山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

牛の寝通りは霧の中

2020-09-30 00:38:58 | キノコ狩り
飛騨山脈の山旅の疲れも癒えた先週末、牛の寝通りに癒されようとゆっくり歩いてみました
3日間、適度な雨が続いたブナの森は深い霧に包まれて幻想的な雰囲気を醸しておりました




実は9月26日からの3日間は釣友と黒部平の小屋ラスト釣行の予定だったのですが
右腕の肉離れの痛みが取れずドクタ-ストップがかかって僕だけ断念したという訳で、、、




この日の狙いはナラタケとウラベニホテイシメジとハナイグチ
適度なおしめり、気温の低下、好条件がそろったのでキノコがわんさかと期待したのですが、、、




時期が早いのか、僕の目が節穴なのか、地元の人たちに遅れをとったためかブナの森のキノコはさっぱり、、、
仕方なく大マテイ山まで足を延ばしてカラマツ林を徘徊してみたのですが、やはりここもさっぱり、、、




チチタケに似たキノコや僕の知らないキノコばっかしワンサカ、もっと勉強しなくちゃね~

 
 


お~っと、カラマツ林に夏キノコのタマゴタケが1本だけ、君はちょっと寝坊しちゃったんだね~!




それでも丹念に探してみるとハナイグチがちらほら、このヌメリがいい感じではありませんか?




1本目、採ったど~!




僕たちは旨いんだぞ~と、まるで自己主張しているように見えませんか?




この子も肉厚でいい感じです




3時間ほど山を徘徊して下山する頃には深い霧も晴れていました




松姫峠からちょっと下った林道脇で山飯です
今回の収穫はタマゴタケ1本とハナイクチ6本、昨年に続いてありえない超の付く貧果でございます




先ずは湯がいて冷水で冷やしたハナイグチをモミジおろしとポン酢で、これが一番美味しいかな




1本だけのタマゴタケはホイル焼きに、とろっとろの傘としゃっきしゃきの茎が美味しゅうございました




雨の後の黒部、寅さんとヒロキチちゃんはさぞかし好釣果にほくそ笑んでいることでしょうね~
でも数少ないキノコたちのお蔭で僕も満足の一日となりました




〆はなんといってもハナイグチのカルボナ-ラ
ボルチ-ニ茸に似たハナイグチにぴったりのパスタでございます



これからまだ1ヶ月、キノコの季節は続きますよん!



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黒部最源流周遊の旅(後編)

2020-09-10 01:05:31 | 山歩き.散歩
4日目(9月2日)
午前5時10分、足の遅い僕は寅さんより1時間早く朝靄の中を出発した

元々の計画ではここに連泊して朝風呂に浸かり1日のんびり高天原を散策して過ごし
5日目は大東新道を下ってA沢出合から黒部本流を釣りあがる予定であったのだけれど
腕の怪我で釣りにならない僕は釣行から山行に切り替えて西銀座を歩きたいと提案した
釣りはそこそこに三脚担いで星空を撮る山行も乙なものと寅さんに快諾してもらって西銀座コ-スに変更した




先ずは岩苔乗越に向けて2時間ほど右下に沢音を聞きながら割と穏やかな坂道を登り続ける
そして最後はあの沢の源頭部から乗越(のっこし)までの激登りが待っている
事前に熊出没の情報を得ていたのでカウンタ-アソ-ルトをザツクからズボンのポケットに移した




いよいよこの源頭部から1時間を超える激登り、フルーツジュ-スを半分飲んでガソリン代わりにした




いい加減にしてくれ~と悪態をつきながら乗越に辿り着いて小休止、四周の山々の展望がいい
情報通り登山道には熊の糞が二か所に、怖いわ~!

 


乗越からは荒い岩ゴロの道を黒部源流の水源地標まで下り続ける
この最初の一滴でコ-ヒ-を飲もうと寅さんが豆とミルまで持参してくれたのだけれど
寅さんには源流で最後の釣りを楽しんでもらおうと先へ急いでもらった




黒部本流源頭部の心地よい沢音を聞きながら待ち合わせの水源地標へ(寅さんまさかの丸ボーズ)




黒部源流を過ぎると中央の奥に黒部五郎岳が見える
あの山の麓にこれから向かう黒部五郎小屋がある、めっちゃ遠いな~!




源流から1時間ほど登ると三俣山荘、鷲羽と槍を眺めながら
元気溌剌な寅さんはお弁当をガッツリ、ご飯を受け付けなくなった僕は桃のネクタ-を2本で燃料補給した

 


三俣山荘を発って、ここを左に折れて黒部五郎小屋に向かう
二日間、水分だけで生きている僕は少しは痩せたであろうか?




遠くにカッコいい笠が見える頃、雲が湧き始めた




曇天になると不思議にライチョウが姿を現す
ツガイの1羽は笹薮に隠れたけれど、この子はしばらく僕らを道案内するように一緒に登山道を歩いてくれた(アリガトね)




急坂を下っている途中で黒五小屋の赤い屋根が目に入って安堵のため息をつく




黒五のカ-ルと黒五小屋、映えますね~!




宿泊の受付で、めまいがしてご飯が食べられないというと
コロナを疑われて検温され、念のためにと個室の隔離部屋に通された
めまいはコロナのためじゃなくて2日間食事をしていないためなんだけどね~(今夜の晩飯もジュ-スだけでした)





5日目(9月3日)
さあ、今日は西銀座コ-スのハイライト、黒部五郎岳を経て太郎平小屋へと向かいます
僕は午前4時に起きて4時半にヘッデンを点けて出発、昨夜から暴風が吹き荒れて雲が飛ぶように流れています




おぉ、懐かしの黒部五郎よ!




カ-ルまでもう少しだ!
と、黒五が焼け始めた!




そして待つこと5分、ナント黒五だけが真っ赤に焼けるモルゲンロ-トだ!
お願いだ、僕は一日中ここにいるからずっとこのまま焼け続けていてくれ~!




そんな願いもむなしくこの感動的なショ-はたったの5分で終焉を迎え、急にまた雲が湧き始めた
この日この劇的なモルゲンロ-トを見られたのは多分僕と、頂上で会いましょうと僕を追い越していった若い登山者の二人だけだったかも、、、
できればここに連泊して、あの神の遊びし庭園で本を読み、雪解け水でコ-ヒ-を淹れ、心行くまで眠りたかったな~!




周囲は見る見るうちに厚いガスに包まれ始めた
この日、稜線では20~25mの暴風が吹き荒れる予報で危険を感じたら引き返すようにと山小屋の管理人から言われていた




突風に体が飛ばされそうになる、雨交じりになって寒くて低体温症になりそうだ
僕は一度登っているので頂上を踏むのを諦めたのだけれど、40年ぶりなら絶対に登らなきゃと寅さんが背中を押してくれた
雨でも暴風でも雪でもガスで眺望がなくてもテッペンを踏む達成感といったら何物にも代えがたい充実感、寅さんアリガトね~!




ガスに包まれるとはかったようにライチョウが現れる
ライチョウは人間を畏れないんだね~と寅さんがつぶやいた、その通りかもしれない



黒五を越えても赤木岳、北の俣岳といくつものピークを越えては下りを繰り返して行く

 




歩き続けてようやくあの小高い丘の先に太郎平小屋が視野に入った
小屋まであと2~3キロだろうが、ついに燃料が尽きて歩けなくなった
最後の手段だ、ブドウ糖の錠剤を4個ほど噛み砕いて水で流し込んで10分ほど休んだら力が湧てきた




ようやく太郎平小屋に辿り着いた
3日間、何も食べずにジュ-スだけでよくぞここまで歩いてきたものだと我ながら感心する
寒さに震えながらの一日であったのに小屋のテレビで富山市内の気温が37度の猛暑だったと知って驚愕した





6日目(9月4日)
昨日午後6時から午前7時まで13時間眠り続けた
ジュ-スだけの食事には変わりないけれど十分に体力は回復した
午後から豪雨になる予報なので午前中に折立に到着すべく午前8時に小屋を発った




順調に下って、、、、




午前11時半に折立に到着して今年もなぜかファンタグレ-プでカンパ~イ!
この飄々とした寅さんの醸す雰囲気に誰もが魅了されるんですね~!
釣りを犠牲にしつつ非力な僕のサポ-トに徹して頂いたこと感謝しきりデス(ありがとうございました)




折立の国民宿舎の温泉で汗を流したあとは予報どおりの豪雨の中を飯山に向けて高速をひた走ります
飯山までの約3時間、寅さんに運転を任せて疲れ切った僕は眠り続けておりました




そして寅さんの里飯山
4日ぶりに口にした食事は美味しい手打ちそばでした
僕の大好きなお蕎麦が僕の命を救ってくれたような気がするのです、お蕎麦って偉大でよすね~!


5泊6日の山旅、いつかはやってみたかった黒部源流ぐるりっぷ
腕の肉離れと僕の我がままと寅さんの理解とサポ-トのお蔭で実現できてもう思い残すことはありません
少しずつ時間が経過するとともにこの山旅の思い出が醸成されるであろうことを楽しみたいと思う次第です

最後までご覧頂きましてありがとうございます。

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黒部最源流周遊の旅(前編)

2020-09-06 16:22:29 | 山歩き.散歩
昨年の黒部源流釣行は増水笹濁りの好条件の中で思わぬ爆釣裡に終わった
今年は釣り三昧の後で日本最奥の温泉に浸かる5泊6日の計画を立てていた


前泊(8月30日)
釣友寅さんのハイエ-スで折立の登山口に到着すると外の雰囲気が何故か騒々しい
係官らしい方が駆け寄ってきて言うには、ついさっき隣接する無料キャンプ場に4頭の熊が出たという
数日前には焼肉をしていた登山者が熊に襲われたり、車内に食料を残していた車の窓が破壊されて荒らされたとか、、、

午後5時、せっかく寅さんが用意して下さった焼肉は泣く泣く諦めて、火を使わない質素な酒宴を始める
初めは熊撃退スプレ-を手に呑み始めたものの寅さんの持参した米焼酎『鳥飼』が美味しくてグイグイ進み
翌朝目覚めたときには何を食べたのか何時に寝入ったのか二人ともまったくの記憶喪失状態に陥っていた

 



1日目(8月31日)
さあ初っ端から急登が控えている
酒の残るヘロヘロの状態では急登の写真を残す余裕もない




急登を詰め上げてようやくアラレちゃんポイントまで辿り着いた
寅さんは星の撮影のため一眼カメラと三脚を担いでいるので僕のザックよりも5~6キロは重量がある




急登は終わったものの太郎平小屋までは延々と登りが続く




五光岩ベンチで小休止、あと1時間半でビールにありつけるぞ!




そして太郎平小屋、歩き通したあとの生ビ-ルが旨し!
寅さん差し入れの笹寿司が心地よく胃の腑に収まった




僕はここに宿泊し、マドンナ逢いたさの寅さんは抜け駆けして薬師沢小屋まで下った。






2日目(9月1日)
午前7時、太郎平小屋を後に薬師沢に下る






急坂を下りきると第一~第三渡渉点、右腕の肉離れが痛くてロッドを振る気も起きない




延々と続く笹原の木道歩きが気持ちいい




午前10時前に薬師沢小屋で寅さんと合流
割り当てられたカイコ棚の2階にザックを上げようと無造作に右腕を使ってしまって再度の肉離れ、激痛と腫れが更にひどくなる




せっかくここまで来たからには一尾でもいいから岩魚と遊びたい
先ずは太郎平小屋で作って頂いたお弁当で腹ごしらえをしてから、、、




右腕にきつめにサポ-タ-を巻いて痛みを抑えて、黒部本流のここで1尾






支流のここで、、、




7寸程度の岩魚を一尾、もうこれで充分です




残念ながら僕はこれで納竿ですが、黒部岩魚をたっぷりご覧になりたい方は寅さんのブログをご覧くださいませ
黒部本流、支流、最源流を転戦した寅さんの貧果あり、爆釣あり、丸ボーズありの釣りの機微をご堪能頂けるものと思います

 



(3日目)
午前5時10分、満身創痍の僕は寅さんより1時間早く薬師沢小屋を後に高天原へ向かう




ここから雲の平までのキツイ直登が始まる




これでもか、、、




これでもか、、、




これでもかというほどの激登りが延々3時間弱、強烈なアルバイトを強いられた




這う這うの体で雲の平の端っこに辿り着いて午前8時、薬師沢小屋のお弁当で空腹を満たした

 


アラスカ庭園




雲の平山荘への道が延々と続く




雲の平山荘で昼食を頂く予定でいたが胃が食べ物を受け付けなくなった
休憩はとらず、この先を左に折れて高天原に向かう




奥スイス庭園のここからまた激下りが延々と1時間続き、膝が悲鳴を上げ始めた




激下りを耐え小谷を抜けると、こんな穏やかな風景に変わり、、、




ようやく高天原山荘に辿り着いた




ザックを山荘の寝床に収めてから日本最奥の『からまつの湯』に向かう




65歳の寅さんと68歳になった僕はようやく安堵のひと時を味わうことができました
これまでの辛いアルバイトの報酬は唯々このためにあったような気がするのです




疲れて昼から食べ物を受け付けなくなった僕は小さなお椀のウドンだけを頂いて残りは寅さんの胃袋に収まった



そしてこの日から4日間、ジュ-スだけをエネルギ-源にシャリバテ状態で最後まで歩き続けることになる(つづく)

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