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「ナーベラ」
「ごめんねー、終わったよー。季節じゃないからちょっとしか仕入れなかったよー」
「ジャア、トーフーチャンプルートナスミソネ」
儀保駅から首里城へ向かう丘の途中にある『椿食堂』。
僕たちが地元の人たちに混じって家庭料理を感動しながら食べていると、外国人の男性と日本人の女性のカップルが入ってきて、おばあちゃんにオーダーした。男性のほうは常連さんのようだ。
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しばらくすると、おばあちゃんがご飯をよそう担当のおじいちゃんに向かって指示する声が聞こえた。
「あの子たちは、半分でいいのよー」
聞こえたんだか聞こえていないんだか。おじいちゃんはニコニコしながら、そして信じられないくらいゆっくりゆっくり自分の仕事を続けるのだ。
見ればやっぱり、僕のご飯と同様にお茶碗は山盛りになっていた。
「ハンブンニシテクダサイ」
と、お茶碗が二つ厨房に戻される。
「だから言ったじゃない。ごめんねー、でも若い人はいっぱい食べなきゃダメだって、おじいさんが言うのよー」
店内が笑いに包まれた。当のおじいちゃんは相変わらず何も言わず、ただただニコニコしているだけ。
こんなやりとりで、僕たちの料理がいっそうおいしくなったことは言うまでもない。
つくづく料理とは、作る人と食べる場所だと思う。
何も飾らない普通の料理がこんなにおいしいのは、やはりそこで食べているからこそなのだ。
「勝手に本に載って、たくさん人が来るから困るよー」
招かれざる客である僕たちを、それでもこのご夫婦はニコニコと見送ってくれるのである。
働くことが楽しい。ずっとここで、こうしてお店をやっていたい。
二人の顔には、確かにそう書いてあった。
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