山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

犬越路へ酒歩荷

2012-12-17 22:02:38 | 川飯.B級グルメ
我ら北丹沢の釣り師と、ひとつ山を隔てた西丹沢の釣り師たちとの交流が始まったのは5年も前のことであろうか?
生粋の釣り師から見れば我らの釣りの様式は亜流も亜流、まさに『渓飲渓食、時々釣り』の世界なのであって
釣りはそこそこに渓で車座になって昼間から酒を酌み交わして語り合う少しばかり毛色の違う釣り師の集団なのであった。

だからこそ我らは自虐的立場と開放的自由を自らの魂に刻み込むために川原乞食と名乗ってはばからないし
それは生き方そのものになりつつあると言っていい。その中心的存在が西丹沢の川原乞食ホリャさんその人なのである。
今回は、そのホリャさんと2年ぶりに山で酒を酌み交わそうと約束して丹沢の犬越路を目指した。

西丹沢からのル-トでにぎわう丹沢も神の川からの北丹沢ル-トはいつもながら静寂そのものである。
今回も下山してくる7人パ-ティ1組とすれ違っただけであった、ほとんど道なき道を下山してゆく。





ここがちょうど中間地点、1本とって沢の水で喉を潤す。





数年前の豪雨で登山道が崩壊し全く違う経路になっていて踏み跡程度の激しい登りが続く。
大量の水分を背負った老体にはちと厳しい道のりである。





急登を喘ぎ喘ぎ登ってようやく犬越路に辿り着いた。





犬越路は神の川、大室山、西丹沢、檜洞丸からの登山道の交差点になっているので絶えず登山者が行きかっている。

 



先ずは犬越路の避難小屋に向かう。





先に到着していた西丹沢の川原乞食ワカモトAさんが待っていてくれた。
あろうことか主役のホリャさんは激務の過労がたたって犬越路の急登を断念するとの事前の連絡が入っていた。
なんのことはない、ワカモトちゃんの話によれば夜ごと藤沢の街を飲み歩いて腑抜けになってしまったのだと、このバカヤロが!




風の強い外界と隔絶された小屋の中は陽だまりのように暖かくて山の中にいることを一瞬忘れてしまうほどである。




使い込んだ百均調達のフライパンでワカモっちゃんがさっそく何かを作り始めた。
実は釣り師仲間なのに彼とも一度も一緒に釣りをしたことがないのだ。
世附の川原で呑み、吉田類が推奨する一風変わった酒場でホリャさんを交えて呑み歩く仲である。





今回は貧粗を良しとするホリャさんにならって貧粗ではあるが酒のすすむ酒肴をこしらえた。
まろやかなカニタマは穏やかなワカモトちゃんの人格そのままの優しい味がした。
彼と初めて呑んだのは世附の川原、彼がふるまってくれたチ-ズフォンデュの味が忘れられない。

 
 
 



避難小屋の中はいつしか居酒屋特有の匂いで充満していた。
ビ-ルと缶チュ-ハイと彼が担ぎあげた越後の地酒に酔いしれながら
午後1時過ぎまで呑みながら語らった2時間半があっという間に過ぎて行った。
彼の醸し出す穏やかな空気とこの小屋の温もりがいっそう居心地のよい空間を作り出してくれたのかも知れない。

次回は是非この小屋に泊まって下山を心配することなく心ゆくまで呑もうと約束した。




綺麗に片付けた小屋の中ではあるけれど居酒屋に充満する煙は差し込む日差しに白く霞んでいる。
ワカモトちゃんが下山したあと、僕は2時半まで暖かい小屋の中で午睡を楽しんだ。





僕にとって山とはいったい何なのだろうか?
日常の仕事の中ですり減らした心と頭をひたすら休ませリフレッシュさせる空間、ただそれだけでの理由で山に来る。





ワカモトちゃん、久しぶりに会えてよかった。
来年はぜひ北丹沢と西丹沢の川原乞食集会を実現したいものですね。
コメント (24)
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川原乞食たちの夜会

2012-12-10 02:12:38 | 川飯.B級グルメ
真冬の深夜、この1年を遊び尽くした男たちは年に一度ここに集って盛大に夜会を楽しむのです。
焚火を囲み、酒を酌み交わし、釣りと山の話に興じ、石ころの上で眠って川原乞食の自由を満喫するのです。
明かりを灯し焚火を起こしたらさあ夜会に突入です。





先ずはこの出会いに感謝して乾杯です。
さあ、年々進化する釣り師たちの川飯を楽しみましょうかね。






熊さんが山から掘り出した自然薯が振る舞われます。
この自然薯がなければこの夜会は成立しないほどみな待ち焦がれているのです。
つきたてのお餅のような食感に集まった川原乞食たちは魅了されてしまうのです。






山釣りと海釣りをやる相模の釣師さんが釣りたてのイカ刺しとイカの一夜干し、赤霧島を差し入れてくれました。
コリコリのイカ刺し、燻製のような一夜干し、一味上の赤霧島を堪能し心地よく酔いしれるのです。



 





熊さんが特性のタレで仕込んだシロコロを焼き始めます。




この絶品のシロコロも夜会の定番になってしまいました。



みな待ちきれずにシロコロへと突き進む超人気メニュ-になってしまいました。




yukkyちゃん定番の鶏ステ-キも進化を遂げて旨い!



 



今回は信州佐久のじじさんも参加してくれました。
昨年11月にカヌ-で下った千曲の夜会でご一緒して以来の再開、僕と同い年の穏やかな人柄に引きつけられるのです。
今回はご当地のやわらかジンギスカンと地酒2本をご用意頂き舌鼓を打ちました、感謝感謝です。







み-さがちゃん(相模の釣り師さん)がちゃちゃっと焚きあげたご飯と残りの自然薯でとろろご飯、これも絶品!
み-さがちゃんの飯炊きもなかなかのもので良いお嫁さんになれそうです(実は男です)







イワシとコマイの干物、いやあ酒がすすみます。
でもこれで飯を食べたら旨いでしょうねえ。

 





いやあ、もうムリもう食べられまへん。
よくもまあこれだけの酒肴が次から次へと出てくるものだと感心してしまいます。
僕が振る舞うはずであった豪華料理は結局出番がなくお蔵入りとなりました、残念ですねえ。

〆はこれも定番になりつつあるヒロキチさんの野菜ス-プ
進化したピリ辛のス-プが満腹の胃袋に心地よいのです。
しかしまあ家では何もやらない男たちもなぜに川飯ではこんなに旨い料理ができるのでしょうか?





怒涛のように喰って呑んでしゃべって笑いあった男たちの夜会
お腹も心も満たされたら焚火を囲んで語らうもよし、シュラフにくるまって眠るもよし
今回は初参加のgoodspeedさんが朝まで焚火を守ってくれました、これにも感謝感謝です。










午前5時45分、爆睡したヒロキチさんが目覚めの野菜ス-プの準備です。





胃に優しいヒロキチさんの野菜ス-プと、じじさんに淹れて頂いたコ-ヒ-で清々しい朝が明けました。

 

そしてgood speedさんのお蕎麦、なんとなく駅蕎麦を彷彿とさせる懐かしい味でござんした。

 



サラリ-マン時代に毎晩つき合わされた飲み会の虚しさ、時間の無駄をいやというほど味わったものでした。
それに比べて川原乞食の夜会で味わう安らぎと解放感、この違いはいったいどこにあるのでしょうか?
気の合った仲間と損得なしに素のままで付き合える心地よさ、これこそが一番大切にすべき宝物なのかもしれませんね。





最後に記念写真、今年は新たに佐久のじじさんとgood speedさんが参加してくれました。
ここに放浪の源流師Nさん、ハ-レ-乗りのボブさん、幼馴染のオ-ちゃんがいないのが何よりも残念なこと
来年こそはぜひ一緒に呑めることを期待していますね。





ゴミひとつ残すことなく綺麗に後片付けをして撤収です。
また来年、山や渓でそれぞれに心ゆくまで遊び尽くしてまたここ大河原で焚火を囲めることを楽しみにしたいと思います。



ここに集った河原乞食たちに感謝感謝です。

また来年、是非ここで会いましょうね!

コメント (30)
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