山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

地図にない川へ

2009-08-31 23:52:40 | フライフィッシング
山や溪がこれほどに人を惹きつけるのは何故のことであろうか?

森を徘徊して五感を研ぎ澄まし、溪にひとり眠って心を解き放つ
深い森や険しい溪は桃源郷ではあるが修験場でもあるような気がするのだ

丹沢にはV派と称して一般登山者と一線を画する人たちがいる
山地図にある経路を辿ることなく、地形図だけを頼りに山中を徘徊し、中腹をトラバ-スし、沢を下る
そして新たな経路(バリエ-ションル-ト)を切り開くことを至福の喜びとしている人たちである

昨年のこと、僕は『みずがきの森』を地形図だけを頼りにヤマトイワナの沢を探索した
そこで気づいたことがある、地形図にない沢が無数にあるのだと言うことに
これらの沢が何故あの精緻な地形図に記されていないのだろうか、不可解であった

『地図にない川へ(沢渡麗二著、朔風社刊)』
この本を読んでその謎が解けた
つまり、五万図(登山地図)にも二.五万図(地形図)にも平水時の流れ幅1.5m未満の川は記されていないのである

確かに僕が出逢ったヤマトの棲む沢はどれもみな一跨ぎできるほどの小さな流れであった







先週の土曜日、僕は『エビラ沢の滝』を前に釣行の準備をしていた
沢屋さんの領域であるこの滝の上を探釣するために下降用具も装着した






さあ行くぜ!

湧き水を汲んでいる人たちを横目に、茂った枝葉をかき分けて経路に入ろうとしたそのとき、、、、、

こんな看板が目に飛び込んできた

ッガ-ン!
出鼻を挫かれてしまった、機先を制されてしまった、またもやである!






諦めきれずに通行禁止の規制を無視して入ってみた

エメラルドグリ-ンの釜が美しい
数年前に入った滝上も険しいが美しい流れが続いていて溪魚の走る陰を幾つも見ていた






頭上の経路の木橋が消え失せて、草つきの先は垂直に近い岩盤がむき出しになっている
この先もおそらく状況は変わらないだろうと入溪を諦めた

つまんね~!






仕方なく『神の川』に車を向けた、仕方なしに!
ここ2~3年の神の川は釣り人が増えて最早僕にとってワクワクする溪でなくなりつつあるのだ





飛び出した岩魚も『つまんね~』とつぶやいていた






長年親しんだ溪は癒されはするが探検心を満たす新鮮さはない











ヤマメもつぶやいていた『つまんね~!』





なんか消化不良である

あと1ヶ月、9月は遠征3連チャンといきまっか!
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南アルプス2度目の正直?

2009-08-20 23:40:58 | フライフィッシング
前回は満杯の駐車場に涙を飲んだ南アルプス天泊釣行
今回は満を持して計画した3泊4日の天泊釣行を敢行する

幸い18日からの4日間は晴天続きの予報である
しかも駐車場はガラガラ、釣り人もまばらのウッシッシ釣行となりそうである

先ずはパッキング、これは正直迷った
神田駿河台下のグリ-ンライフスポ-ツで手に入れた独ファウデ社の『ウルトラハイカ-20』

これがなかなかの優れもので、超軽量なのに取り外しのできる針金が背面パットの役目を果たして
すこぶる背負い心地が宜しく最近の釣行では無くてはならない存在になりつつある

今回の釣行でも是非コイツと行動を共にしたいと考えていた









ところがである
4日分の食糧が全部は入りきらない、20Lのザックでは無理があったのだ
テントマットを省いて代用にスパッツやザックを総動員しても重量は7.2㎏、可成り重い
背面長が短いために腰で荷重を受け止められず全て肩に荷重がかかってしまうためである

諦めてゴ-ライトのジャムバックになった






酒も25度の黒霧島を諦めてベトナムの45度の酒に詰め替えた
日本の焼酎に似て旨い、これで6本を3本に減量できた

アプロ-チも溪もステルスソ-ルの沢靴1足で通して減量した

刺身用のワサビも、ずけ丼用のめんつゆも、岩魚汁用のキノコも、皮せんべい用の油も完璧である





今回の釣行は、釣った岩魚を酒肴にテン場でちびちびやりながらのんびり過ごすことが目的である

選んだのは『槍ヶ岳開山』
文政11年7月、未踏の岩峰『槍ヶ岳』に初登攀して頂きに仏像を安置し
信仰の山『槍ヶ岳』を開山した念仏行者『播隆上人』の苛烈な生き様を記した伝記小説である

あの時代に比べて、登攀技術も登攀用具も登山道も鎖場も充分に整備された今は恵まれ過ぎているのかも知れない





午前7時45分、広河原に降り立った
25年ぶりの懐かしい風景である

左岸には重機が入って大石を取り除く工事が進められていた
何でも右岸の工事をするために流れを変えるためだと言うことである

先週までの大雨で左岸に取り残された40センチの大岩魚を人夫が網で掬って流れに戻すのを見た
流れを変える際には漁協のメンバ-総出で岩魚の移動作戦が敢行されるようである
どれほどの数の大岩魚が居るのか見てみたい気がするのだが






右奥の岩峰は富士に次ぐ高峰『北岳』
あと3時間後には連なる峰々の裏側、標高2000mの両俣に居る筈であった


きのう両俣に熊が出たからやめておけ!
お節介焼きの乗り合いタクシ-のオッちゃんたちが寄ってたかって僕を押しとどめようとするので
素直な僕はそれを押し切ってチケットを買うのも気が引けてやむなく北沢峠行のチケットを買ってしまったのであった





北沢峠の駒仙小屋に幕営した
テン場にザックを降ろしてオニギリをほおばっていると何やらおびただしい数のハエが群がってくるではないか
と思ったが、それはハエではなくてブヨであった、これには参った。刺されたら2~3日の間は大変な苦しみを味わうことになる。

急いで虫除けクリ-ムを露出している手や首や顔に塗りたくって林道を下り北沢への急斜面を下った
見てのとおり水量は極端に少ないが魚影はそこそこである

最初の岩魚に気を良くして写真を撮ろうと動きを止めた途端にブヨが群がって来る
払いのけようとして岩魚を逃してしまった、この繰り返しである

ほとほと嫌になって溪から上がりテン場に戻るとまたブヨの猛攻に遇う
もう我慢の限界に達して早々にテントをたたんで12時50分のバスで山を下りてしまった

もしもブユがティンカ-ベルの様な可愛い妖精ならば恍惚の表情を浮かべて血を吸わせてやったろうに、、、、

もう散々である





この憂さは何で晴らしてくれようか、山を下りながら考えた
馬刺しと蕎麦とビ-ルしかないではないか

ならば南信州か、駒ヶ根か?
南信州は山ビルの巣窟である

あのおぞましいヒルに取り付かれて吸血されるのはこりごりである
ヒルがクリオネの様な可愛い表情なら存分に血を吸わせてあげるのだが、、、、

駒ヶ根は来月の釣行予定があるのでパス、結局『小菅村』という何とも平凡で安易な選択とあいなったのであった





小菅の蕎麦屋で遅めの昼食





小菅川の源流帯でロッドを振ってみた










痩せた岩魚が遊んでくれてちょっぴり憂さ晴らしができたか?





ここを上り詰めて、、、、






白糸の滝に辿り着いた






小菅の湯で汗を流して

さあビ-ルなのだ
『馬刺しと生中、急いでね!』

『すみませ~ん、いま馬刺しはお休みなんです~』

『お休みって、何処で休んでるの、何でもいいから早くちょうだい!』

『あのう、メニュ-を良く見ていただけますか~!』






ガ~ン!

オレは何のために小菅くんだりまでやってきたんだ-!

最後の最後までツキから見放されたと言うのか?





こんな時はどうあがいても仕方がないのだ
諦めてメニ-を穴のあくほども眺めずに即座にこれを注文したのでありました
岩魚の刺身とヤマメのふっくら一夜干し、きゃらぶきと漬け物の油炒め、そしてなすの煮びたし
これが結構旨くてビ-ルがグビグビなのでありました





しかしまあ、今回の釣行では何も得るものがなかったかと言えばそうでもなくて、、、

このステルスソ-ルのインプレでもしておきましょうかね

これ、なかなかよかですよ
先ずは林道歩きですがソ-ルが柔らかいためか足への衝撃が少ない
石の上などは吸い付くような感じで登山靴よりも遙かに快適でしたね
草付きも砂利道も急斜面も何ら不満はありません

最大の弱みはぬかるみ、これはゴム草履と同じ感じの滑り心地で危険です
ソ-ルの突起が少ないためだと思いますね

溪の中ではフェルトソ-ルよりも快適でした
濡れた岩にも吸い付く感じ、苔も多少のヌルもまったく気にせずに進めます

溪から上がってもフェルトのように水を含まないので重くならず乾きも早くてこれも快適

ネオプレ-ンソックスを履いたままでのアプロ-チも殆ど気にならずに歩けます
アプロ-チの長い釣行ではソックスとスパッツを着けたままこれ1足で通してザックの軽量化を図る、これですかね!





まあ今回の釣行は散々の結果に終わりましたが
また来月のリベンジに向けて楽しみを温存したいと思うちょり鱒。

でも2度あることは3度目もあるのでしょうか?

おしまい。
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みずがきやま釣り合宿

2009-08-09 22:42:42 | フライフィッシング
先週は釣友Nさんと中央アルプスの避難小屋で呑み、
木曽駒7合目の沢までを釣り上がる予定でありましたが生憎の雨で中止となりました。

と言う訳で、今週予定していた釣友熊さんとの瑞籬泥酔合宿に
急遽Nさんが飛び入り参加と相成った次第でありまして、、、、。

午前5時、みずがき自然公園で待ち合わせて金山沢の最上流部に入ります。
この林道がまた最悪の状態で熊さんのジムニ-でなかったらどないもこないもなりませんでした。











数は出るのですが皆こんな小学生サイズばかり。






仕方なく唐松林を越えて隣の沢へ移動するも状況は変わらず






少し大きいのを狙って枇杷窪沢下流へ、散々な結果で午前の部が終了したのでございます。






今日のテン場で昼食を取りながらの作戦会議です。






フランスパンにレバ-ペ-ストを塗ってアンチョビ-を乗せて食らう
これだけでビ-ルが3本いけちゃう、熊さん旨かったっすよ。






午後の部、僕はヤマトイワナの探索に某沢へ、熊さんとNさんはテン場の前から不動沢を釣り上がります。






細い3本の沢のうち2本は不発、そして遂にヤマトの沢を見つけたのでありました。でも小さい。
不動沢の二人もキ-プサイズは釣れず今晩の岩魚の塩焼きにはありつけませんでした。






午後5時、ツェルトをタ-プにして今夜の酒場の準備は完了。
程なくして雨が降り始めましたがそんなことを気にする者など誰もおりません。






先ずはガ-リックたっぷりのヤキトリとキムチ鍋






これを平らげるころには缶ビ-ル13本が空になっておりました
ビ-ルの後は日本酒ですなあ、熊さん差し入れの山形『杉勇』の澱酒
あまりの旨さにあっと言う間に一升瓶が空っぽになっておりました






そのあと何を喰ったか覚えておりませんが写真には焼鯖が写っておりました






午後7時過ぎ、日も落ちて来ました、雨もしっかりと降っています
気の置けない釣友と呑んで語って夜を過ごす
この雰囲気が何とも言えませんなあ、、、、










そして遂にNさんが壊れてしまいました
Nさんの部下の皆さん、これがNさんの本当の姿です
もしNさんにしかられでもしら是非この写真を突きつけてグウの音も出ないようにしてやりましょうね






熊さんも壊れはじめています






壊れた男達は更に飲み続け語り続けたのでありました






飲み明かしたらあとは眠るだけです
人生初めてのNさんのキャンプは、雨の中タ-プだけ眠る究極の野宿となった訳でありました
しかし左右からのイビキは耐えられないほどの轟音でありました。






しかも灯に集まった蛾が顔に落ちてきて僕にとっては正に三重苦の夜となった訳でありました







あれだけ喰って呑んだのに爆睡した朝は腹が減るものです






残ったタマネギとワケギとウインナをぶち込んだ塩味噌醤油ごった煮ラ-メンを平らげて
さあ、今日こそ大物を狙いましょうかね?






飲み物を調達にみずがき山荘へ向うと瑞籬山への登山者が
我らもこの人たちのように健康的な生活を送らなければと一瞬だけ反省はしてみました






尺アマゴを狙って釜瀬川には入りましたが、、、、またしても○ボ!






河岸を変えて某沢へ
ありゃ、ヤマトか?
と思いきや、、、ほんの僅かな白点が体側に、、、、、
やはり壊れた男にはヤマトに巡り会える幸運などないと言う証のような結果なのでありました、残念!






ちょうど12時、沢から上がって蕎麦屋へ






ここの大ざるは可もなく不可もなくといった感じでしょうか
こともあろうにNさんは特盛りを頼めば良かったと言っておりました






ウゲップ!
もう喰えねえ、もう呑めねえ!
チビイワナのくせに緑色のでっかいイモムシと白いイモムシを飲み込んでいました

今回の野宿釣行を一言で言えばこんな感じでしょうか?






熊さん、Nさんありがとうございました。
楽しゅうございました。

また是非ご一緒してくださいね!
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