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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

緊急透析をお願いします~急性腎前性腎不全?

2016年06月14日 | Weblog

 腎臓内科の先生(大学病院からの応援医師)から入院依頼の連絡が来た。近くの病院の内科から、80歳男性が腎臓内科宛てに紹介されてきた。数日前から調子が悪かったというが、食事はしていた。昨夜から嘔吐がらあり、今朝下痢が2回あったそうだ。食欲もないので、かかりつけのそこの病院を受診した。血液検査で血清クレアチニンが6.0mg/dlと上昇していて、驚いたらしい。高血圧症と閉塞性動脈閉塞症で通院していて、左下肢切断(膝関節から下)の既往がある。ふだんの血清クレアチニンは1.0~1.2だった。浮腫はなく、酸素飽和度は正常域で胸部X線は異常なかった。紹介状には緊急透析を要しますとあったが、高カリウム血症もないので、それはない。

 腎臓内科の先生の話では、嘔吐下痢から急性腎前性腎不全をきたしているので、入院で補液をお願いしますということだった。数日前から嘔吐下痢が続いて相当な脱水症になっているかというと、そこまでではない。患者さんとは普通に会話ができて、看護師さんに冗談を言ったりしている。数日食欲は低下していて水分の摂り方は少なかったそうで、血液検査では血液濃縮の傾向はある。血清カリウムは2.8とむしろ低カリウムだった。嘔吐下痢による喪失を示唆するが、この方は降圧利尿薬を内服していて、ふだんも血清カリウムは2.8~3.0だったので何とも言えない。尿蛋白・尿潜血陽性で円柱は目立たない。

 発熱はなく、腹部は平坦・柔で圧痛はない。紹介先の病院で施行した腹部CT(単純)では、小腸壁が若干肥厚しているようではある。消化液貯留の程度も軽度だった。溶血はない。溶血性尿毒症症候群とは言えないか?腎臓内科の先生の言う通り、入院で点滴をして経過をみることにした。便培養・血液培養まで提出してくれていた。

 これまで急性腎前性腎不全で、どのくらい血清クレアチニンが上昇したか正確には覚えていないが、たぶん3くらいだと思う。ここまで上がったのは見たことがない。入院前にこっそりANCAやANAも提出しておいた。あわてて腎センターのある専門病院に送るようにならないでほしいが。

コメント (2)
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