山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

凋落の予兆

2010-05-30 00:25:32 | 独り言
多分みなさんも同じなのではないでしょうか?

仕事で外回りをする時、必ず立ち寄るお気に入りの昼飯屋や喫茶店、本屋に釣具屋に登山用品店があったりして。

僕の場合、第4週目の木曜日は鶴見のお客様に伺います。
この日は南部線の武蔵○駅で途中下車して、先ずは駅前の回転寿司で寿司をつまんでから
フライショップヘ、そして鶴見のIBS石井スポ-ツで山や沢の道具を物色するという組み合わせでした。

でした、と言うのはつまりこれ過去のことなんですよね。
回転寿司はふざけたマネをするようになったし、フライショップは縮小してつまらなくなったし
IBSは全館閉店してしまうしで今では鶴見行きの楽しみが半減してしまった訳でして。


       
            


さて本題の回転寿司の話しでも致しましょうかね。
この回転寿司、3年ほど前まではとてもお気に入りのお店だったのです。
活気があって、季節に応じて近海物のネタを揃えたりして月一度訪ねるのがとても楽しみでした。

ところがです、2年ほど前のことでした。
レジで告げられる代金が自分の感覚よりも高いなと感じることが2度3度と続いたんですよね。

そして次の時、原因が分かりましたわ。
僕は決まって8皿、しかも新しいネタを食べたいので殆どを板さんにオ-ダ-しているんです。
180円のツブ貝をオ-ダ-したのに260円の皿に乗せて出されたんですな、これボッタクリでしょ?
常習性を確かめるために無視してオ-ダ-を続けると、結局8皿のうち2皿がボッタクリ。
次の月にやられたら徹底的に問いつめてやろうと、ここは黙認しておきましてね。

やっぱり油断も隙もありゃしませんな、これは確実に確信犯ですよ。
次の月は3皿やられましてね、遂にキレて昼時の満席の中で板長に猛抗議したらですよ
他のお客さんも実は私も、、、と何人かが立ち上がってくれましてね。

それが原因でも無いのでしょうが、
それから半年ほどしてこの店は、店名も、板前も店員も値段も全て変わってしまいましてね。


              


それからこの店が良くなったかと言うと全く同じでして
忘れた頃に寄ってみますとね、前と同じことをやってて客も減っておるのですわ。

実は先週もフライショップに寄るついでに久しぶりに寄ってみたんですがね。
はす向かいの安い海鮮丼専門店に対抗して500円のどんぶり物の新メニュ-が、落ちたものですわ
でもこれなら欺されないだろうとオ-ダ-してみると、これがまたなかなか出てこないこと。

腹が減っていたので待ちきれずに生鯖の握りをひと皿オ-ダ-すると
何と1時間前から回っていたようなカサカサに干からびた生鯖を出しやがる始末で。

クレ-ム付けるのもバカバカしくて、黙って立ち去ろうとすると
女性店員が寄ってきて『お客さん、何か不都合でもありましたか?』だって。
干からびた生鯖を指さして『こんな物出してるようじゃ店も終わりだぜ』
板前は悪びれる様子もなく、それでも僕から顔をそむけたのは何故だったのでしょうかね?

12時15分、かき入れ時だというのに客席は3分の1程度。
お客は正直なんですよ、裏切り行為は致命的ですからね。
同じ曜日、同じ時間、長いこと定点観測していると凋落の予兆は手に取るように分かるのです。


               


商売は正直でなければ決して長続きはしないものですな。
5年10年20年と継続していく極意は、ひたすら正直に、
お客様の信用を得て地道にファンを増やしていくことですわ。

安全で美味しいものを作って、お客様に『美味しい』と言って
感謝されることに喜びを感じて仕事を続けること。

間違いを犯したら反省して正すこと、
正直者なら一度くらい間違いを侵してもお客さんは笑って許してくれますよね。


商売は、奢ることなく、正直に、誠心誠意!


でも、これが一番むずかしい
僕もまた肝に命じようと再認識した次第でございます。













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マイッタ!

2010-05-26 21:47:35 | 独り言
この3日間、お酒が喉を通らない。
もちろんタバコなど見るのもイヤだ。
パソコンも開かなかった。

これは異常事態である。
仕事が一段落して気を抜くと必ずひどいカゼをひく。

朦朧とした状態でもお客様に出向く、これもあと2日。
北信濃への旅を計画していたのに土日は床の中で過ごすことになりそうだ。

救いは食欲が落ちないこと。
どんなに辛い症状でも食欲だけは決して衰えないのが嬉しい。

皆さん、くれぐれもカゼなど召しませんように!






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みずがき山の恵み

2010-05-17 01:43:22 | 自然薯 山菜
街路樹のハナミズキが街を淡く彩るこの季節
山にはミツバツツジや藤の花の紫が萌え始めた若葉の中に一際目立ち始めます。

それはシドケの摘み頃の知らせでもあり
フライフィッシングの本格的な季節到来を告げる合図でもあるのです。

寝不足の気だるい体をおして瑞籬山を訪れました。
この風景を目にするだけでスカッとするのです。






今日の目的はシドケ(別名モミジガサ)
昨年、ヤマトイワナの探索の途で偶然見つけたシドケの群生地に入りました。






時期はドンピシャでした。
沢を遡ってゆくと萌え始めたシドケの若芽が群生しています。

なんて可愛いんでしょ!
まるでおとぎ話の世界に迷い込んでしまったような気がします。

でも何故地元の人は摘まないのでしょうか?
もしやシドケもどきの毒草なのでしょうか?
でも、どう見てもシドケに間違いないのです。
まあ食べてみればわかるでしょ、食べてみればね。



 



ほんの1時間ほどでス-パ-のポリ袋2つが一杯になってしまいました。
これ、ほろ苦くて旨いんですよね。






お気に入りのダイニングに戻って試食してみましょうね。






これはきょう摘んだうちの4分の一ほど。
山菜って何とも言えず美しいですよね。






おしたしと炒め物で頂きました。
おしたしは醤油とめんつゆ、もう一品は酢みそ和えで、ポン酢でも旨いんですよ。

ウドとコシアブラ、沢沿いに自生していたアシタバのごった炒めも中々でした。
それぞれに個性の強い山菜なのに油が入るとなぜこんなにもまろやかになるのでしょうか?
水と油、火に油を注ぐ、そんな風に揶揄される油も料理に使われると俄然良い人になるのです。


 
 



今日は質素にこれだけ、これだけで充分なのです。
川原乞食の生活も心だけは豊かでありたいものですね。






仕上げはひやむぎ
良い季節になりましたねえ。
あとはお昼寝、幸せを感じる時間です。


 



とろけるような昼のひとときを過ごして
これで帰る訳にもいかないのが釣り師の性と言うものでしょうか?
ちょっとだけ岩魚に挨拶せんといかんですわね。

                



みずがき山荘へ向う小道の脇の穏やかな流れを釣ってみました。





誰も入らなかったのでしょうか、季節が良いのでしょうか?
小さなポイントから適度に岩魚がアタックしてきました。
今日はもうこれで充分です。

 



                






藤の花が盛りです。
いよいよフライフィッシングの盛期です。
次はこの深い谿をやりましょうかね

熊さん、覚悟!



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瑞籬(みずがき)の森に憩う

2010-05-05 22:44:21 | フライフィッシング
笹子の長いトンネルを抜けると圧倒的な威容を誇る南アルプスの連峰が真正面から迫る。

ほどなく南アルプスは南へと流れ、北からは雪を頂いた八ヶ岳の峰々が現れる。
この双璧のど真ん中を貫くように早朝の風を切って疾走する快感に酔いしれる。

途切れがちになるTOKYO FMからFM FUJIに切り替えるのも決まってこのあたりからである。
若き日、幾度となく縦走しピ-クを踏んだというのにあの山々への憧れは今もなお色褪せることがない。 


 





『車がイカレちゃってさあ、動きがとれないんだ。頼むからどっか連れてってくれない?』
幼なじみのOちゃんから泣きそうな声で電話が入った、GWの日々をじっとしていられるような男ではない。

『忙しくてムリさあ!』
一蹴しようと思ったが僕にもフィ-ルドに出なければならない事情があった。

熊さんも誘って瑞籬の森に天泊することにした。
夏ならばミズナラやダケカンバの葉が茂って清々しい幕営地になるのだけれど
この季節の森はまだ春が浅く下草も樹々の葉も眠りの中に閉じこもっているようである。







溪のそばの落ち葉の上に幕営して焚木を集める。
深い森に腰を据え、焚火を囲み酒を酌み交わして友と語らい、そして眠る。
これがなければ生きる意味がないし、多分僕は生きては行けないだろうと思う。

熊さんは持ってきた斧で短い切り株を夜通し使える薪に仕立て上げた。
子供の頃はこうして薪を作っては小遣い稼ぎをしたものである。


 




釣りに出かける前に早めの昼食を取った。
ミ-トソ-スの大盛パスタと冷えたビ-ル、熊さんが作るものはどれもみな旨い。


              



少し気だるい気分なのだが食糧の調達に出かけよう。
Oちゃんが逆立ちした御神木に神妙に祈りを捧げる姿が妙に笑えた。
そんなことをしたって岩魚が釣れるわけでもなかろうものを、、、、。

とは思いながら僕もつられて掌を合わせてしまった、ドアホっ!


               




ここに来る前に覗いたみずがき公園は車とテントで満杯状態になっていた。
フィッシングプレッシャ-も相当なものだろうと小さな枝沢に入ることにした。

日も高く昇っているというのに入溪点に先行者の足跡はない。
7月初旬の陽気でも水温は7度、この雪代を克服するのはかなり手強い。

『Oちゃん、釣らないと晩飯のネタはなしだぜ』、『わかった、まかせろ』
気持とは裏腹に上がる岩魚の殆どは5寸にも満たないリリ-スサイズばかり。

この褐色の世界も6月になれば野草や山菜の緑で溢れ、樹々には葉が茂って緑一色に染まる。
四季の移ろいに目を見張り感動できるのも山に身を置いているからこそのことかも知れない。








僕が着ているのは『Fox fire』のトランスウェット
実は今回このウェアのモニタ-になっているのでフィ-ルドで着用してレポ-トを出す必要があると言うわけです。
寒暖に応じてア-ムカバ-を付ければ長袖になり、汗をかいてもべたつかず、気化熱を調整して急激な体温低下を防ぐという優れもの。

この他にスコ-ロン素材のシャツを昨年9月から使っているのですが、これがまた防虫効果抜群の優れもの。
是非みなさんも使ってみてくださいね、って僕は決してフォックスファイヤ-の営業マンではございません。

ちなみにここで釣れた岩魚はヤマトでした。


 





Oちゃんと二人でツ抜けはしたもののキ-プサイズは2尾、今回は一晩かけて焼きがらしに致しましょう。
そうそう、テンカラが初日の熊さんは当然○ボということで目出度い初体験となりました、パチパチパチ!


さあビ-ルだ、ワインだ、焼酎だあ!
今回は熊さん自作のカマドが大活躍してくれました。 


 
 


5時から始めた宴会は10時過ぎまで続きましてね。
旨いものを喰らう幸せ、これに優るものはありませんね。

金沢八景で熊さんが採ってきたアサリ100個あまり
これを焼くと20秒でパカッと殻が開き次から次へと口に放り込んで焼酎をグビッ。
いやあ自然の塩味が絶品でございました。

もちろんレア-のステ-キも焼いては喰らい焼いては喰らいで血糖値は上がりっぱなし。
興が乗ってついつい昔身につけた艶話などをしてしまったようで、、、、。



 

                




爽やかな目覚めです。
高原の朝はこうでなくっちゃいけません。
お酒と酒肴の味は覚えているのに語り合ったことは全て記憶がとんでいる、いやあ爽やかさわやか。


                 



爽やかな朝なのにテン場には死体が一体ころがっております。
気持わり~い、頭いて~えと喚きながらテントから這い出た熊さんが突然倒れて動かなくなりました。

釣り師と言うヤツは薄情なものでございます。
Oちゃんは何食わぬ顔で朝飯喰ってます。
僕は良いネタができたと喜んでカメラを向けてます。

今日から君も晴れてベトナム人民であるぞ。
そなたに放置民(ホ-チミン)の名誉市民の称号を授けて進ぜよう!


 
 


どうですこの飴色の焼きがらし、フランスパンに合うのです。
朝飯はこの岩魚とフランスパンとレギュラ-コ-ヒ-、ついでにラ-メンも食べて。

さあ、ロッドを携えて沢伝いにシドケ畑に突入です。






しか~し!
民宿『五郎舎』の親爺さんの言うとおりでありました。
山の春は里よりちょうど1ヶ月遅れて来るから山菜も5月中旬から。

シドケもタラの芽もあと10日ほど待ちましょうかね。
シドケはですねえ、独特の苦みが絶品の山菜で東京のお店では昨年5本で600円の高値が付いていたのです。
ということはここの畑だけで50万円?100万円?な~んて下世話な妄想はしてはいけません。

あくまでも食べる分だけを山から頂く、この謙虚な気持ちが大切なんですね。
ひそやかに咲くニリンソウが可憐です。







人は変わっていくものなのですね。
かつてはピ-クハントしなければ充たされなかった僕も今ではノンピ-ク登山がおもしろい。

山を徘徊し、溪で岩魚と戯れ、森の中に眠る。
気力と体力が落ちてきた今これが一番性に合っているような気がします。
こうして何時までも探索と徘徊を続けて行けたらどんなに幸せでしょうか。






森に抱かれて過ごした二日間は憩いの時でもありました。


さあ、里に下りるための心の切り替え、やはりビ-ルとお蕎麦ですな。






皆さんもさぞ良い休日を過ごされたことでしょうね!




コメント (22)
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