山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

焼岳ホワイトアウト

2016-10-31 00:25:48 | 山歩き.散歩
鮎のシ-ズンを終えたオ-ちゃんを誘った、雪が来る前に北アルプスの焼岳をやろう!





濃霧のために断念した7月のリベンジでもあるのだけれど、中の湯ル-トは今回もガスガスの中で難儀させられた。
シラビソの葉に纏わりついて飽和した霧が大粒の雨となって降り注ぐ森をずぶぬれになって歩き続けるはめになる。





森林限界を超えるとガスは更に深くなり気温はマイナス1度、更に強風が吹き付けて体感温度は如何ばかりか?





前を行くパ-ティはご高齢の方2人とガイドさん、この辺りで南峰から噴き出す硫黄の匂いが強烈になってくる。





南峰への立ち入りは禁止されているけれど、巻道付近でも噴気孔から幾筋もの硫黄の煙が吹き上げている。





お願いだから今日だけは噴火しないでいてくれと願いつつ噴気孔に近づいて硫黄臭と戯れた。





おとなしい噴気孔でさえ手をかざすと熱い。
噴気孔で茹で卵を作ろうと考えていたのだけれど強風と寒さでそれどころではなかった。





硫黄の噴気孔で遊んでから北峰と南峰の分岐への最後の急登を詰める。





午後1時、濃霧の中で2度ほど道を失ったけれど4時間ほどで北峰頂上に立てた、フリ-スの上から冬用のシェルを着ていても堪らなく寒い!





写真を撮って頂いた3人パ-ティは15分ほどで下山して最後に我ら2人だけが残った。





強風を避けて岩陰で天ぷらそばの準備を始めると、、、、なんと天頂にぽっかりと穴が開いてま~るく青空が覗いたではありませんか!





お~い、オ-ちゃん!
奇跡だよ奇跡、穂高が頭を出してくれたよ~!





なんだよこれ~嘘だろ~、こんなことってあるのかよ~!





展望なんて期待していなかったものを、こんな奇跡の一瞬をプレゼントしてもらえるなんて
たった1分ほどのドラマのお蔭で今日の苦行のすべてが報われたような感動に酔いしれたひと時でございました。





アップでもう一度、いやぁ感動です!





冷たいガスが晴れたときの太陽って、信じられないほど暖かくて優しいんですよ!





奇跡のドラマはほんの一瞬で幕を閉じて四周はまた深い霧に覆われてしまいます。
時々薄い霧を通して陽の光が差したとき、光を背にして頂上の端に立つと谷底に二度三度とブロッケンが現れます。
写真に残そうとカメラを構えると、光がまた厚い霧に遮ぎられて大日如来になった自分の姿は一瞬のうちに消えてしまいます、残念!





午後2時15分、名残惜しいけれど下山です、急斜面を慎重にくだり、、、、





一層深くなったガスの中、道を失わないように慎重に時間をかけて何とか日没前に下山することができました。







いつものひらゆの森、ぬるめの湯にゆっくり浸かって冷え切った体を温めて生気を取り戻してから
飛騨牛のハラミとビ-ルでようやく人心地つくのです、、、、、








翌朝7時半、安房峠道から、しらびその山のずっと奥に、噴煙を吹き上げる晴天の焼岳がはっきり展望できました。





紅葉の見納めにと白骨温泉に向かいます。
山紫水明、大和の美が凝縮されたような渓谷美に惚れ惚れ。





1時間も立たないうちに辺りはまた霧に包まれてしまいました。




また今日も焼岳はドラマを見せてくれるのでしょうか?
晴天の山が一番素晴らしいことは疑いもないことだけれど、でも山はいつだって素晴らしい!

だから山を、やめられないのでしょうねえ!
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孫たちの運動会

2016-10-24 00:30:35 | 独り言
中東もアジアもどこもかしこも内戦や領土紛争の火種が燻っている状況を見るにつけ
平和主義者である僕でさえ日本も速やかに軍備と法整備を進めなければと危機感を抱く昨今です。

そんな折、平和の象徴でもあるかのような孫たちの保育園の運動会に立ち会う機会に恵まれました。
狭い園庭で、しかも0歳児~6歳児の子供たちの運動会ですから端から期待はしていなかったのですが
物の見事に期待を裏切られる素晴らしいシ-ンの数々に遭遇し不覚にも感涙にむせぶという清々し経験ができました。

日本は何と素晴らしい国でありましょうか!
家庭での教育や躾の不行き届きを、保育園での集団生活や先生方の教育のお蔭で規律と社会性が見事に身についています。
心身に障害を持つ子供たちにも同じように競技や演技ができるようにと児童たちが助け合っている様子を見て
保護者の皆さんが惜しみない拍手と声援を送る、あぁこの国の精神性はいまだ正常なんだと実感した次第です。

亡くなった母を看て頂いた看護師さん方の強い使命感に感動したように
子供たちの健やかな成長を心から願ってふれあって下さる先生方の強い使命感を目の当たりにした一日でもありました。

 


お昼にはお弁当を広げて家族で和気あいあいの時間を過ごすことができました。
僕たちの小学生時代の運動会さながらの時間を持てたことに心から感謝したいと思います。
こんな風景は遠の昔に途絶えたと思っていたのですが、これこそ昔懐かしい運動会の原風景なんですよね。

 

先生方の準備にかけた日々を想うと、ご苦労はいかばかりかと頭の下がる思いでございます。
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ちょい呑み山歩

2016-10-16 23:33:42 | 川飯.B級グルメ
2日続けて晴れなんてまるで奇跡のような週末に、僕は山に行くことができませんでした。
計画していた後立山の五竜と唐松、仕事でつぶれて悶々と事務所に閉じこもっておりました。
雪が来る前の綺麗に着飾った山を満喫した山屋さんを、これほど羨ましく思った週末もありません。

そんなとき、僕の住む街には山心をちょっとだけ満たしてくれる広大な自然公園がいくつもあるのです。
仕事を終わらせた日曜の午後、10分ほど自転車を走らせて雑木林の中を小一時間汗ばむ程度に歩きます。











少し汗ばんできたら、あまり人が入らない迷路のような狭い道を進んで山飯を楽しめば少しは心も晴れるというもの。





ナラの木の根方に腰を下ろして、山飯の真似事を始めます。





先ずはビ-ルのプルトップを開けて、牛肉を焼きながらガ-リックバタ-醤油のソ-スを作ります。

 



八ヶ岳J&Nさんのような美しいソ-スとはいきませんが、これなかなかイケるのです。
ところで、和風ステ-キと洋風ステ-キの違い、分かります?
和風ステ-キは箸で食べられるように初めからカットされていて、
洋風ステ-キはナイフとフォ-クで食べるのでカットされていない、ということなのだそうです。





次は、鍋用のサッポロ一番のス-プで鍋を仕込みます。
これ、お手軽でいいなあ、缶チュ-ハイ1本追加です。
小難しいことは考えず、ただ木々に抱かれてやる山飯のなんと幸せなこと!





〆はやっぱりこれですよねえ!
男はなぜバカの一つ覚えのように呑んだあとラ-メンを食べたがるのか、これ女性が抱く疑問のひとつなのだそうです。
ではそう言う女性にお聞きしたい、なぜ女はお腹いっぱいになったあとでもケ-キを食べたがるのでしょうか?





いやあ満足です!
これで満足なのですから安上がりな男でございます。
このままここで昼寝したい気分ですが、
ここで爆睡しているとホ-ムレスに間違われてしまいますから下山です。



ほんの3時間、午後だけのささやかな山飯の時間でございました。
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八つの天狗岳

2016-10-09 17:59:57 | 山歩き.散歩
『高崎さんって、今日から常念やるんですよねえ? いま中房温泉まで車が入れませんよ』
木曜日の午前0時すぎ、出発の準備をしているところに双六小屋で知り合った川崎のNさんから電話が入った。
『えぇ-っ、嘘でしょ?』
ブログで僕が燕(つばくろ)から常念山脈を縦走することを知っていて知らせてくれたらしい。
『表銀座をやるつもりで来たんですけど台風で倒れた木が道を塞いで通行止めなんですよ!』
『これから僕はヒエ平に向かって一の沢を登りますけど高崎さんはどうします?』
『だったら今日は中止して寝ますわ、増水しているだろうから一の沢は気を付けてね!』
こうして今年の台風の数々は、僕が大切に温めていた計画のことごとくを破壊して通り過ぎて行く。

翌く金曜日、計画を変更して八つの天狗に登って懐かしい根石岳山荘に泊まろうと桜平に向かった。
平日だというのに駐車場からあふれた車が15台ほど路駐していた。

感じのいい渓を眺めながら急坂の林道を30分ほどで夏沢鉱泉
そこからオ-レン小屋までは八つらしい苔むしたシラビソの道を登って行く。





学生時代、美濃戸から入って赤岳、横岳、硫黄岳、天狗岳を縦走し、みどり池を経て稲子湯に下りた。
岩峰と苔むしたシラビソの森、そして清々しい渓の流れは北アルプスにはない魅力を秘めているというのに
あれから64歳になる今までに八つと触れ合ったのはほんの数えるほどしかないことに今更ながら思いを致す。





オ-レン小屋から夏沢峠へ、ヒュッテ夏沢で朝飯代わりにパンをかじってから箕冠山(みかぶりやま)へ向かう。







箕冠山を過ぎると、これから向かう根石岳と東天狗の稜線が手に取るように展望できる。
ここから根石山荘に下り、根石岳を登って大きく下り、東天狗に登り返す、すでに頂上には何人もの登山者が立っている。





根石岳への途中でいま来た道を振り返ると稜線上に今日お世話になる根石山荘が、左奥には横岳とガスに霞む円錐形の赤岳が見える。





根石岳の頂上から西天狗、雲海に浮かぶのは北アルプスであろうか?





根石岳から下る道で恐竜の背を彷彿とさせる東天狗の稜線を望む。





この角度から望む東天狗と西天狗の双耳峰が一番カッコイイと思う、さあこれから東天狗のピ-クを踏みに行こう!





東天狗の稜線からいま来た道を振り返る。
右手前が根石岳、その奥が硫黄岳の爆裂火口、その右が横岳、更に右奥半分見えるのが赤岳。





爆裂火口のアップ!





さあこれから恐竜の背のピ-クへと岩稜を詰めよう、左肩に激痛が走り、腕に力が入らなくて怖いけれど頑張れ!





いったん下って最後の岩稜を登り返すと東天狗のピ-クだ!





東天狗のピ-ク2640mあまりか?
ピ-クに立つとすべての雑念が消えてスカッとする、やっぱり山は快晴に限るなあ!
雲海に浮かぶ山々が南アルプスだろうが中央アルプスだろうがそんなことはどうでもいいこと
ただただ四周に広がるの大展望を眺めているだけでいい。











東天狗を下って根石山荘に向かおうとしていると70代と思しき老夫婦の会話が耳に入ってきた。
どうも明日は荒れるらしい、雪も降るらしい、根石山荘は諦めて下山しようかという話らしい。
常念の天候からして明日の悪天候は覚悟していたけれど、八つにも降雪があるなら僕も潔く里に下りてしまおうか?





根石山荘で風呂を浴びてからビ-ルという夢はついえたけれど、また来ればいいさ!





オ-レン小屋に下る途中で横岳に別れを告げる。
八つも捨てたものじゃないね、横岳も赤岳もまた登ろうかなと思わせてもらった。





オ-レン小屋から夏沢鉱泉に下る道には渓相のいい沢が沿う、岩魚がいるかとつい覗いてしまうけれど鉱泉が入っているからねえ、、、、





この冬はここに泊まって硫黄岳に登ろうかと、、、、





桜平から携帯でJ&Nさんに予約の電話を入れて宿が確保できた。





一日の汗を流して独り占めの湯舟に身を沈めると体中の筋肉が少しずつ弛緩してとろけてゆく。
午後4時半、ちょっと早いけれど生ビ-ル、おつまみはどれがと尋ねると
塩味も適度なイタリア産のプロシュ-トとミラノサラミを用意して下さいました。






2杯目のビ-ルが空くころ、リブロ-スのステ-キプレ-ト、ガ-リツクバタ-醤油のソ-スが美味しゅうございました。





寝室は2畳ほどの個室タイプ、プライバシ-が保たれたとても安らげるスペ-スで午後6時から翌朝7時まで熟睡でございました。





翌朝、なんと空には晴れ間が出ているではありませんか?
明日は荒れる、雪も降るかもっていう予報はいったいどうなったのでしょうか?

午前7時半、なんともやるせない気分で朝食を頂きます。
用意して頂いたのはパニ-ノとサラダとコ-ヒ-のセット、生ハムとチ-ズのパニ-ノが美味しゅうございました。
日ごろ粗雑な山飯川飯派の僕にはおしゃれ過ぎる気もするのですが、たまにはこんな感じもええものですよねえ。





さて、僕が好んで愛読しているのが穂高山荘と岳沢小屋のブログです。
穂高山荘のハチロウ氏の本格的な山屋さんらしい蘊蓄に富んだブログもさることながら
ハチプロダクションの映像の世界に浸ってしまうと抜け出せなくなってしまうのです。

岳沢小屋のブログに『降る降る詐欺』という話がありました。
降るぞ降るぞという天気予報を信じて山を断念すると結局は晴れて悔しい思いをする。

逆に僕は『照る照る詐欺』もあるぞと強く言いたい気分です。
とにかく今年のシ-ズンは降る降る詐欺と照る照る詐欺に引っかかって
持ち金の全部をふんだくられた気分になっているのは果たして僕だけなのでしょうか?

今年もあと3ヶ月、降る降る詐欺にめげずに山を楽しみたいものですね!
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釣れない最終釣行

2016-10-04 00:10:10 | 川飯.B級グルメ
釣りなのに釣れなくてよければご一緒に?
こんな誘い文句に乗る男は先ずいない。
なのに、太っちょボブさんは快く乗ってくれた(バカな男である)
僕のふるさとの小川、釣りで入るのは1年ぶりになるだろうか?





棲んでいるのはせいぜい6寸程度の山女魚だけれど、きれいな山女魚がそこそこ遊んでくれる、、、、、いつもなら





なのにこの日の山女魚は激渋で釣れたのは15センチの山女魚が一尾、しかも写真を撮ろうとしたら逃げられた。
ダメな日はこんなものである、でもマイナスイオンを浴びながら歩く緑の渓は格別だから釣れなくてもいいのだと自分を納得させる。





最後の足掻きにと神の川の日蔭沢でちょい釣り、でも反応があったのはたったの一度きり(ヘボだから打つ手がない)





丁度12時、刺身のツマの釣りは潔く切り上げてメインの川飯にしよう。
腰を落ち着けようと思っていた長者舎のテン場が台風の大水で大変なことになっていた。
平石沢が溢れて砂利で埋り、その濁流が長者舎を襲って敷地は幾筋もの深いクレバスを作っていた(画像はボブさんのブログを)
仕方なく平石沢の流れと化した林道に荷を広げた、暑い日だったのでビ-ルが格別に旨し!





気が付けばジャガリコで作ったマッシュポテトが乗っている、これ結構イケますねえ!
ついでに500mの缶酎ハイチュ-ハイも開けちゃって良い気持ちで爆睡、やはりメインは釣りよりも川飯でございますね。




次週は久しぶりに北アルプスを一人で歩こうと思っています。
60肩で左腕が不自由だし、1週間前には階段から滑り落ちて左腰の激痛が残っているしで鎖場や岩稜帯は怖くて歩けそうにありません。

さて、こんな満身創痍の体で北アルプス、いったいどの山を選べばいいのだろうか?
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