山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

未踏峰

2013-02-11 23:54:52 | 山歩き.散歩
久方ぶりに休みを取った。
3週間分の蓄積疲労は山で癒すのがいい。
雪の山を歩きたいのは山々だけれど今の僕には八つや木曽駒は遥かに遠い。

そんな時はふる里の山がいい。
2時間ほど人のいない山を徘徊してVル-トの小ピ-クにテントを張った。

四方を走る稜線が淡く霞んで青空と山とを分ける。
すでに山からは雪が消えて小ピ-クの陽だまりは暖かくてとても気分がいい。







テントの傍らに荷を広げて早目の山飯を楽しむ。
時々遠くで轟く猟師の銃声が無粋に静けさを破る。
ふる里の山とは言え他人の山に無断で天泊をさせてもらう、だからこそ直火は慎みたい。








枯葉のうえに寝そべって日がな一日『未踏峰』を読んだ。
山とは無縁であった3人の若者がヒマラヤの未踏峰に挑む物語。

知的障害の慎二、アスペルガ-症候群のサヤカ、薬物依存から罪を犯してしまった裕也、
人生を諦めた3人は北八ヶ岳の雨池の畔にある山小屋『ビンティヒュッテ』で出会う。
この小屋で働くことになった3人は小屋のオ-ナ-『パウロ』さんから希望を抱くこと、未来を信じること教えてもらう。
現代社会に溶け込むことができないという問題を抱えた彼らが、自分たちの再生を賭けて未踏峰ビンティチュリ(祈りの峰)に挑む。

不思議な出合いに、友との絆に、一歩踏み出す勇気に、諦めないことに、何度読んでも涙を誘われる。






山とはいったい何なのだろうか?
生きるとはいったい何なのだろうか?
3人の見つけた解が、この物語の中にはある。

山は何も言わずに優しくこの身を包んでくれることもある。
自然の猛威を楯に人が立ち入ることを毅然と拒絶することもある。
地球上に、こんなに美しい場所があったのかと息をのむほどの感動をくれる。
息を切らし喘ぎながら歩を進める一瞬一瞬には余計な観念が消えて空になれる。
そして、山飯とビ-ルが文句なく旨い!

それが僕にとっての山、かな?












独りだけの山の夜、とても暖かな時間でした!








コメント (26)
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