先週の日曜日に当番医の医院から30歳代前半の男性が腹痛と血便で紹介された。その日の早朝、急に左下腹部痛が出現した。トイレに行って倒れ込むほどの痛みだったそうだ。痛みはその軽減したが、軟便が出て、そのうち血便になった。発熱はない。
紹介されて当院を受診した時には腹痛は自制可能なくらいだった。左下腹部に圧痛があるが軽度だった。直腸指診をすると、薄く血液が付着した。血液検査で貧血はなく、炎症反応陰性(白血球数正常でCRP0.0)だった。病初期だからか、あまり炎症反応に反映しない病態かもしれない。腹部CTでも病変があると思われるる下行結腸~S状結腸~直腸は異常なかった。便培養を提出した。外来で経過をみるか、入院して経過をみるか相談すると、仕事があって休めないので入院はできないという。点滴をしているうち、腹痛はさらに軽減して水分もとれるので帰宅とした。
便培養の結果を聞きに外来を再受診した。左下腹部に違和感があるが、腹痛というほどではなく、普通便になっていた。便培養は陰性だった。急激に左下腹部痛が出現して、その後下痢・血便が出現すれば高齢者なら虚血性腸炎だが、30歳代でもありうるのだろうか。これまでで一番若い虚血性腸炎は40歳代女性だった(大腸検査で確認)。大腸内視鏡検査で確認するのが正しいのだろうが、ここまで軽快して検査するのも無駄な気がして、虚血性性腸炎の疑いのままで終診とした(1~2週間経過して気になったらまた受診へ)。
今日外来予約があった80歳代半ばの男性はキャンセルになっていた。画面を開けて見ると、先週末に心肺停止で救急搬入されていた。心肺蘇生に反応せず、死亡確認されていた。糖尿病で通院していたが、最近多発性縫梗塞で動きが悪くなっていた。家族の話ではムセった後に急に倒れたので食物で窒息したのだろうか。外来通院は高齢者が多いので、予約されていた患者さんが前回受診日と予約日の間に急死することは何年かに1回はある。自殺も2回あった。縊首と河川で溺死で、前者は警察からの問い合わせで(精神科病院通院を説明)、後者は保険会社からの病状問い合わせ(まったくそれらしいことは把握できず)だった。