先週の水曜日に地域の基幹病院消化器内科から、ベット満床のためということで、急性腹症の75歳男性当院に搬送された。その2日前の夜に発症している。夜間は家族の車で、翌日とその翌日は救急要請していた。
当院に搬送されてからも検査を行って、外科にコンサルトした。泥状~水様便が排出されると腹部所見が軽減したこともあり、すぐに開腹するとは決められず、慎重に経過観察となった。心房細動はなく、腸間膜動脈の明らかな閉塞はなかった。腸間膜動脈血栓塞栓とすれば、もっと短時間(発症から1~2日)で症状が増悪したはずだ。
入院して経過をみていたが、症状が再度増悪して、2日後に開腹手術が行われた。小腸の壊死していた部分が切除された。腸管壊死が進行する可能性があり、さらに2日後に再度手術が行われたが、幸いに腸管壊死の進行はなく、閉腹したそうだ。
これは非閉塞性腸間膜虚血症non-occlusive mesenteric ischemia(NOMI)なのだろうか。壊死した腸管を切除して(最小限の侵襲)、腸管壊死の進行を再手術をして確認するという、慎重なそして確実な対応をしている。外科医は常に難しい判断をしていると感心する。術後経過は順調のようだ。