95歳男性が左胸水貯留で内科医院から紹介されて受診した。発熱はないが、軽度の左側胸部痛があるらしい。胸腹部CTで肥大肺門部から気管支に沿って腫瘍性病変があるようにも見える。肝臓内に複数の結節があり、線維性肝癌と思われた。消化器癌については、膵癌はなく、胃癌は何とも言えないが食欲は普通で考えにくい。大腸癌もなさそうだった。肺癌の転移とすると全部説明できる。妻はすでに亡くなっていて、子供はいない。今は甥っこの家に世話になっている。連れてきた甥の妻に相談したが、高齢なので苦痛のともない検査や治療は希望しないという。本人は意外に元気で入院はしたくないという。
痰は出なかった。エコーで見ると十分な量の胸水で穿刺可能だった。18Gの長針で検査に必要な分だけ吸引して、培養と細胞診を提出した。2週間後に予約を入れて、体調が悪い時はその前に受診することとした。肺癌で間違いなければ、できるだけ外来でみて、悪化した時に入院とする。