山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

黒部の峪で熊さんに出会ったあ!

2014-09-26 00:09:03 | フライフィッシング
午後7時前、夕焼けの中を黒部に向けて旅立った。
今年初めての黒部の旅に心は湧きたっているのに何故か嫌な予感が渦巻いていた。

何故なのだろうか?
今年3度も黒部にチャレンジしながら貧果に祟られ続けている寅さんが道連れだからなのだろうか?

                    



何はともあれ体調も回復して、お約束の百段百段も快調に進む。








道草をしなかった今回はCTよりも大分早く平乃小屋に辿りついた。
この染み入るような群青の空と湖を眺めているだけで心が洗われていくのが自覚できる。






乾いた喉に一気にビ-ルを流し込む。
この爽快感を味わうためだけに極力水を控えてきたのだ。
寅さんが作ってくれた飯山の蕎麦を一口手繰る、そして間断なく手繰る、文句なく旨し!
彼の誘いに乗って2本目のビ-ルに口を付けてしまった、あぁこれで一日目の釣りは終わっちまったな~!






爆睡のあとでヌクイ谷を釣り上がる寅さんも山釣りの姿がなかなか様になってきた。
ように見えるが、実はほろ酔いの足はふらつき目は霞んでおそらくフライがどこにあるのか見えてはいない筈である。






二人して見事に坊主を喰らって潔く負けを認めた夜は、心晴れやかで酒がことさらに旨い。
寅さんが担いできた白ワインで気持ちよく酔ったあとも日付が変わるまで呑んでしまった。






2日目は朝6時の渡船で白き谷に渡った。






登山道の脇に朝露に濡れて輝くリンドウがひとつ。
この凛とした気高さは、栽培された花には決して備わることのない美しさである。







午前7時、木橋の傍にザックをおろした。
ここは昨年、相棒のヒロキチちゃんと川飯をして昼寝した場所、懐かしい。
陽の当らない寒い峪で焚火を熾して寅さんが淹れてくれたコ-ヒ-で暖をとる。

ふいに、熊、と叫ぶ彼の指差す方向に目をやると対岸を走り去る熊が目に入った。
豊かで艶やかな毛並み、優しいながらも誇り高き風貌、走り去る四肢の躍動を目にして
その野生の持つ美しさに思わず抱きしめたくなるような衝動に駆られてしまった。
あの熊と心が通じ合うテレパシ-を僕が持ち合わせていたらどんなに素敵なことだろうか。






午前8時前、白き谷にご来光を迎える。








ほんの数分で太陽は輝きを増し、峪を明るく照らし、少しずつ温めていく。
寒ければ寒いほど日の光の有り難さを感じる一瞬である。






午前9時、峪の隅々にまで日の光が行き渡った。
今日も吸い込まれるような黒部ブル-になった、これだけでここにいる幸せを感じてしまう。






9月後半の黒部岩魚は午後から活性が上がると平乃小屋の佐伯さんが言っていたれど、待ちきれずに釣りあがった。






小M沢出会いの先まで釣りあがって、結局釣れたのは寅さんの8寸岩魚一尾だけ、はやり早すぎたか?






2日目も飯山の蕎麦を頂いて幸せの川飯を味わった。
蕎麦好きの僕のために寅さんはラ-メンで我慢してくれた、申し訳なし。



 




午後の部は1時半から下流部を釣りあがる。
言われたとおり岩魚の活性が上がってドライフライへのアタックが活発になってきた。
とは言え、減水した峪への岩魚の遡上は少なく、尚且つ毎日釣り人に攻められて神経質になった岩魚の喰いが浅くて難儀した。






手にした岩魚は二人とも3尾づつ、バラシ多数、まあヘボ釣り師の我らとしてはこんなものでしょうね。
釣れた岩魚はその場で漬けにして夜の宴会の酒肴の一品に加わった次第です。






帰りの船を待つ間、渡船場で寅さんがルア-を投げる。
ほんの20分ほどで銀ピカのブル-バックを2尾キャッチ、この刺身もとろけるほどに旨い。






3日目、黒部とのお別れの朝






ヘロヘロの僕とは対照的に増々源流師らしく逞しさを増す寅さんが羨ましい。






帰途、黒き峪を魚止めまで釣りあがる。
右岸の深い洞窟が埋まり、左岸の流れがなくなって岩魚の着き場が少なくなっていた。
僕のドライフライめがけて良型の岩魚がぬうぅっと浮き上がってきたけれど喰らいつくことはなかった。
これほど魚影が薄く、しかもナ-バスになっているのは珍しいことである。






今回も往復8時間の登山道を歩き、3本の峪を遡行し、良く歩いたものである。
4年間、僕の旅を支えてくれた相棒SIMMSもついに壊れてしまった(お疲れさん)

                 





思うように岩魚には出会えなかったけれど、黒部の大自然が変わらずに好きだ。
荒削りの峪に、ジンクリアな流れに、そこに棲む岩魚たちの生命の躍動に、
抜けるように蒼い黒部ブル-の空に、その中にいるだけで満たされてしまう不思議。

だから旅はおもしろい。
また来年も黒部に身を置きたいと思う。
寅さんとの二人旅ができて本当に良かった(ありがとう)










コメント (28)
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一姫二太郎

2014-09-17 00:46:40 | 独り言
                     小さな命が生まれてくれました。
                     我が家では大きな喜びと祝福に満ちています。
                     
                     名前が付けられて、この子に命が吹き込まれました。
                     これからこの子にはどんな人生が開けていくのでしょうか?


                     


                     人の生きる意味が様々に語られています。
                     それは、答えのない旅のようにも思えます。
                     僕も、この年まで生きてみてようやく
                     おぼろ気ながらその意味が分かってきたような気がします。

                     人は、人生を生きてみて初めてその意味がつかめるような気がします。
                     信じあえる友を得る喜び、一生を共にする伴侶に巡り合える喜び
                     人生を捧げられる仕事に巡り合える喜び、没頭できることに浸る喜び

                     この子も、長い人生を生きてみて初めて多くのことに巡り合い
                     生きることの意味を掴み、生きる喜びを感じてくれることでしょう。

                     人生の終わりを迎えるのならこの人と
                     命の終わりを迎えるのならこの場所で
                     そんな本望と思えるものに沢山たくさん
                     巡り合って欲しいと心から願っています。

                      
                     皆様も、どうかそんな人生でありますように! 
                     

                     
                                           
コメント (32)
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北アの峪でテン泊釣行

2014-09-11 00:40:44 | フライフィッシング
山の天気はなんとも覚束ない。
体調不良を10日も引きずっている。
こんなことでは9月もまた棒に振ってしまう。
天気予報は芳しくないけれど意を決して北アルプスの峪に突入を試みる。

突入前夜は土砂降りの中で野宿をした。
相変わらず食欲もなく夕食はおでんの大根ふた切れ、酒も呑めず。
翌朝はサンドウィッチ一切れ、端からシャリバテでエンスト寸前の体調で歩き始めた。
今回の相棒はいつものヒロキチちゃんと飯山の寅さん、この二人が一緒なら僕が倒れてもナントかしてくれる。

登山道には今を盛りとチタケがニョキニョキ、誘惑には勝てず僕も一瞬だけ元気を取り戻してチタケ摘みを楽しんだ。





二人に遅れること30分、息も絶え絶えに目的の峪に辿りつけた。
なのに、なんと先行者多数、テン泊も二組、聞くと毎日攻められていて釣果も芳しくないようで、、、





狭いテン場に寝床をしつらえる、自然の空気に包まれたいならこれが一番いい。
先行者は下山してこの夜のテン泊は我らだけになった、土砂降りになったら男3人抱き合ってやり過ごせばええのだ。





力持ちの寅さんとヒロキチちゃんは夜通し燃やせるだけの薪木を寝床に担ぎ上げる。





昼食を取ってから今夜の食料調達に峪を釣りあがる。
やる気満々の寅さんとは対照的に昼食も取れなかった僕は
峪を遡行する気力もなく途中までの行程をマイペ-スで釣った。





荒々しい峪を釣りあがるヒロキチちゃん、寅さんも後を追って
魚止めの更に上まで釣りあがるのを僕は只々眺めているだけであった。





釣果はド貧果、31センチをヒロキチちゃんが、28センチを寅さんが仕留めた。





大物3尾を宴会用の刺身とタタキとバタ-ソテ-にする。
残りの3尾は一晩焼き枯らして岩魚茶漬けにすると極上品になる!





野営は焚火があってこそほっとする。
寅さんのトレ-ドマ-クのこうもり傘はストックにもなれば雨宿りにも活躍するギアでいかにもフウテンの寅さんらしくて笑えるのだ。





北アルプスの大自然に身を置いてようやく僕もビ-ルが喉を通るまでに回復したようだ。





酒肴は岩魚の刺身、岩魚のタタキ、ミョウガとオオバの梅肉和え、そして寅さん自家製の極上スモ-クサ-モン。
このあとも次から次へとあきれるほどに宴会料理が並んだけれど僕はとんと記憶がない。


 



明日のチタケそうめん用に麺つゆを仕込んでおく、一日寝かせたら旨くなるぞい!





焚火がいい感じになってきた。
岩魚の焼き枯らしは極上の岩魚茶漬けになる!





午後10時過ぎ、目を覚ますと月が雲に霞んで夜空が明るくなっている。
このあと、さっと雲が晴れて満天の星とス-パ-ム-ンの競演となった。
他に誰もいない北アルプスの峪でひとり天体ショ-に浸る幸せを何に例えたらいいのだろうか?





ふと目をやるとヒロキチちゃんが半眠りの状態で気持ちよさそうにスイングしている。
眠れないのかと問いかけると、こんな夜は幸せすぎて眠ってしまうのがもったいなくてと返してくれた。
ロマンチストなのは僕も寅さんもヒロキチちゃんも、自然を愛する男たちにも共通する心根なのだろうか?





思いのほか夜が暖かくて午前8時までぐっすり眠って気持ちよく目覚めた。





何度か起きだして焚火を守ってくれた寅さんのお蔭で、、、、





岩魚は程よい焼き枯らしに仕上がった。





ヒロキチちゃんが淹れてくれたコ-ヒ-の後で2時間ほど釣りあがる。





僕は早々に竿を畳んで、水中や岩を忙しなく動いて餌をついばむカワネズミや辺りの風景を眺めて楽しんだ。





ヒロキチちゃんの夢であった岩魚の焼き枯らしが美味しく仕上がった。
岩魚茶漬けは次回にしてそのままかぶりついた、実に旨し!
岩魚の命を頂いて自然の与えてくれる恵みに心から感謝した。





今年もまたチタケそうめんで旅を締めくくることができたことが何よりも嬉しい。





火の始末をして、ゴミひとつなく片づけてテン場を後にする。




名残惜しいけれど、旅の終わりはいつも心地よい疲労感と痺れるような哀愁が心と体を震わせる。

旅の良さはこれに尽きるとつくづく思えてくる。

ご一緒していただいた寅さん、ヒロキチちゃん、心に残る旅をありがとう。

そして、ようやく僕も元気を取り戻すことができました!

コメント (26)
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