昨日購入した「むかしの頭で診ていませんか?循環器診療をスッキリまとめてみました」南江堂を読んでいた。3の「左室の収縮が良くても心不全は起こる」にHFpEF(heart failure with preserved ejection fraction)が出てくる。左室駆出率が50%以上あるのに、収縮昨日が低下した心不全と同じ症状が起きる病態だ。拡張不全によるということになるが、その指標が異常を示さないことがあり、診断は難しいらしい。
心不全症状があっても、心エコーでEFが正常域だと、循環器科に心不全ではないと言われてしまうことがある。炎症反応が軽度に上昇していたりすると、肺炎とされる。胸水貯留に左右差があると特にその傾向がり、肺炎・胸膜炎とされる。利尿薬と抗菌薬投与で治療して、たぶん利尿薬が効いて病状は改善する。
昨日施設から全身浮腫の91歳女性が紹介されてきた。ちょっと前に内科に入院していた(若い先生が担当)。利尿薬と抗菌薬である程度改善して退院した。前回の心エコーでEFは正常域で、循環器科では心不全とも言いにくいですねという評価だった。この方は低蛋白血症もあり、その影響もある。今回、胸水貯留が左右差があり、肺癌・癌性胸膜炎ではないかということで、胸腔穿刺を行うことになった(穿刺するので付き添い的に呼ばれた)。淡黄色の胸水だった。ちょっと変な方向にいっているかもしれない。
退院時処方のダイアート60mg+アルダクトンA25mgという組み合わせを、施設嘱託医がラシックス20mgに変更していた。利尿薬の減量で悪化しているから、まず利尿薬増量で見ましょうということにした。入院後、利尿が付いてきたそうだ。要するに心不全(低蛋白血症を伴う)でいいようだ。酸素飽和度は酸素2L/分程度で十分保たれている。なにしろ浮腫で点滴の継続がきびしい。食事も摂れるので、経口薬の調整(利尿薬追加)で何とかなりそうだ。慎重にサムスカ投与もある。
心不全症状があるが、EFが正常域だ、心不全ではないという流れではなく、HFpEFという診かたをすれば診療がもっと楽になりそうだ。(内科の若い先生は、12年目の男性と5年目の女性。5年目の先生の指導を2人でしている。県の奨学金返済のため公立病院の当院で勤務中だが、その後大学の医局に入局するまで、できるだけ臨床経験を積ませたいと考えている。)