高血圧症の88歳男性は、妻といっしょに2か月に1回受診している。不眠と腹部の不快感などを訴えて、器質的な異常がないことから、SSRIも処方されている。
奥さんはその辺のことがわかっている。といって、いちいち気にして困った人だというわけでもなく、暖かく見守っている感じがする。
2019年1月にがんセンター泌尿器科から前立腺癌治療後のフォロー依頼があり、当院の泌尿器科にも通院している。
泌尿器科医は、北関東の中心的な病院に勤務していたが、そこは60歳定年だった。就職先を探して、経緯はわからないが当院に赴任された。65歳定年だが、さらに3年間定年延長して(慣例で3年まで可能)その後は非常勤として来ている。(施設の嘱託医もされている)
電子カルテには患者サマリーを記載するところがなく、(当方もだが)簡単な経過を付箋で貼っている。便利だが、カルテを開くと右上に出るので、患者さんにも見える。(腎臓内科の先生は、カルテ記載日を1年後にして経過を入力している。これだとサマリーが診察記録の最初にくる。)
この患者さんの泌尿器科の付箋には、前立腺癌が記載されている。2012年に健診で血清PSA高値を指摘されて、がんセンター泌尿器科を受診していた。生検で前立腺癌と診断された。
限局性癌でリンパ節転移、遠隔転移はなかった(画像上)。しかしリスク分類で血清PSA、組織像のGleasonスコア、T-病期がいずれも高リスク相当だった(高リスクは1因子でも満たせば高リスク)。
治療は、ホルモン療法併用の放射線治療となった。まずホルモン療法が行われて、血清PSAが正常域になったところで、放射線療法(強度変調放射線療法intensity-modulated radiation therapy:IMRT)が行われた。その後、2年間ホルモン療法が継続された。
半年に1回血清PSAが測定されているが、正常域で問題ない。現在は、過活動性膀胱に対してβ3刺激薬が処方されている。前立腺癌の治療から10年生存したのだった。
心気症傾向がある患者さんは、わずかな自覚症状でも受診するし、健診をしっかり受けている。いろいろな訴えがありながら結果的に長生き、という患者さんのパターンがある。