なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

非代償性肝硬変の手術

2018年01月18日 | Weblog

 整形外科に83歳女性が左大腿骨近位部骨折で入院した。手術をするところだが、この患者さんはC型肝硬変・肝性脳症がある。脾腫が目立ち、汎血球減少症(白血球数1900、Hb9.1g/dl、血小板数5.1万)がある。白血球数は上昇してこの値で、ふだんは1000未満になることもある。

 病棟にいると、麻酔科の先生がやってきて、手術できるかと訊かれた。名前を聞いてもピンとこなかった。

 7年前に右大腿骨近位部骨折で手術をしている。その時は肝性脳症はなかった(気づかれなかった?)。術後に手術部に血腫形成があったが、保存的に治まっていた。4年前に肺炎で内科に入院しているが、その時には肝性脳症の治療も合わせて行った。普段は近くの内科医院に通院しているので、自分が直接診たのはその時だけだった。

 今回と前回の違いは年齢が進んでいること(76歳から83歳)と腎機能障害が加わったことだった。それでもChild-Pugh分類だと8点になる(時系列でみて最悪値を組み合わせればもっと上になるが)。できなくはないのか。

 整形外科医と麻酔科医の気持ちを忖度(?)してみると、どうもやめた方がいいと思っているようだ。内科から、肝硬変の程度から見てむずかしい、という意見を聞きがっている。意見を述べよと言われれば、「術後に一気に肝不全が進行する可能性が高いが、患者さんと家族がどうしても希望すれば、危険を承知した上で手術することもあるでしょう」、になる。

 手術しないで保存的にみると、ADLはだいぶ悪くなってしまう。それでも勝負をかけてそのまま増悪・死亡するよりはいいのかもしれない。

 昨年肝硬変の患者さんが大腿骨近位部骨折で入院した。今回の患者さんよりは問題ないと判断されて(内科にコンサルトもなかった)手術したが、術後に肝不全・消化管出血をきたして、もともも通院していた肝臓専門医のいる基幹病院へ搬送したいる(予後は確認していない)。

 

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