43歳男性(頸髄損傷)は今日のX線で右肺全体が無気肺となり、胸水が増加していた(どっちが原因なのか)。さらに痰が絡んで酸素飽和度が低下した(80%台後半くらいだが)。まず外科医が経皮的気管穿刺を行って、喀痰吸引が十分できるようになった。院内での購入を予定している新製品(試供品になる)だった。ガイドワイヤー付きで穿刺が容易だった。気管切開は、今後の展開をみて考えることになった。
さらに胸腔ドレーンを挿入した(18Frダブルルーメン)。慣れているその外科医の指導で内科の若い先生が行った(私が指導するよりいいと思って依頼した)。500mlほど排出したところでクランプして、明日また500ml程度を抜くことにした。X線で右上葉が広がっていた。固定の仕方のコツなども慣れた先生の指導で、「勉強になった」という。胸水細胞診も提出した。
この患者さんは入院時から血尿があったが、CT(単純)で膀胱内に腫瘤様の陰影があった。呼吸管理に追われて精査が遅れていたが、尿細胞診を提出すると、尿路上皮癌が検出された。造影CTで確認すると左腎盂に腫瘍があり、腎盂癌が疑われた(腎細胞癌も考えられるという)、膀胱癌もきっちり造影された。泌尿器科医と相談したが、呼吸状態からみて手術(膀胱全摘+腎摘出)は無理だろう。尿路上皮癌は多発性に出ることがあるという話だった。まだまだ呼吸管理に追われているので、経過観察しかないようだ。両側の胸水貯留は、肺炎・胸膜炎と判断するしかないと思われていたが、癌性胸膜炎の可能性も考えられた。今のところの診断は、膀胱癌+腎盂癌(腎細胞癌否定できず)+両側胸水r貯留ということになる。しだいに全体像が見えてきたようだ。
私の方は、91歳男性の誤嚥性肺炎、基幹病院腫瘍内科からBSC目的で転院の84歳女性が入院した。昨日紹介で受診して、入院したくないと言って外来で点滴して今日再受診としたCOPD増悪の73歳男性も、また喘鳴があり、通うのも大変と入院に同意した(入院するよう家族に言われたらしい)。誤嚥性肺炎の69歳男性は経口摂取が進まず、来週胃瘻造設を予定することにした。