山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

黒部の風ふたたび

2012-08-24 01:59:58 | フライフィッシング
8月17日夕刻、釣りバカヒロキチが駆るパジェロは扇沢へ向けてひた走っていた。
豊科にさしかかる頃、中央高速は前が見えないほどの激しい雷雨に見舞われて絶望的な明日を予感させた。
雨の中、扇沢バスタ-ミナルの軒先を借りて酒盛りのあと、そのままマットを敷いてシュラフに潜り込み諦めの眠りに就いた。


               




明けて18日、まさかのピ-カンでこれなら途中の谷で釣りができるぞと一気にテンションが上がる。


 




しかし、山の天気はそれを許してはくれなかった。
4時間かけて汗だくで辿り着いた目的の谷にザックを下した途端に雷が鳴りはじめ快晴だった空は雨に変わった。
覚悟はしていたものの雨に打たれると心もしぼむ、仕方なく平の小屋に逃げ込んだ。
小屋の軒先を借りてチタケそうめんをすすり始めると上の廊下を遡行するというパ-ティから岩魚のソテ-のお裾分けを頂く、火照った体にビ-ルが旨い。


 





19日も朝は快晴で期待が膨らみN谷に向かった。
しかし昨日5人の釣り人が入っていたために当たりはあまり芳しくなかった。
それでも午前中に二人で5尾をキ-プできたので昼酒にする、今回は相棒のヒロキチさんがワインを4合持参していた。







捌いた岩魚はショウガ、ニンニク、ミョウガと玉ねぎでヅケにする。
皮はカリカリに揚げて皮せんべいに、ヒロキチさんのイワナはバタ-ソテ-にした。




 
 




揚げたてのバタ-ソテ-が実に旨い、ヅケは酒にもご飯にも実によく合う。
ボトル1本分のワインで完全に酔いがまわってしまった、みなさん間違っても釣りにワインはあきまへんぞ!




 




〆のひやむぎ、今回はナスとミョウガのつゆで上品な味と香りを楽しんだ。
麺は黒部の冷たい天然水で〆る、ヒロキチさんも茹で方職人がすっかり板についてきた。




 


ビ-ルもワインも岩魚の酒肴も黒部の大自然の中でやるからこそ極上に変わるのかもしれません。



昼飯が済んだタイミングでまた雨が降り出した。
釣欲旺盛なヒロキチさんは雨の中を貪欲に釣り上がって行ったが僕は3時半までたっぷり午睡を楽しんだ。
釣りをしたいのか、渓食なのか、のんびり午睡なのか、谷を歩いて黒部の風に吹かれたいのか、
どれかひとつに決めろと言われても答えられる筈もない。







気持ちよく午睡から目覚めて急いでヒロキチさんの後を追って午後4時に追いついた。







先行を譲ってもらうと入れ食いとなった。
大物は出ないが1時間ほどで9寸3尾と8寸9尾、魚止めの手前でやむなくタイムアップとなった。





豊富な水量と荒削りな原始の風景が織りなす上流部の渓相は息をのむほど素晴らしい!








大岩をよじり、時には巻きながらの遡行はスリリングでおもしろい!





充分に釣欲を満たされて谷を下った。





3日目、午前9時すぎに小屋に別れを告げて帰途についた。








途中の黒き谷で2時間ほどロッドを振る。


 




この谷も数は出るのだが殆どが8寸から9寸どまり、今回は尺上に出逢うことが叶わなかった。







魚止め周辺で二人とも更に良型を2~3尾づつ追加してロッドをたたんだ。
初日こそ激しい雷雨に祟られたが終わってみれば黒部独特の大自然を十分に満喫した旅となった。







喘ぎながら汗だくで長い登り階段をよじる。
黒部を楽しんだあとは必ずこの洗礼を受けなければならない。







2時間歩いて次の谷で小休止、今度はこの峪を詰めてみようか。







山旅や沢旅を続けているといつも新しい人との出会いがあって嬉しいものではあるのです。
それでも、山や沢が自分にとっての数少ない本物の心の置き処であればこそ、
できる限り人に会わずに独りだけの時間を過ごしたいと思うこともあるのです。

人と出会い、その出会いを楽しみながらも、山に独りいるひとときが愛おしいとも思うのです。
今回の旅でも多くの人と出会いながら、そのことを強く感じた旅でもありました。






心地よく残るこの疲労感が、今年もまた良い旅になったことを裏付けているような気がします。

コメント (32)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

癒しの渓

2012-08-05 18:56:13 | フライフィッシング
最近どうも体調が芳しくありませんが、、、、意を決して、
パッキングしたまま2週間放置しておいたザックを担いで出かけることにしたわけですが、、、、、



                 




山への意欲が減退しているとはいっても歩き始めてしまえば緑の森の気持ち良さ、なんとも言えません。







1時間半ほど歩いて午前10時に渓に立ちました。
しかし出撃がちと遅すぎました、渓相はすこぶる良くて岩魚がいない筈ないのですが先行者の足跡がいくつもあってお手上げです。











やむなく枝沢に入って、、、、食糧調達しなくっちゃ。
でもちっさあ、7寸ほどの岩魚を2尾だけキ-プしてテン場を探します。
今回は刺身もイワナ寿司もムリですね。


 
 






夕刻から雨になるかもしれないので少し山を下って、渓から一段高い場所に適地をみつけました。


 




テントからの眺めはこんな感じです。







只今午後4時半、木漏れ日がいい感じです。
やはり緑濃い森の中は清涼感いっぱいで気持ちいいですねえ!








沢で冷やしたビ-ルをやりながらゆっくりと夕餉を楽しみたいと思います。







岩魚2尾を3枚におろして、軽く塩を振ってから小麦粉をまぶしてカリっと揚げます。


 
 





どうですか?
いい感じに揚りましたねえ!








これをバンズの上にのせまして、、、、








サンドイッチスプレッドをたっぷりぬって、、、、







いやぁ、これは旨いっ!
焼き目はカリっと、身はふわっふわ!
イワナバ-ガ-、これはもう言葉がないほどの絶品だっす!







〆はソ-メン
実はチタケを期待して探しまわったのですが誰かに先を越されたようで収穫なし。







やむなくトマトス-プを試してみたのですが
これがなかなかのイタリア~ン、ワインを持ってくるべきでした残念!








午後6時すぎ、垣間見える岩峰群を見上げると黒い雲がもくもくと湧き上がっていました。

これは今夜はヤバイかも、シングルウォ-ルのシェルタ-はめっぽう雨に弱いので、、、、








まだ外は明るいのですが心地よく酔いがまわったので涼やかな空気の中で気持ちよく眠れそうです。








翌朝7時半、朝飯の準備をしていると早くもFFマンが釣り上がってきました。
僕はもう山を下りるだけなのでコ-ヒ-を飲みながら眺めているとまた2組の釣りしさんが釣り上がります。
皆さんお早い出撃なんですねえ!














久方ぶりの天泊、のんびりとした時間を過ごすことができました。


やはり森はいいですね!
コメント (34)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする