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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

超肥満の処方は?

2015年08月11日 | Weblog

 糖尿病で外来通院している45歳女性。以前はSU薬である程度血糖コントロールは良好だった。DPP4阻害薬が出てからは併用していた。メトグルコは高用量処方が可能になってからは増量して、1500mg/日にした。α-GIは前に診ていた先生の時から使っていた(現在はセイブル)。この方は著しく肥満があり、身長154cmで体重が140Kg超だった(2台の体重計に乗って測定した)。そのうちに血糖・HbA1cが増え始めて、HbA1c10%になった。

 アクトスは副作用で使用できない。DPP4阻害薬をGLP1受容体作動薬にするかどうかと考えていた。血中Cペプチドは正常域で、インスリンは肥満がさらに悪化しそうだった。SGLT2阻害薬は体重減少が3kg位で、そこで頭打ちになるらしい。そもそも140Kgから3kgの減量はどれほどの意味があるのか。使おうと思ったら、その前に膀胱炎で治療を要したので、そのままなっていた。一度入院して食事療法を守ったら血糖は改善するかもしれないので教育入院を勧めていたが、母親の世話がなどと言って同意しなかった。

 先月末からの感冒症状の後に倦怠感・食欲不振となり、今月1週間前に入院した。数日間点滴をしていたが、まだ本調子ではないというが、食欲も回復していた。入院したことで、血糖コントロールとしては必然的にインスリン強化療法になった。少な目の量で開始したが、1週か経過して、インスリンの効果もあるだろうが、食事療法の効果で(両者でか)血糖は下がり出した。

 現在の処方はDPP4阻害薬・SU薬・α-GI・メトホルミンで、それにインスリン強化療法が追加になっている。本来は肥満手術の適応(大学病院に紹介になる)なのだろうが、現実的にできるのか。今回は調子が戻るまでの2週間の入院予定とう話で入院したが、4週間程度入院を継続して体重減少を期待するのかいいのかもしれない。

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抜管できた

2015年08月10日 | Weblog

 先週から人工呼吸管理となっていた43歳男性(頸髄損傷)は、今日めでたく気管チューブを抜管できた。酸素3L.分で酸素飽和度97%と良好で、他のバイタルも安定している。高カロリー輸液にしているので、経口摂取はゆっくりとST介入で行うことになった。主治医の先生お疲れ様です。今回のことで、呼吸管理は相当自信がついたのではないか。指導できる能力がないので、わかる先生方に聞いてもらっていた。

 左右の肺で肺虚脱・無気肺が生じて、PEEPを16cmH2Oまで上げたりした。麻酔科研修中の先生(もともと呼吸器科医)がリクルートメント手技を行っていたが、幸いに気胸などのトラブルはなかった。鎮静もプロボフォール(ディプリバン)を3mg/kg/時まで使用した。いっしょに見せてもらって勉強になった。わかりやすい「シンプルレスピレータ」文光堂を読み返していた(自分はこのくらいまでだ)。

 amazonで注文した本が2冊届いた。ひとつはカイ書林の「腹痛診療に自信がつく本」で実践的な症例集。もうひとつはメジカルビュー社の「You Tubeでみる身体診察」で、面白そうなので買ってみた。You Tubeやメジカルビュー社のサイトから映像を見ることができる。今時の研修医はこんな形で勉強できるのか。

 他県の病院から明日当院外来に紹介されてくるはずだった63歳男性は、病状が悪化して受診延期になった。この方は当地域在住で、初診は当院だった。咽頭癌で当院耳鼻咽喉科(応援医師担当)から県立がんセンターの耳鼻咽喉科で紹介されて手術を受けた。その後に特殊な放射線治療を受けるために現在入院中の病院まで行ったらしい。原疾患の治療は限界となり、戻ってくる予定だった。

 

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カンピロバクター腸炎

2015年08月09日 | Weblog

 先週の木曜日に前日から高熱と下痢が続く43歳男性が内科新患を受診した。体重80Kg超のガッチリ体型で警察官だった(付き添いの奥さんも体格が良かった)。腹痛は訴えなかったが、右下腹部に軽度の圧痛があった。嘔気はない。

 新患担当は大学病院の若い応援医師(1年目の大学院生)で、入院依頼の連絡が来た。「白血球数が19000でCRPが16で、弱っているようなので」と言う。余計なことかとも思ったが、どういう判断をしたか訊いてみた。診断は何ですかと訊くと、「熱と下痢で」と言う。感染性腸炎ですかと訊くと、「そうですね」と言う。病原菌はと訊くと、「ウイルスかもしれないし、細菌性かもしれないし」と言う。細菌性だとしたら、何でしょうかと訊くと、「大腸菌です」。抗菌薬と使うとしたらと訊くと、「セフメタゾンです」。あまりウイルス性の感染性腸炎は今流行っていないことと、ここ数カ月はカンピロバクター腸炎の入院があることをお話した。他の医局の先生なので、普通は余計なことを訊いたりしないが、つい面白がって訊いてしまった。嫌がられたかもしれない(すみません)。

 患者さんの話では、前日の便の回数は2回で、今日は5回くらいだった。食事のことを聞いたが熱でちょっとボーッとしていることもあり、思い出せなかった。上気道症状・呼吸器症状はなく、頭重感はあるが髄膜炎としての症状はなく、関節痛もなかった。発熱と下痢(水様便で血便はない)なので、感染性腸炎でよさそうだ。腹部所見は軽度だったが、炎症反応高値もあり、念のため腹部CTも撮ってみた(内臓脂肪が多いので読影しやすいと思って単純のみ)。終末回腸に壁肥厚があり、回盲部(回盲弁周囲)も腫れているようだ。周囲脂肪織の炎症はほとんどない。虫垂炎や憩室炎の所見はなく、腸間膜リンパ節腫脹もなかった。便培養を提出した。

 入院して点滴と抗菌薬(FOM)投与で経過をみたが、翌日には解熱してきた。下痢はまだ続いていたが、翌々日には形のある便も混じってきたそうだ。翌日から食事も7割程度摂れている。昨日いつまで入院するか相談して、週明けの月曜日まで入院して、その日に退院する予定とした。便培養の結果はすでに出ていて、カンピロバクターだった。消化器科病棟に入院していて、その時消化器科医もいたので、その話をした。潰瘍性大腸炎と鑑別が難しいこともあることと、大腸内視鏡で見ると回盲弁に潰瘍形成するのが特徴であることを言われた(教科書的ですね)。

 消化器病学会(DDW?)で数年前にめずらしく感染性腸炎のセッションがあって、やはりもっぱら消化管の内視鏡所見の話だった。最後の数分間に治療の話が出て、「うちはクラビットです」「うちはクラビットかホスミシンです」「うちもそうです」という発言で終わってしまった。こういうのは、感染症学会ですべき話なのだろう。カンピロバクターのニューキノロン耐性が増えているので、もっぱらFOMを愛用しているが、カンピロバクターのFOM耐性はたぶん誰も研究してないので実態はわからない。今のところは、菌が検出されるころには解熱しているので、マクロライドに変更しないでそのまま使用している。

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結核ですか?

2015年08月08日 | Weblog

 昨日入院した、たぶん脱水症から腎不全を呈した82歳男性は、点滴を継続していたが、昨日1日で100mlちょっとしか排尿がなかった。点滴の量は紹介したクリニックで1000ml、当院に来てからが2500moだった。浮腫はないので、足りない分が補われたところなのだろう。

 今日は朝から午後2時の段階で400mlの排尿があった。血清クレアチニンも昨日の11から8になった。患者さんの受け答えも昨日よりはっきりしていた。食事をしたいいう意欲も出て、昼から出すことにした。摂取量は少ないが、食べられた。何とかなりそうだ。

 医局にいると、今日当番の内科の若い先生から胸部X線を診てほしいと連絡が来た。内科クリニックから内科日直の先生宛てに、肺炎ということで82歳女性の紹介状が来て、救急車でも搬送だった。日直は大学病院からの応援医師で、当番の若い先生(レスピレータ管理の患者さんを診に病院に来ていた)が呼ばれるという経緯だった。

 胸部X線・CTを見ると、一見して普通の肺炎ではないと思われた。左肺に胸水が貯留しているが、両側肺に気管支拡張と小空洞様の病変、斑状影の散布(tree-in-bud?)を認めた。まずは肺結核を考える。喀痰が自力で出せないので、吸引してみたが、やはりとれない。胃液を引いてみようとNGチューブを挿入したが、ほとんど引けなかった。その時痰がからんで「出してください」と看護師さんが声をかけると飲み込んでしまった。NGチューブを引いてその痰を吸引して提出することにした(これは喀痰培養?)。抗酸菌の塗抹には支障ないだろう。休日なので、今日の検査室の当番は生理検査担当の人で、鏡検できる細菌検査室の人は明日の当番だった。

 酸素3L/分投与で酸素飽和度が95%ある。血圧も特に問題なかった。通常の抗菌薬(ニューキノロンは入れない)で週明けまで経過をみて、さらに精査することになる。外来応援に来てもらっている呼吸器科医にも相談したい。陰圧にできる病室に入院した。

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脱水にもほどがある

2015年08月07日 | Weblog

 内科外科クリニックの先生(外科医)から食欲不振・脱水症の82歳男性が紹介されてきた。1週間近く前から食欲がなかったらしい。前日は他の内科クリニックで点滴を1本してもらって、今日はそのクリニックで点滴を2本していた。暑い日だ続くし、熱中症・脱水症かと思って引き受けた。

 微熱があるが、バイタルは問題なかった。検査室から電話が来て、血清クレアチニンが11あるという。BUNは126で、血清カリウムは5.8だった。Hbが17、TPが8,6と血液が濃縮している。意識はというと会話はできて、ふらふらするが歩けなくはない。血糖は正常だった。

 熱中症や脱水症で血清クレアチニンが2~3になるのは良く見るが、ここまで悪化したのは見たことがない。もともとの腎機能がわからないが、CTでみると腎臓は特に萎縮してはいない。尿所見は尿蛋白2+、尿潜血1+。白血球数12100、CRP1.0だった。急性腎前性腎不全でいいのか、腎実質の疾患があるのか。

 まずは点滴で経過をみるしかない。ある程度の点滴が入ったところで、夜間もう1回BUN・血清クレアチニン・血清カリウムを確認することにした。

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勉強にはなるが

2015年08月06日 | Weblog

 先週の火曜日に肺炎・胸膜炎で入院した43歳男性(16歳時に脊髄損傷で寝たりきり状態)は、内科の若い先生が担当となり、抗菌薬投与(ゾシン)で酸素飽和度も良くなり、炎症反応も改善した。

 これでいけるかと思っていたら、タール便が出て、血圧が低下した(出血性ショック)。消化器科で緊急内視鏡検査を行い、前庭部の散在する浅い潰瘍のひとつに露出血管があって、そこをエタノール止血した。6単位の輸血を行った。

 やれやれと思ったら、胸水が増悪して呼吸不全に陥り、心拍数も低下した。気管挿管・レスピレータ管理となり、数時間後にはFiO20.35で酸素飽和度も95%以上と改善した。胸水を慎重に穿刺して、経過をみようとしたら、穿刺した反対側肺が部分的に虚脱して無気肺となり、酸素飽和度が低下した。PEEPを調整して虚脱を改善して、なんとか安定した。

 その後も、自発呼吸とのバッティングで申請薬を調整して(ドルミカム)、左右肺に起きる虚脱無気肺を広げ、電解質異常を調整してと、次々に課題が出現した。勉強にはなるが、こうも続くと主治医がひどく疲労(疲弊)してしまう(ICUチームが交代で診る病院のようにはいかない)。これを乗り切れば、大きく成長するとは思うので、できるだけ協力して(実際はいっしょに勉強して)来週には抜管に持っていきたい。

(気管挿管直前の胸部X線、胸部CT、少し改善した胸部X線)

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直腸MALTリンパ腫

2015年08月05日 | Weblog

 一昨日の朝に先週80歳女性が食欲不振・倦怠感で受診した。前日から当直だった大学病院循環器科医は早めに帰るので、当院の循環器科医が早出で引き継いでいた。点滴と血液検査を提出していて、炎症反応が上昇していた。内科外来で診てほしいと依頼された。肺炎や尿路感染症などを想定したが、この方は昨年11月に体重減少などで内科新患を受診していた。

 内科の若い先生が担当だったが、腹部CTで直腸に全周性腫瘍が疑われた。消化器科に下部内視鏡検査が依頼した。粘膜下腫瘍様の病変で、悪性リンパ腫を想定して生検したが、結果は非特異的な炎症像のみだった。直腸炎(Proctitis)と病理診断されたが、こんな炎症が直腸に起きるのか不明だった。経過観察で今年の1月に腹部CTを再検すると、直腸の全周性腫瘍は軽減していた。よくわからないが、何等かの炎症だったのだろうということになったらしい。

 今回も腹部CTで直腸の全周性腫脹を認めた。直腸指診をすると、全周性に腫瘤を触知するが、通常の直腸癌と違って柔らかい印象があった。凸凹した腫瘤で表面がつるっとしている。血液が付着してきた。便が出ないわけではないが、出ずらいという。前に内視鏡検査をした若い消化器科医にまた下部消化管内視鏡検査を依頼した。粘膜下腫瘍様の凸凹した腫瘤で表面にびらんが形成されていた。生検した、受診後に39℃の発熱があったこともあり、入院となった。生検結果が出るまで、点滴と抗菌薬で経過をみることになった。翌日には解熱していたので、抗菌薬が効いたのかと訊くと。抗菌薬が投与される前にアセトアミノフェエン500mgの点滴静注がされていて、それで解熱したそうだ。

 今日生検の結果が出て、MALTリンパ種だった。腸管(直腸)MALTリンパ腫は初めてだ。明らかなリンパ節腫脹や転移はない。腸管MALTリンパ種は腸管悪性リンパ腫の中では珍しいようだ(逆に胃MALTリンパ腫は胃リンパ腫に占める比率が高い)。ピロリ菌感染があれば除菌が効くのでまっさきに行う治療になる。それが効かなければ外科手術・化学療法・放射線療法などいろいろある。

 それにしても昨年はどうして自然消褪したのだろうか。

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つい処方してしまった

2015年08月04日 | Weblog

  89歳男性が3か月前から内科病棟に入院している。基幹病院呼吸器科に誤嚥性肺炎で入院して、肺炎は治癒した。経口摂取をさせるとムセって誤嚥するため、絶食で高カロリー輸液での管理になった。年齢的に、胃瘻造設は考慮しなかったようだ。療養型病床へ申し込んだが、すぐには入院(転院)できないので、その間当院での入院継続を依頼されて転院してきた(下請けと言っている)。

 転院してきて、家族から食べたがっているので、食べさせたいと希望された。誤嚥性肺炎が危惧されるが、それでもかまわないという。肺炎になった時は、酸素吸入・喀痰吸引・点滴抗菌薬投与は行いが、重症肺炎でも人工呼吸管理はしないという方針に同意した。嚥下訓練を担当している聴覚言語療法士が付いて訓練を開始した。少しずつゼリー食・ソフト食と上げていって、ミキサー食まで食べられるようになった。時々ムセ込むので心配にはなるが、明らかな肺炎はなかった(不顕性にはあるのだろう)。

 療養型病床が空いたが、食事摂取できるので入院できる条件はなくなった。改めて施設入所を申し込んで入所待ちとなった。今度は施設がなかなか空かない。

 当院に転院した時から、尿閉で尿カテーテルが留置されていた。感染管理で尿カテーテル留置患者さんの尿培養が自動的に提出される(不要だと思うが)。尿培養からはMRSAが検出され、毎月自動的に尿培養でMRSAが検出される患者さんとして報告されることになった。発熱はなく(発語はあるが会話は成り立たない)、炎症反応上昇もないのでカテーテル関連無症候性細菌尿(CA-ASB)になる。ただ、白血球貪食像を認める点が気にはなる。

 このMRSAはGM・MINO・ST・FOMに感受性があるので市中型なのだろう。バクタ内服を処方すると次の尿培養でMRSAが陰性になった。ちょっとうれしかったが、意味があるのかといえば意味はない。「カテーテル関連無症候性細菌尿に対するスクリーニングと治療を施行することは勧められない」となっているが、ついやってしまった。

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発疹・発熱・下痢

2015年08月03日 | Weblog

 46歳男性が小児科医院から紹介されてきた。昨日はその小児科医院が内科系の当番医だった。患者さんは休日当番医を受診して、症状が軽快しないので、今日同じ小児科医院を受診した。なんて律儀な。

 2週間前から発疹(細かな紅斑)が出現して、全身に広がったそうだ。一昨日から微熱があり、昨日の日曜日に38℃の高熱となって咳・痰や水様便も出現した。小児科医院なので溶連菌の検査をしたが陰性だったという。セフゾンとカロナールが処方された。小児科医としては当番医以外の時に来られても困るだろう。入院して点滴したほうが良いと思うので病院の内科に紹介しますと電話がかかってきた。

 鉄工所に勤務するがっちりした体格の男性だった。咽頭は全体的に発赤が目立つが、扁桃の化膿はない。頸部リンパ節腫脹はない。呼吸音正常で、心雑音なし。腹部は下腹部正中の右よりに圧痛を認めたが軽度だった。2週間前に山間部に行ったというが、涼しさを求めていっただけで、山の中に入ったわけではないという。小児科医は、このことがあるので、リケッチア感染も疑われますといっていた。裸になってもらったが、刺し口はなかった。すみませんが全部見たいのでというと、驚きもしないであっさりパンツまで抜いてくれた(男前!)

 白血球数正常域でCRPが1.5とウイルス感染を思わせる値だった。アデノウイルス迅速検査も陰性。ちょっと肝機能障害もあるが、γGTPが高く、これはアルコール性だった。血小板減少・凝固異常もなく、腎機能障害もない。内科の若い先生に症状を話すと、溶連菌ですか、と言われた。確かに症状はあっているが、時系列的にどうなのか。念のためと思って溶連菌迅速検査を提出すると、陽性だった。すでに血液培養を2セット提出していたし、胸腹部CTまで行っていた。肺炎もなく、全身のリンパ節腫脹もなく、腸管の所見も乏しかった(感染性腸炎から結構腸管の壁肥厚が目立つ)。やりすぎだったか。

 入院する気はなくてきたそうだ。この方は一人暮らしで、普段体力があって元気なはずだが、けっこう参っているように見えた。解熱して食事が普通に食べられるまで数日病院にいませんかというと同意してくれて入院となった。夕方5時過ぎに入院したので、点滴で経過をみることにした。

 この方は30歳代の時に白血病の治療を受けている。現在は治療した大学病院に通院していないので、詳細はわからない。期間からいえば、治癒しているのかもしれない。末梢血検査は白血球分画も異常はない。入院なので血液型も提出していたが、検査室から血液型が確定できないと報告が来た。10年前に他の市の総合病院で臍帯血移植を受けている。

 (その後の経過) 翌日は解熱していた。咽頭発赤も前日より薄まったような気もする。発疹は軽減していた。小児科医院で処方されたセフゾンが効いたのか?下痢はまだ続いていいた。咽頭培養を提出して(半日は抗菌薬が入っていない)、パセトシン(ABPC)内服を継続して経過を見ることにした。

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感染症学セミナー

2015年08月02日 | Weblog

  日本臨床微生物学会の感染症学セミナーに行ってきた。今年は蒲田(東京工科大)で開催。東京駅から京浜東北線で21分と意外に近い。

 「いま知っておきたい耐性菌は?」 グラム陽性球菌は増加しているが、微増といったところ。むしろグラム陰性桿菌の耐性化が著しい。多剤耐性緑膿菌・多剤耐性アシネトバクターもあるが、一番の問題はカルバペネム耐性腸内細菌科細菌Carbapenem-resistant Enterobacteriaceae(CRE)。

 「これだけはやっておきたい耐性期検査」 薬剤感受性試験から耐性菌と判明するが、最初から選択培地(MRSA選択培地・VRE選択培地)を使用すると、1-2日早くわかるそうだ。βラクタマーゼを検出するシガβテストも初めて知った(検査技師には常識か)。細菌培養の検査をよく知る必要がある。

 「耐性菌を産まない抗菌薬治療の基本」 亀田総合病院の細川直登先生の講演。抗菌薬治療は二度選ぶ(初期治療と最適治療で)。初期治療empiric therapyは何にでも効く抗菌薬で開始することではなくて、想定した起炎菌をカバーする最小限のスペクトラムの抗菌薬で開始することだという。最適治療は起炎菌に合わせて初期治療で開始された抗菌薬より狭いスペクトラムの抗菌薬にすること。ブロードスペクトラムの抗菌薬をなるべく使用しないことが、目の前の患者さんを治すだけではなく、明日の患者さん、来年の患者さんを治すことにつながっていく。実際に亀田総合病院では感染症科ができてから、耐性菌が減少している。また、標準予防策もきちんと地道にしていかなければならない。

 症例検討の1例目は小児感染症科(都立小児総合医療センター)から6歳男児の脛骨骨髄炎(Brodie膿瘍)。起炎菌はMRSAで、手術と抗菌薬投与(バンコマイシン点滴静注からクリンダマイシン内服)で治癒した。成人だと6~8週間点滴調注を継続するが、小児では条件がゆるせば途中から経口薬に切り替えるそうだ。2例目は亀田総合病院から高齢女性の急性腎盂腎炎からの敗血症性ショック。起炎菌は大腸菌(ESBL)で、メロペネムで開始して(最初の抗菌薬が効かないと死亡に至るケース)、感受性試験の結果をみてセフメタゾールにde-escalationした。これも条件しだいだが、ESBLでもセフメタゾールでの治療もあるという(神戸大学では論文にしている)。

 最後に「2015 CLSI AST会議のトピックス」  感受性のS・R・Iは真面目にやっても案外ブレるという話だった(繰り返すと同じにならない)。Sだから絶対に効くというものでもないので、臨床経過をよく見ることが大切だという。

 まあまあためになるセミナーではあった。東京は暑かった。

 

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