山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

タラノメヤマ ノボレ!

2010-04-27 22:47:46 | 自然薯 山菜
昔っから食いものの恨みは恐ろしいなんてえことを申しましてな

喰いてえ喰いてえと思いながらも時が来るまではとグッと我慢していた大好物を
横からひょいとかっさらわれでもしてみなさいなアンタ、そりゃもう悔しくて悔しくて
酒も喉をとおらず夜もねむれなくなっちまうような訳でございましてな。

そうかと思えば、ほっぺたがおっこちてしまうぐれえ旨えものをいただいたりしたら
そりやもう小躍りして喜んでしまうのも古今東西世の常でございましてな
今回はそんな天国と地獄をいっぺんに味わったような一日になった次第でございます。


4月25日、マルキュウヒトマル タラノメヤマ ノボレ!

おい熊さん、3週間待ちに待った突撃命令が遂に出ましたぜ
おぉ八っあん、いよいよだな、さあ突撃じゃあ!

歩兵49連隊の精鋭3名はリ-サルウェポンを携えてこの急斜面を勇んで突撃したのでございます。


               



隊長~っ!
てえへんだてえへんだあ、タラの芽部隊100余名全員、何者かの襲撃を受けて玉砕しております!

なに~っ、玉砕だと~っ!
くぅ~っ、一足遅かったか~っ!
それにしてもやるせないこの敗北感、許せ、タラノメ部隊よ!

♪う~み~ゆ~か~ば~ み~ず~くか~ば~ね~♪
♪や~ま~ゆ~か~ば~ く~さ~むす~か~ば~ね~♪

そりゃもうひどいものでございましてな
100本にも及ぶ太いタラの木が切り倒されて屍累々の光景は見るも無惨で言葉もありませんでしたな
突撃の昂揚した気分は一気に削がれて肩を落として下山したのでございます。



               



人間というものは何とも不思議なものでございますな
敗北感に打ちひしがれていてもお腹だけは減ってしまうものでしてな

ビ-ルをやりながら熊さんが作ってくれた大盛パスタをあっという間に
平らげてしまったという訳で、いやあ山で食すパスタもなかなかやるものでございます。



 



午睡のあと近くを散策しておどろいたのなんのって
八王子だと言うのにミズやイタドリ、ワサビやシドケまで自生しているではありませんか
しかも誰も手を付けていないのですから来年の楽しみがまたひとつ増えたと言う訳でして

いやあ八王子の山、おそるべし!

 



八王子の山を猟場とする熊さんもサスガでございましてな
タラの芽山のひとつやふたつ玉砕したからと言ってタダで起きる男ではありません。

何があっても客人を手ぶらで帰すということがない訳でありまして
この日も別の猟場でチョチョイのチョイと15本ほどのタラの芽を探し出してくれたのでありました。
いやあどこの猟場でも必ず結果を出すこの猟師魂は只者ではありません。

帰宅後、天ぷら、ポン酢のおひたし、炒め物でタラの芽を味わい尽くしたことは言うまでもありません。
旨かったあ!

 





そして翌日
珍しくてしかも貴重なものをいただきました。
料理人にして釣り師、北信濃在住のブログ友達からの贈り物です。
どうですか、この透明感のあるオレンジ色の肌、思わずうっとりと見入ってしまいます。

雪の下で無農薬栽培したという『スノ-キャロット』
爽やかな甘さは野菜というより果物といった方が正しい表現かも知れません。

そのまま丸かじりで頂きましたが
まるでニンジンの常識を覆すような想像を越えた美味しさに感動すら覚えます。



 


『馬の角をつくる!』

このスノ-キャロットの唯一の生産者の信条だそうです。
つまり『馬に角はない。だから無いものを作ること。どんなことにも探求心と好奇心を持って挑戦し続けたい』

どんな世界にもフロンティアスピリットを持って挑戦し続ける人がいる。
美味しい野菜で感動し感動させる、素晴らしいことではありませんか!


今日もまた感謝感謝の一日でございました。

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長期休暇

2010-04-19 23:17:52 | 独り言
人生初めての入院はちょうど15年前のことでした。
顔がゆがんで手足がしびれ救急で診察を受けたら脳梗塞と言うことで。

あの時の2週間は生きた心地がしませんでした。
死を覚悟して家族やお世話になった方々に遺書をしたためたものでした。
人間というものは死に直面すると腹を括れるものだと痛感したものでした。

さて、6月7日から2週間ほど入院生活を送ることになりました。
今回の入院は15年前とは違って悲壮感はありません。
呑みすぎ喰いすぎの習慣をコントロ-ルできない意志の弱さに起因しています。

僕は大の愛煙家です。
しかも甘いものを食べながらのタバコが実に美味しいのです。

大の酒好きでもあります。
一日酒を呑まないと人生の一日を損した気分になるのです。
しかも美味しい酒肴を味わいながらのお酒が実に美味しいのです。

こんな生活を送っていたら病気にならない方がおかしいと言えなくもありません。

でもせっかく2週間も入院するのです。
長期休暇をもらったと思ってゆっくりしたいと考えています。

かねてから、経営トップというものは年に一度くらいは数日の休みを取ってホテルの一室に籠り
人も電話も遠ざけてじっくり構想を練る一人きりの時間を持つべきだというのが僕の持論でした。

なんてったって新築したばかりの都立病院で特別室(単なる個室)はホテルみたいでしてね。
こんなチャンスを生かさない手はないですし勿体ないですからね。

読みたい本は10冊ほど用意するつもりです。
ペンとノ-トも必携です。フライタイイングもしたいのですがさすがにこれは無理でしょうかね。

病院も様変わりしたものです。
パソコンも持ち込みOKですしインタ-ネット専用ル-ムも完備です。
でも僕はパソコンの持ち込みはせずに考えることに専念する積もりです。

今年、来年、10年先の、遠征や事務所作り人作りの構想を練ること、これが何より楽しみです。

取れるようで取れない一人きりの時間、今から楽しみにしています。













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天城の春溪

2010-04-12 00:18:12 | フライフィッシング
天城の山は山桜の薄紅(うすくれない)に霞んでいた。

峠を越えてこの小溪U川に辿り着いたのは午前7時のことである。
大型のアマゴは下流の里川、そんなことは分かりきっているのだけれどボクの心は最上流部へ行けと命ずる。







昨夜、某医療法人の経営戦略会議が終わって帰宅したのは午前0時過ぎ
いくつかのメ-ルに返信し、風呂に入って一睡もせずに天城へとひた走った。

ご案内いただいたのは伊豆を猟場とする心強い相棒熊さん。
気だるい体にビ-ルを流し込んで溪に立つと一瞬のうちにしょぼついた頭が覚醒した。
午前7時だというのにメイフライのハッチが始まったではないか。


              



6Xのティペットには14番のメイフライを結んだ。
5フィ-ト6インチ#2、細身のグラスロッドが綺麗な弧を描いて小気味よい。
アマゴはどれもみな小さいのだけれど朱点をちりばめた溪の宝石はたゆたう流れの中に輝いて鮮やかさを増す。


 



U川からふた山を越えて更に小さなK川の源流部に入った。
この溪への道は地震か大雨なのか深い地割れのために通行止めになっていた。
熊さんのジムニ-はそんなことはものともせずに疾駆する。
ここを猟場としている熊さんは伊豆の海も山も溪も道も地形も実に詳しい。


 



源流部ゆえか季節ゆえか型は小さいのだけれど背鰭も胸鰭も朱に染まり
とりわけ朱の帯の鮮やかな尾鰭はシャ-プでネイティブを彷彿とさせる。


 



5時間ほどの遡行に充たされて源流部から里に下りる。
源流釣りの緊張感から解き放たれるのはこんな穏やかな里山の風景に触れるからなのだろうか。
伊豆が素敵だと思えるのは釣りよりもこんな里山の風景に触れるときなのかも知れない。






今回は熊さんの知り合いの別荘?にお世話になりました。
料理人でもある親爺さんには釣ったばかりのアオリイカ、ヤリイカ、マダイを刺身でご馳走していただきました。


 



お酒がすすんでしまうのは料理が美味しいからに他なりません。
釣り好き、山菜好きが揃えば夜更けまで語り合ってしまうのもまた当然なのでございます。


 



釣りの旅で布団に寝たのは多分これが初体験かも知れません。
隣で寝言歯ぎしりうわごと奇声をこれでもかと発しやがる熊さんを
ボクは本気で絞めたろかとも思ったのでありますがね

美味しい料理と心尽くしのおもてなしの一夜をロハでお世話になった感謝を
仇で返すのも何ですからボクも目一杯のイビキで反撃してやったつもりなのでございますが
結局は二人とも爆睡して心地よい目覚めの朝を迎え、朝ごはんも美味しく頂いたと言うわけでして。



 



伊豆の山は何とも素敵でした。
ワラビもアシタバもあちこちに萌えて山菜好きのボクにはパラダイスと言ってもいいほどで



 



もちろんタラの芽だってにょきにょき
おみやげにとタラの芽をアオリイカまで頂いて帰りました。
今回も熊さんと熊さんのおじ様には感謝の言葉もありません。


 


穏やかな山と里、美味しい海の幸

春の伊豆は疲れてしまった男たちの心のホスピタルなのかも知れませんね!




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春の山を食べ尽くす

2010-04-04 23:03:30 | 自然薯 山菜
本州にヒグマは棲息していない。
と言うことは、あの男はおそらくツキノワグマの末裔なのでしょう。
あの男の胸板にうっすらと残る三日月の影がそれを物語っているような気がするのです。

熊の行動範囲はすこぶる広いと言われています。
そう言えば、あの男の行動範囲の広さにも舌を巻くのです。

今日は八王子に巣穴を持つ釣友熊さんを訪ねて彼の餌場をご案内いただきました。
突入したのはタラの芽の山
見渡せば山の斜面にタラの木が林立して100本を優に超える大群落があるではありませんか

これはもうタラの芽祭りじゃ~と思ったのも束の間、良く見れば萌え始めたばかりでちと早すぎましたな
2週間後の再突入を誓ってやむなく下山した訳でありますが八王子にもすごい山があるものだと驚愕したのでありました。

これは里山に下りて摘んだものですが何と美しい山の恵み!





次に遊んだのは里山、広大な湿地一面にセリの大群落が広がっておりました
夢中になって袋いっぱいに摘んだセリはおひたしとセリ汁、美味しいんですよね。

 


葉ワサビはさっと湯通ししてのおひたし、この風味もたまりませんねえ!

 


何とものどかな風景じゃありませんか
ひと昔前の田舎では当たり前だったこんな風景、どこへ行ってしまったのでしょうかねえ?




山菜摘みに満足するとお腹が減るのです
また山に入って、どうですこのそそられる溪相、これが八王子だなんて信じられます?
真夏にこの溪を釣り上がったらさぞかし爽快な釣りになると思いませんか?




溪の傍らで気の置けない友と語らいながらの山飯、やめられませんな

 



ここも熊さんの餌場
ほんの2センチほど頭をもたげた筍、落ち葉に埋もれたのを探し当てるのが楽しくてワクワクするのです


 


息子の嫁は自然薯掘りも筍堀りも病みつきになったように良く働くのです
掘ったのは6本、時期的にも最高のコンディションでありましたな

 



久しぶりに収穫の喜びを味わい、休めなかった2週間の鬱憤を晴らすことができました
山の恵みを食べ尽くすこんな美味しい山遊び、幾つになってもやめられませんね
熊さんの餌場でほんの少しだけご相伴にあずかりのどかな時間を過ごすことができました。

 
 


明日は筍づくしでイッパイ、熊さんに感謝感謝です。



追伸
帰宅してブログを巡回していて悲しい記事にちょっとショックを受けています
親しい釣友『へなちょこN』さんが広島へ突如転勤が決まってしまいました。
今年は南アルプスと黒部への天泊釣行を予定していたのですが、
頼り甲斐のあるパ-トナ-を失って茫然自失の状態に陥っています。

心からNさんのご冥福、もとい新天地でのご活躍をお祈りしたい気持もあるにはあるのですが
喜々として彼の地の溪を釣り歩くNさんを思うと寂しさと羨ましさが綯い交ぜになってしまうのも事実です

Nさん、これからも年に一度くらいは天泊釣行にご一緒してくださいね。


コメント (16)
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