昨年の12月30日に(日直をしていた)、施設入所中の83歳男性が発熱で救急搬入された。尿閉で尿カテーテルが留置されていた。
施設職員は、以前尿路感染症だったので今回もそうでしょうかという。留置カテーテル尿なので、細菌尿にはなっている。
胸部X線ではっきりしなかったが、CTで見ると、両側下肺野背側、特に左側に浸潤影を認めた。飲み込みが悪く、栄養剤なども処方されていたが、最近は特に摂取量が減っていた。
誤嚥性肺炎として入院治療を開始した。スルバシリン(ABPC/SBT)で順調に解熱軽快したので、治療は特に困らなかった。
後は経口摂取できるかだったが、ST(聴覚言語療法士)さんに診てもらっていたが、経口摂取は数口がやっとで進まなかった。脳梗塞後遺症で左半身麻痺がある患者さんだった。
家族(県外在住の娘さん)に来てもらって、事情を説明した。CTでは、胃の前に横行結腸があり、内視鏡で胃を広げても穿刺は困難と判断された(消化器科医も、無理ですという)。
頑張るとすれば、CVカテーテル挿入・高カロリー輸液だった。末梢用の点滴を継続して、経口摂取を数口でもいいので試みるのもあるが、長くは維持できない。
娘さんは、患者さんが元気な時から無理な治療はしないことになっていました、という。高カロリー輸液での入院継続(正確には療養型病床への紹介になる)は希望しないといわれた。
施設が気に入っているらしく、現状でもいいので退院したいと希望した。点滴はしてもらえるので、病院から出してもらいたいという。しだいに衰弱した時の看取りまで施設にいたいそうだ。
その施設は付属の診療所はなく、決まった嘱託医もいない。以前診てもらっていたクリニックに往診で対応できるか、相談してもらうことにした。
当院は現状訪問診療や往診はしていない。看取りの時は救急搬送してもらって、救急外来で対応するようになってしまう。