそのまま救急室に入れた。

 家族にCTの結果を説明して、脳外科のある地域の基幹病院に連絡した。こころよく引き受けていただいて、救急車で搬送した。胸部X線と胸部CTも撮影したが、肺炎はなかった。

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河盛隆造先生の講演会~グルカゴンの重要性

2016年06月04日 | Weblog

 昨日はエクメット(エクア+メトホルミン)の講演会に行った。実質的に河盛隆造先生の糖尿病講演会。カナダ留学での実験の話から、順天堂大学糖尿病代謝科での最新研究の結果まで駆使した、さずが大物という大所高所からの講演だった。

 血糖上昇には(通常の認識よりも)グルカゴンが大きくかかわっていること、血糖上昇における肝臓の糖産生(新生)が重要であること、がその骨子だった。糖尿病の高血糖時はグルカゴン分泌が亢進しているが、低血糖になると逆にグルカゴンによる血糖上昇は起きにくい。糖尿病ではグルカゴンの暴走をあさえることが大事という話だった。DPP4阻害薬は、インスリン分泌促進よりも、グルカゴン分泌抑制が効果を発揮するそうだ。膵α細胞のグルカゴン分泌を抑えるのは膵β細胞からのインスリン。インスリン注射は皮下注なので、グルカゴン分泌抑制はできない。SGLT2阻害薬は、グルカゴン分泌を亢進するので、いったん血糖が低下しても、その後に血糖が上昇してくるという話もあった

 会場から、1型糖尿病でもDPP4阻害薬を投与すればグルカゴン分泌を抑制して血糖を低下させるので有用ではないか、という質問が出ていた。確かにそうだが、まだ実証はされていないと答えていた(確かにそうだ)。

 糖質制限には反対というより、はっきり批判されていた。ただ、代謝には絶対にブドウ糖が必要というが、それが糖質制限がダメという根拠にはなっていないかもしれない。今月末には、糖質制限の山田悟先生の講演会がある。週刊誌(確か週刊ポスト)に河盛先生は講演会で年間数千万円の収入があると出ていた。あのいい声で滑舌良く話される講演は確かに魅力的だ。

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合わせ技の浮腫?

2016年06月03日 | Weblog

 先々週に開業医の先生からの紹介で、86歳男性が内科新患を受診した。主訴は浮腫。この方は昨年の12月に上腕骨骨折で整形外科に入院した。手術前に出血性胃潰瘍で一時消化器科に転科して、また整形外科に戻った。さあ手術となったが、喘鳴が続いた。

 肺炎として治療したが、喘鳴が咽喉頭部にあることから耳鼻咽喉科(常勤医はいないので応援医師)で診察してもらった。診断は両側反回神経麻痺。耳鼻咽喉科医が複数いる県内有数の病院へ転院となった。原因は不明で、気管切開術が施行された。そこは長く入院できないので別の病院へ移って、家族も扱いに慣れたところで退院となり、自宅へ戻った。かかりつけの開業医は外科医なの、そこで管理することになった。

 内科新患は大学病院からも応援医師で、心不全でしょうかと相談された。酸素飽和度の低下はないが、両側胸水を認めた。循環器科で心エコーを行うと、EFは保たれていた。心臓自体の動きも良かった。心電図は洞調律で肢誘導は低電位差。Ⅰ・aVL・V5-6でT波が平定化があるが、それほど大きな問題ではなさそうだ。有意な弁膜症もない。この方は以前から軽度の腎障害があり(血清クレアチニン1.4くらい)、軽度の正球性貧血もある。

 開業医の先生が浮腫に対してラシックスを投与して、浮腫には効いたが、血清K2台の低カリウム血症となって、K製剤とアルダクトンA25mgに変更していた浮腫の治療をしたが、こじれてしまったので、病院でお願いということだった。最近下痢もしているということだった。津甲状腺機能をみると、若干低下している(浮腫はpitting edema)。

 ご本人は案外元気だったので、こまめに外来で処方と調整することにした。アルダクトンAを追加して、K製剤はそのまま継続した。ちょっとだけチラーヂンSを処方した。処方されていた整腸薬に消化薬も追加した。

 1週間後は浮腫が少し軽減していた。下痢も軽快していた。血清Kが正常化したので、ダイアート30mgを追加した。そしてさらに1週間後の今日は随分と浮腫がとれていた。初診時のBNP200が70になっている。K製剤を漸減として、2週間後に予約した。浮腫の原因は複数の原んがちょっとずつ重なったことによる合わせ技の症状なのだろうか。CKD+貧血+甲状腺機能低下+下痢による低K・低蛋白(軽度)=浮腫?

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犬の世話を頼んできました~急性膵炎

2016年06月02日 | Weblog

 昨日、心窩部痛で65歳男性が内科新患を受診した。担当の先生(大学病院からの応援医師)が診察して、入院をお願いします言われた。4日前から心窩部痛が続いていたが、我慢できたそうだ。前日夜から腹痛の程度が強くなって、我慢できすに受診した。腹部単純CTで膵臓の腫脹は若干あるが、緊満しているわけではない。むしろ膵周囲脂肪織の炎症像が目立った。血清アミラーゼ1800と上昇していた。

 アルコールは機会飲酒で、特に最近の大酒はない。そもそも肝機能はまったく正常域だった。胆嚢摘出術の既往があって、本人は10年前と言っていたが、13年前のCTの画像が残っていてすでに胆嚢摘出後だった。今回胆道系は拡張していない。総胆管に明らかな結石はない。あるとすれば、微小な総胆管結石が乳頭部に嵌頓して、何とか腸管内に排出されたが、それが原因でちょっと遅れて膵炎をきたしたというものだ。確証はないが。

 入院して1週間くらい経過を見ましょうかと言うと、犬を預けないと入院できないという。一人暮らしで、姉と弟がいるがあまり交流はなく、頼めないらしい。幸いにというか、外来担当の先生がNSAIDを内服させて、腹痛は軽減していた。外来でFOY(のジェネリック)入りの点滴を2本して、帰宅とした。明日午前中早めに診てもらうことにして、夜間に腹痛でNSAIDを内服しても治まらない時は、当直帯で受診するように伝えた(当直は内科の医師)。

 今日再受診したが、腹痛は昨日よりも軽減して、NSAID内服はしていない。しかし上腹部は抵抗があって、圧痛もはっきりある。患者さんによると、犬は知人に世話を頼んで、入院の準備をして来ましたという。点滴+FOY+抗菌薬で経過をみることにした。今日の検査でも、総胆管結石の嵌頓は否定的な結果だった。結石の嵌頓・排出後であれば、軽快していくはずだが、どうなるか。  

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スタチンによる横紋筋融解

2016年06月01日 | Weblog

 先週、高血圧症・糖尿病・脂質異常症(高コレステロール血症)で通院している71歳男性が筋肉痛を訴えた。四肢と胸腹部の筋肉が痛いという。何か草むしりとか作業をしすぎたんですか、という暢気な話で始まった。腕立て伏せを毎日日課としているが、特に普段と違う運動はしていないそうだ。検査結果をみると、筋原性酵素が上昇していた。CKは4200で、ASTとLDHも軽度に上昇していた。筋肉の把握痛がある。

 1週間くらい前から始まった症状だった。発熱はないが、同時期から夜寝汗をかく。微熱があるのだろうか。白血球数は正常域で、CRPを追加すると、0.1だった。1週間経過してこの値では筋炎ではないのだろう。特に先行する風邪・上気道炎の症状はなかった。内服薬にアトルバスタチンが入っている。確認すると一昨年の12月から脂質異常症に対して処方を開始していた。けっこうな期間処方していたが、他の原因は考えにくい。日常生活ができなくはないので、入院はしたくないという。まずアトルバスタチンを中止して、経過をみることにした。

 昨日再受診したが、筋肉痛は軽快してほとんど消失していた。CKは400まで下がっていた。抗ARS抗体は陰性。物の言い方はカラッとした感じの方だが、このまま寝たきりになったらどうしようかと思ったと言う。薬の副作用と確診したことをお話した。別のスタチンにするのも怖いので(スタチン全体が禁忌だろう)、脂質異常症は無投薬で経過をみて、無視できないほど高値を呈する時はエゼチニブ(ゼチーア)の投与を考慮する予定だが、値段が高いのでイヤがるかもしれないし、脂質の薬が怖くなって内服したがらないかもしれない。本当に脂質を下げるべきなのかという話もあるし。

 スタチンは山のように処方していて、自分でも内服している。CKが若干高くなる患者さんは多少いるが、ここまでの副作用は初めてだった。

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