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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

勉強にはなるが

2015年08月06日 | Weblog

 先週の火曜日に肺炎・胸膜炎で入院した43歳男性(16歳時に脊髄損傷で寝たりきり状態)は、内科の若い先生が担当となり、抗菌薬投与(ゾシン)で酸素飽和度も良くなり、炎症反応も改善した。

 これでいけるかと思っていたら、タール便が出て、血圧が低下した(出血性ショック)。消化器科で緊急内視鏡検査を行い、前庭部の散在する浅い潰瘍のひとつに露出血管があって、そこをエタノール止血した。6単位の輸血を行った。

 やれやれと思ったら、胸水が増悪して呼吸不全に陥り、心拍数も低下した。気管挿管・レスピレータ管理となり、数時間後にはFiO20.35で酸素飽和度も95%以上と改善した。胸水を慎重に穿刺して、経過をみようとしたら、穿刺した反対側肺が部分的に虚脱して無気肺となり、酸素飽和度が低下した。PEEPを調整して虚脱を改善して、なんとか安定した。

 その後も、自発呼吸とのバッティングで申請薬を調整して(ドルミカム)、左右肺に起きる虚脱無気肺を広げ、電解質異常を調整してと、次々に課題が出現した。勉強にはなるが、こうも続くと主治医がひどく疲労(疲弊)してしまう(ICUチームが交代で診る病院のようにはいかない)。これを乗り切れば、大きく成長するとは思うので、できるだけ協力して(実際はいっしょに勉強して)来週には抜管に持っていきたい。

(気管挿管直前の胸部X線、胸部CT、少し改善した胸部X線)

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