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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

発疹・発熱・下痢

2015年08月03日 | Weblog

 46歳男性が小児科医院から紹介されてきた。昨日はその小児科医院が内科系の当番医だった。患者さんは休日当番医を受診して、症状が軽快しないので、今日同じ小児科医院を受診した。なんて律儀な。

 2週間前から発疹(細かな紅斑)が出現して、全身に広がったそうだ。一昨日から微熱があり、昨日の日曜日に38℃の高熱となって咳・痰や水様便も出現した。小児科医院なので溶連菌の検査をしたが陰性だったという。セフゾンとカロナールが処方された。小児科医としては当番医以外の時に来られても困るだろう。入院して点滴したほうが良いと思うので病院の内科に紹介しますと電話がかかってきた。

 鉄工所に勤務するがっちりした体格の男性だった。咽頭は全体的に発赤が目立つが、扁桃の化膿はない。頸部リンパ節腫脹はない。呼吸音正常で、心雑音なし。腹部は下腹部正中の右よりに圧痛を認めたが軽度だった。2週間前に山間部に行ったというが、涼しさを求めていっただけで、山の中に入ったわけではないという。小児科医は、このことがあるので、リケッチア感染も疑われますといっていた。裸になってもらったが、刺し口はなかった。すみませんが全部見たいのでというと、驚きもしないであっさりパンツまで抜いてくれた(男前!)

 白血球数正常域でCRPが1.5とウイルス感染を思わせる値だった。アデノウイルス迅速検査も陰性。ちょっと肝機能障害もあるが、γGTPが高く、これはアルコール性だった。血小板減少・凝固異常もなく、腎機能障害もない。内科の若い先生に症状を話すと、溶連菌ですか、と言われた。確かに症状はあっているが、時系列的にどうなのか。念のためと思って溶連菌迅速検査を提出すると、陽性だった。すでに血液培養を2セット提出していたし、胸腹部CTまで行っていた。肺炎もなく、全身のリンパ節腫脹もなく、腸管の所見も乏しかった(感染性腸炎から結構腸管の壁肥厚が目立つ)。やりすぎだったか。

 入院する気はなくてきたそうだ。この方は一人暮らしで、普段体力があって元気なはずだが、けっこう参っているように見えた。解熱して食事が普通に食べられるまで数日病院にいませんかというと同意してくれて入院となった。夕方5時過ぎに入院したので、点滴で経過をみることにした。

 この方は30歳代の時に白血病の治療を受けている。現在は治療した大学病院に通院していないので、詳細はわからない。期間からいえば、治癒しているのかもしれない。末梢血検査は白血球分画も異常はない。入院なので血液型も提出していたが、検査室から血液型が確定できないと報告が来た。10年前に他の市の総合病院で臍帯血移植を受けている。

 (その後の経過) 翌日は解熱していた。咽頭発赤も前日より薄まったような気もする。発疹は軽減していた。小児科医院で処方されたセフゾンが効いたのか?下痢はまだ続いていいた。咽頭培養を提出して(半日は抗菌薬が入っていない)、パセトシン(ABPC)内服を継続して経過を見ることにした。

コメント
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