なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

結腸癌の穿孔でしたか

2012年10月25日 | Weblog

 今日消化器科医に、昨日内科クリニックから紹介されてきた51歳女性の話を聞いた。

 一昨日の夕方に内科クリニックから明日の外来に紹介したいとFAXが届いた。地域医療連携室の係は、派遣の事務員なので病気についてはほとんどわからない。翌日の診察依頼なので、そのまま翌日の外来予約をとったのだった。消化器科医がFAXの内容を確認した時は時間外になっていた。記載された病状を見ると、下腹部痛があって、炎症反応高値だった。今すぐ紹介しますでもおかしくない病状と思われた。しかしその内科医は上部下部内視鏡検査も行っている先生で、腹膜炎を見逃すとは思えなかった。4日前に排尿痛で発症したとも書いてあったので、尿路感染も疑われた。

 それで、患者さんは翌日(昨日)消化器科の外来を受診した。腹部単純X線で、左右の横隔膜下にフリーエアーがあり、穿孔性腹膜炎とすぐに分かった。腹部造影CTでS状結腸癌があり、癌の一部が穿孔して腹膜腔に膿瘍を形成していた。肝転移もあった。すぐに外科コンサルトとなり、緊急手術が行われた。S状結腸切除・人工肛門造設となったそうだ。癌の潰瘍底が穿孔したが、腸間膜に被覆されて、腸液が少し腹腔内に漏れて数日かけて膿瘍を形成したのだろうと推定された。もし一気に糞便が腹腔内に漏れれば、激痛・板状硬となり、その日のうちに受診したのだろうが、幸いにと言うべきか不幸にもと言うべきか、そうはならなかった。

 もし自分が最初に診察したとして、きちん診断できただろうか。まあ病院なので、すぐに腹部CTを撮影したとすれば診断はできるだろうとは思うが、実際に当たってみないとわからない。

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