昨日の夕方、東海道線の車内。４人掛けのクロスシートに一人で座っているおばさんがいた。
脇に置いたバッグから『美しい日本語』と書かれた新書がのぞいている。
そのおばさんの足は前に伸ばされ、向かいのシートにある。車内はガラガラなので、シートに足を乗せていること自体は問題ない。ただ気になったのは、その足が靴を履いたままであることだ。
これは、マナー違反である。
見れば、耳にイヤホンをしている。注意するにしても大きな声を出すのは嫌だな、どうしたものかと逡巡していたその時だった。
反対側のクロスシートにやはり一人で座っていた坊主頭、鼻の下にヒゲを蓄えた、いかにもコワモテなおじさんが、通路まで身を乗り出したのだ。そして、おばさんの靴を指差しながら何かを言った。そのコワモテにふさわしい渋くて低い声だったので、言葉はよく聞き取れなかったが、おばさんはハッとして足を床に下ろして、おびえながら一礼したのである。
僕は、椅子の背もたれの上に見える彼の坊主頭の後頭部に「グッジョブ」と親指を立てた。
それにしても、おばさんはびっくりしただろうなぁ。こんな風貌の人にマナーを注意されるなんて。いや、人は見かけによらない。もしかしたら先生かも。いや、お坊さんかもしれないな。
本文と写真とは関係ありませんので、あしからず。この方は見た目もやさしい？