山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

エメラルドグリ-ンの溪

2010-07-24 22:53:48 | フライフィッシング
中央アルプスの溪に行こう!

去年の夏、釣友Nさんと交わした約束をふっと思い出した。
僕が言い出しておきながら流れてしまった計画であった。

午前6時、車止めには1台の先行者もなかった。
ザックを背負って歩き始めて、その理由が判明した。
大規模な岩崩れで登山道が崩壊し恐ろしい状態になっていた。



とすれば、別の道を4時間も歩かなければならない。
車を移動して、歩き始めて最初の急登で心が萎え始めた。








支流だと言うのにこの水量である。
落差のあるこの上流は怒濤の流れを作っている。

エメラルドグリ-ンの清冽な流れは何一つ変わっていない。
真夏だと言うのに長く手を浸けていられないほどに冷たい。


これこそが夏の岩魚の溪である。








今日はこの最上流の源流域でヤマトを釣る積もりであった。
天泊する時間が取れないので約8時間の歩く時間を考えると
釣っている時間があまりにも少なくなってしまう。
今回は諦めて引き返すことにして瑞籬へと踵を返した。



ミズナラの森を縫う天鳥川
水の美しさは変わらないのに、この水の色の違いはいったい何なのだろうか?







土曜日の午前10時
先行者が居たであろうに、、、、、







こんな岩魚が飽きないほどに遊んでくれた。







みずがきの森もいい。







入溪点に戻ると
軽トラで乗り付けた作業着の土地の方がふたり、暑いから昼寝をすると言う。

冷えたビ-ルをお裾分けして
涼しい森の中で昼寝をご一緒して今日の一日が幕を閉じた。



あぁ中央アルプス、どうしようかなあ?



コメント (26)
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甲州の美溪に涼む

2010-07-18 23:41:23 | フライフィッシング
相棒熊さんのジムニ-が真夜中の秋山街道をひた走る。
国道を少し走って峠に向う林道に入ると野生の鹿がヘッドライトに浮かび上がった。

辿り着いたのは程なく日付が変わろうとする時刻になっていた。







これからここで酒盛りが始まる。
この1ヶ月、きっちりと食事制限を続け酒も控えてきた身にとってはこんな時間が何より嬉しい。

梅雨の終わりを告げる大雨で岐阜や長野の溪はかなりの増水らしい。
予定を変更して訪れたこの溪は近場なゆえにもう何年ものあいだ忘れかけていた溪である。

真夜中の焚火ほど有り難いものはない。
燃えさかる炎を前にするだけで心和むのに、酒を酌み交わし語り合う友の存在は尚更に嬉しい。
カツオの刺身とシシャモで酒が進み話しが弾んだ。


 



語り尽くす頃には酒が体に染み渡り心も体も弛緩して幸せな心地に満たされる。
シュラフに潜り込み満天の星を眺めながら岩魚との出合いに想いを馳せて目を閉じる。
野宿こそ男のロマンだなんて言うつもりはさらさらないが、やはり男のロマンであることに変わりはない。








午前8時少し前、熟睡した高原の朝は殊更に気分がいい。
ゆっくり朝食を取ってから支度を調えて入溪する。
先行者が居ようが居まいがそんなことはどうでもいいことである。



                    




熊さんは中流域に、僕は最上流から源流帯へと遡行する。
息を呑むほどの素晴らしい溪相が続く、ほんの少しの増水笹濁り。






ここから7寸のヤマメが姿を現わした。







美しい溪には美しい溪魚が棲む。






最初の二俣に出た、迷わず左に進む。

これはセイシェルの浄水器、濁りも細菌も毒物も除去してくれる心強い相棒である。
濁りの残っている沢や初めての沢で不安のある時は必ず携行するようにしている。






程なく最初の滝に突き当たる。
左岸の岩をよじって登る、さあここから桃源郷が始まるのだ。

と、滝上をしばらく進むと先行者が2人入っていた。
余りにも距離が近いのでやむなく戻ることにした。








気を取り直して二俣を右に進んだ。







落ち込みの巻き返しから22センチほどの岩魚が姿を現わした。







そして最後の二俣、ここからが源流帯となる。
水量の多い左の沢に進んだ。







あの落ち込みの上の岩陰に岩魚の気配を感じた。
ネイティブの岩魚はすこぶる警戒心が強い。
慎重にスト-キングして距離を縮める。
身をかがめ息を押し殺してふわりとフライ落とした。
この緊張感がたまらない。

右側の岩陰に身をひそめていた陰がス-っと寄ってきてフライを咥えた。
反射的にロッドをあおるとシビレルような躍動がロッドを通じて伝わってくる。

この瞬間に酔いしれる、これこそが釣りの醍醐味なのかも知れない。






8寸ほどの岩魚であった。
これが源流に棲む猛者の顔である。







素敵な流れはまだまだ奥へ奥へと続いていた。
でもビ-ルの時間が迫っていた、ここでタイムアップ。
心を溪に残したままに溪を下った。
次回こそ水の一滴まで遡行し、峠まで詰めてみたいものである。




      




昼飯は豚トロ、鶏のバジルソ-ス、牛のステ-キでキンキンに冷えたビ-ルをあおる。
これこそが釣り本来の楽しみだと密かに思っているのだが邪道であろうか?



 



そして仕上げは冷え冷えのソ-メン。
日本人の幸せとは多分こういうことを言うのかもしれませんね。
そしてまた溪で味わうソ-メンは一層美味しく感じるのです。






うだるような下界の暑さはここには無縁です。
爽やかな高原のそよ風に吹かれているとついつい眠りに誘われてしまいます。
野良仕事を終えた爺ちゃんと婆ちゃんの午後のまどろみと一緒ですね。

こんなひとときがあるから釣りをやめられないのかもしれません。




『カユイィ-----ッ』
ひときわ甲高い叫び声に穏やかなひとときが引き裂かれてしまいました。

午後6時、ブユが活動を始める時間です。
ケツを剥き出しにして寝ていた熊さんがブユに襲われたんですね。

皆さん、昼寝をするときはくれぐれもケツを剥き出しにしてはなりませんぜ!







朝から夕刻まで飯も喰わずに釣り続ける釣友には申し訳ないのですが
これが僕の釣りのスタイル、これに懲りずに末永くお付き合い下さいませ。


あぁ、またあのうだるような下界に帰らなければなりません。
この一日に満たされれば満たされるほど帰りが辛くなるものですね。


帰りたくないなあ、、、、、。



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へ~ンな一日

2010-07-10 23:47:28 | フライフィッシング
何とまあ天晴れ(あっぱれ)なことでございます!

仕事がぎゅぎゅぎゅっと詰まって釣りにも行けず、頭をかきむしりたくなるほどのストレスと戦い続けた5週間でございました。
でも、もう少しで仕事もなんとかなるし、久方ぶりの好天でもあることだしと言う訳で『神の川』で天泊釣行と相なった次第です。

先ずは秋山川支流『阿寺沢』で食材の調達です。
谷底のひんやりした空気が何とも言えませんねえ。
これこそが二次元画像では絶対に実感できない三次元の世界というものなのですよ。

さてヤマメはと言うと渇水で全然あきまへん、ハイボ-ズ!
今日は何かヘン、バラシの連続でござんした。




                  




仕方なかですな、神の川の矢駄沢で岩魚を釣りまひょか。
先ずは沢から一段高い溪畔林の中に山荘の設営です。
たった375g、ペラペラの薄布一枚のこんな我が家でも楽しい夜が過ごせるのです。









ここはですねえ、2年前まではですねえ、落ち葉ふかふかの最高のテン場だったのですよ。
それがですねえ、2年前の大洪水でですねえ、石ころごろごろのこんなんになっちゃったのですわ。
ツェルト張るのにも石ころどかして整地したりとけっこう難儀するのです。








さ~てと、さっそくテン場の下の沢で食材調達でございます。
なんせ今日は非常食以外は何の酒肴のネタも持ってきてないのです。

さあ、岩魚いっぱい釣ったるでえ、岩魚料理喰ったるでえ、旨い酒呑んだるでえ!

でも今日は何かヘン、釣れへんのです。
ここでもバラシバラシの連続で一匹の岩魚も手にすることができまへんでした。



 




今日の昼飯は岩魚抜き、生存競争は厳しいのでございます。
持参したキュウリを梅肉和え、非常食の魚肉ソ-セ-ジとカキピ-、これだけ、侘びしいじゃありませんか。




 



期待した夕まずめもバラシの連続でさっぱり。
なんか今日は溪の主に取り憑かれてしまったような気がするのです。

夜は岩魚の刺身、塩焼き、唐揚げ、岩魚汁な~んていわゆる岩魚三昧の予定だったのですが、、、、

非常食だけの酒盛りなんて侘びしすぎてやってられまへん。
ツェルトをたたみ、ヘッデン灯しながら夕闇迫る山道をとぼとぼと下ったのでございました。






釣れへん、喰えへん、呑めへ~んのヘ~ンな一日。
長い人生の中では、こんなこともあるのですよね。
とは言え山奥での溪遊び、充分に満喫したのは言うまでもございませんでした。


皆さんも、好天の休日をさぞかし楽しまれたことでしょうね!


(岩魚の写真がないのでツェルトの画像ばっかし、スンマヘン)



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ギャンブル

2010-07-01 01:01:06 | 独り言
角界での野球賭博の話題がかまびすしいが、そんなものはどうでも良いではないですか?

競輪競馬やトトカルチョが認められていて野球賭博が犯罪だなんてねえ、なんかちょっと解せませんな。
胴元が法律で認められていれば良民からテラ銭をガッポリ銭巻き上げてもいいけれど野球賭博が何故ダメなのかしら?
公営ギャンブルが健全で野球賭博は不健全とでも言いたいのかしらねえ?

僕の身内にもいるんですわ、競輪で借金が嵩んで家庭崩壊にまで及んだ男が。
70才を越えた今、兄弟からも見放されてホ-ムレスに身を持ち崩しているんですよね。

こういう悲劇を生まないために公営ギャンブルは何か対策を打っているかと言えば決してそうではなくてね。
結局は自己責任な訳で、公営ギャンブルなんて名ばかりのヤクザな稼業をやっている訳ですわね。



                 
            (尾道の魚そうめん、品の良い味でした)



僕はギャンブルはあまりやらないのですが、そもそも我らの人生、生まれ落ちたその日からギャンブルなんですよね。

健全に育ててくれる親の元に生まれれば良いけれど、虐待を受けながら命を落とす不幸がある。
友達に恵まれれば良いけれど、いじめ抜かれて引きこもってしまう不幸がある。
エイヤッと決めて嫁さん娶れば良いけれど、学歴身長容姿なんぞとウダウダ条件つけて賭けに打って出られない不幸がある。
時流に乗った企業に入っても20年経ったら時代に取り残されて悲惨な末路を辿る不運もある。
一枚の不渡手形を掴まされて一夜のうちに奈落の底に突き落とされる不運がある。

米作農家なんて最たるもので、その年の天候次第で天と地ほどの幸運と不運、これギャンブルと言わずして何と言えばいいのかしら?



                  
               (尾道のあなご蒲鉾、上質の甘みが絶品でした)



30代半ばの頃、僕は共和電設という株の仕手戦に巻き込まれて2000万円を越える損失を出したことがありましてね。決済できずにカミさんのお母さんから借金してやっとのことで決済した訳で。

しかし人生というものはおもしろいもので、3000万円で買っていたマンションがバブルのお陰であっという間に1億を超えちゃって。
さっさと売って、さあ株で取り戻したるぞと意気込んでいたら全部カミさんに取り上げられて今では幾つかの不動産に姿を変えている訳でして。

でもねえ、不動産だって決して安心なんぞしてられない訳ですよ。
地震国日本に生きる我らはいつ地震に見舞われてマンションや家が崩壊するかもしれないギャンブルの真っ只中いいる訳でして。



                  
              (へなちょこNさんから頂いた全快祝い、最高の酒肴になりました)   



人生最大のギャンブルと言えば、やはり伴侶でしょうかね?
長い人生を快適に送れるかどうかは伴侶の善し悪しで決まるような気がするのですが如何でしょうか?

いやあ、まさに人生はギャンブルの連続なんですな。
勝ち負けなんてどうでも良いのです。


そこそこに幸運な我らとしては、人生という壮大なギャンブルをこれからも大いに楽しむこと。
これに尽きると思うのですが果たして如何なものでございましょうか?











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