なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肝性脳症

2012年10月01日 | Weblog

 昨日の日曜日、外来に肝硬変・肝性脳症で通院している76歳女性が、意識障害で基幹病院に救急搬入された。慢性硬膜下血腫でそこの脳外科を受診した既往があったが、頭部CTでは異常なかった。血清アンモニアが200と高く、肝性脳症の増悪による意識障害と診断された。通院している当院へ入院依頼がきて搬送されてきた。救急で診たのは神経内科医で、その日当番の消化器科医に連絡したところ、通院している当院へ搬送するように言われたそうだ。当院の日直は循環器科医で、入院させていいかどうかと自宅に連絡がきた。すでにアミノレバンの点滴がされていたので、炎症反応の上昇と発熱、さらに脱水症による腎機能障害があり、点滴の追加と抗菌薬の指示をお願いしていた。

 今日患者さんを診にいくと、意識は戻っていた。血清アンモニアも正常域になっていた。発熱があり、感染症による肝性脳症の増悪だが、感染巣がはっきりしなかった、胸部CTで肺炎はなく、尿混濁もなかった。胆道系も問題なく、腹水がないので肝硬変による原発性細菌性腹膜炎でもなかった。細菌感染がどこかにおきているはずだが確定できない。アミノレバンの点滴と抗菌薬を継続して経過をみることにした。増悪の原因がなくて肝性脳症が悪化すればどうしようもないが、何らかの増悪因子があればそこを治療すれば改善する可能性がある。長期予後が悪いこと自体は変わらないが、今回はなんとか良くして退院にもっていけそうだ。ちなみに、この方の肝硬変はアルコール性。

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