今日は内科新患担当の若い先生が夏休みをとったので、私が内科再来を見ながら新患担当となった。開業医も盆休みをとり始めるので混むかと思ったが、受診は少なくて助かった。内科クリニックから今日から休みなのでと、慢性閉塞性肺疾患の感染による(ウイルス性)増悪の患者さんが紹介された(昨日から紹介状がきていた)。酸素飽和度は室内気で95%だった。昨日から鼻水・咳・発熱があり、喘鳴が聴取された(動くと結構目立つ)。胸部X線・CTで確認したが、肺炎の浸潤影はなく、炎症反応もわずかな上昇のみだった。入院したくないというので、デカドロンとセフトリアキソンを点滴して明日また受診することとした。
外科の先生(諸事情により透析患者さんの管理担当)から、透析をしている78歳男性の血糖管理を頼まれた。この方は糖尿病腎症からの透析導入で、現在でもインスリン強化療法をしていた。直近のHbA1cは5.7%と良好というよりは、良過ぎる。低血糖気味の時間が長くないとこの値は達成できないだろう。
一昨日はその先生が当直だったが、昨日の午前0時過ぎに意識消失で救急搬入された。血糖が23mg/dlで低血糖だった。グルコース静注で血糖はすぐに改善して意識も回復したが、午前中もすっかりもとには戻らなかった。見当識障害があって、不穏状態だった。動くので一時断念した頭部MRIをその後撮ったが、新規の病変はなかった。低血糖脳症の所見はないが、脳神経にダメージがあったらしい。神経内科にも相談したが、夕方になって正常に戻って食事も食べることができた(朝昼は食べられず)。入院後はヒューマリンRのスケールにしていた。
依頼されて現在の処方を見てみると、ヒューマログが毎食直前で、就寝前がヒューマログミックス25となっていた。就寝前に混合製剤を使用している理由がわからなかった。3年前まではNを使用していて、その後に腎臓内科医がミックス25に変更していた。これだと午後10~11時ごろに低血糖になるはずで、今回もその時間に低血糖が発症していた。これまで低血糖での受診がないのが不思議だった。昨日の夕食は全量摂取で(インスリンは食前にヒューマリンRのみ)今朝の血糖が101だったので、変更しようと思った持効型は保留にして明日の朝の血糖を見て決めることにした。私の知らないインスリンの使用法があるのだろうか。
先週入院した78歳女性は、右肺に細かな空洞様病変が広がり、左肺に浸潤影様の陰影+胸水貯留で通常の肺炎ではないが、なんだかわからなかった。炎症反応は軽度から中等度に上昇しているが、発熱はない。結核の検査をしたが、結局抗酸菌は陰性だった。担当の若い先生は左肺の浸潤影様が腫瘤影の疑いありと判断して胸水細胞診に提出した。結果は、腺癌陽性だった。腹部の検索をしていないので、大腸癌などの肺転移も否定できないが、 普通は原発性肺癌だろう。手術はできないし、そもそも全身状態が悪くて化学療法も適応がない 呼吸器科の応援医師(大学病院から出張)と相談して、今後のことを検討することになったが、緩やかな緩和ケアで入院継続になりそうだ(息子と二人暮らしで家庭に介護力がない)。この方は経済的な問題があり、夫が前に入院したが、その時の入院費も現在分割返済中だという。また入院費の相談になりそうだ。
これも若い先生が担当している気管挿管チューブを抜管した43歳男性(頸髄損傷)は、酸素3L/分で安定していたが、昨夜痰がからんで酸素飽和度が一時的に低下した。喀痰吸引などで改善したが、自力で喀痰を排出することはできない。当直の外科医が、喀痰吸引のための気管穿刺を提案してくれたそうだ。明日予定することになった。気管切開・胃瘻造設になると、施設には戻れず、療養型病床でも受け入れは困難になる。本格的な気管切開ではなく、経皮的気管穿刺(トラヘルパー)で一時的に喀痰吸引を容易にして経過をみることになりそうだが、先行きどうなるのか。