山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

神の川『癒しの谿』に遊ぶ

2008-07-27 17:26:48 | フライフィッシング
この季節になるといつも同じ事を考えてしまう。
夏の太陽は、どうしてこんなにも単細胞で心配りができないのだろうかと。

他の季節は人間の心を少しずつ刺激し情緒を呼び覚ますように十分な時を経ながら
まるでグラデ-ションを描くように変化してゆくと言うのに。

夏はそれが当たり前であるかのように、いつも突然にやってくる。
こんな季節は清浄なマイナスイオンと冷気に満ちあふれた急峻な谿に
身を置くことで真夏の素晴らしさをより一層体感することができるのだ。

今日は、釣友Nさんとふたり神の川の『癒しの谿』に遊んだ。



林道歩きでヒ-トアップした体は、谿に一歩踏み入っただけで心地よい冷気に包まれク-ルダウンしてゆく。
灌木に覆われた谿のトンネルは、清冽な流れが発する飛沫の冷気で充ち満ちていた。



F1の滝を越えてから竿を出す。
この暗い流れの底には美しいイワナが潜んでいるに違いないのだ。



無我の境地でイワナと対峙する。
流れの中に潜むイワナを想像してインジケ-タ-に集中していると、心と体は究極まで研ぎ澄まされてゆく。
ボクたちは、この谿に何を求めて通い詰めるのだろうか?



落差15メ-トルの美しいF2の直瀑。
二段目の滝壺の巻き返しに打ち込んで漂わせるボクのフライを滝の主は無視した。
もっと修行を重ねてから出直すがよい、無言の主の声が心に響いた。



F2の右岸を直登する。



2本目のトラロ-プを超えてピ-スサイン、落ちるで~!



直登する右岸からは、朝日を浴びて落ちる純白の飛沫が美しい舞のように見えた。



滝上の水量衰えず素晴らしい流れが続く。



たとえ一時でも下界の喧噪と世俗のしがらみから離れて無心に自然と対話する。
ボクたちが、この谿に求めているのはそんなことなのかも知れない。



今日のイワナはご機嫌斜めなのだろうか?
二人ともバラシの連続で、ランディング出来たのはチビイワナが3尾だけであった。

もう少し進むとF3、F3を超えれば45メ-トルの大滝である。
先々週、大滝の上流でNさんは尺上を釣り上げた。
連チャンで尺上を釣り上げるのは谿の主に失礼かと、今日は手前で引き返した。



F2をのぞき込む。
自然の造形のなんと素晴らしいことか。
4時間の遡行の途で出逢うすべてのものに感嘆の声を発してしまう。



Nさんが先行して右岸を下りる。
今日は溪魚の画像が少なくてネタ不足である訳よね~。
『たのむ~、落ちてくれ~!。ずり落ちてネタ作りに一役買ってくれ~!』

しかし邪悪な念は谿の神に振り払われてしまった、残念であるね~。




谿を下る途中で二人の釣り人に出逢った。
釣れても釣れなくても、この谿に身を置いていることで満たされているのかも知れない。
そんな達観している立ち居振る舞いが素敵だと感じた。



谿を出て林道に上がると猛暑の世界に逆戻りである。
H沢の最下流、冷たい水をかぶって身体を冷やして清めた。
遅めの溪食はコンビニ仕様で我慢だ。

谿の途中でもビ-ルを2缶づつ飲んだ。
釣友と交わす釣り談義は飽きることがない。
いつしか持参したビ-ルと黒霧島2本が空になっていた。



冷たい冷や麦で〆て貴重な1日は満たされた。
あとはこの水辺で心ゆくまで眠るだけである。



多分、こんな一日が欲しくてボクたちは生きているのかも知れない。
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お花摘みキャンプin秋山川

2008-07-20 23:13:30 | フライフィッシング
今日は私のメインフィ-ルドのひとつ、秋山川に嬉しい客人がおいでになる。
釣友H氏率いるグル-プで、うら若き女性も6人いらっしゃるとか。

早朝に出立して幾つかのテン場候補をロケハンしてまわる。
H氏のリクエストはキャンプ場はNG、設備も何もないまったくの自然の中でのキャンプを経験させてあげたいと。

でもねえ、若い女性が6人もいるのに『お花摘み』をやらせて良いものだろうか?
待てよ、これはもしやキャンプ経験のない若い女性たちに、『野に放つエクスタシ-』に浸らせて
病みつきにさせてしまおうというH氏の深慮遠謀があるのではないだろうか?



河原に直接アクセスできるテン場には、朝露を浴びたオオバギボウシやヤマユリが純白の蕾をつけて百花繚乱の時を待っていた。


待ち合わせまでには十分な時間がある。
何年ぶりだろうか、本流の上流部でロッドを振ってみた。
たまにはこんな里川でのんびりやるのも良いものである。



遊んでくれるのはパ-マ-クもまだ丸い無垢なおチビちゃんばかりである。
そこのアナタ、くれぐれもこんな幼気(いたいけ)な子供を欺したりしてはなりませんぞ。





今日はレインボ-も欺されちゃってます。



本流の上流部はこんなボサっ川の里川、午前の部はここで脱溪し待ち合わせ場所へ。



10時半、テン場ではオオバギボウシもヤマユリも開き初めておりました。
若き女性たちも『お花摘み』を覚悟してか、テントの設営やら溪食の準備にテキパキと取りかかる中、私は午後の部へ。



支流『王の入川』の最上流部は昼なお暗い不気味さがありまして。



ここにネイティブがいるはずなのですが、昼飯にビ-ルをやってしまった体は
だるくて集中力もイマイチ、これでは○ボも仕方ありませんわな。
帰り道、林道で出会った山工事の人たちから聞かれたんですわ『釣れましたか?』ってね。
『いやあ爆釣ですよ。でもチッチゃくて~』と言って午前中に釣れた可愛いチビメたちの写真を見せてあげましてね。

だってビ-ル飲んじゃって集中力減退して○ボでしたなんて言えないっしょ。
ボクって見栄っぱりかしらね~?




さて、喉がビ-ルを欲しがってます。テン場へ急ぎましょう。



いやあ、人がいて、煙が立ちのぼる情景、このなんとも言えぬ暖かみ、ええですなあ。
しかもみな釣り好き酒好きとくればもう言うことありませんわ。



私もさっそく仲間に入れて頂いて釣り談義に花を咲かせます。



人間というものは、自然の中ではみな無邪気な子供に還ってしまうものなんですな。



すぐに立ち去るつもりでいたのにナント3時間も話し込んでしまいました。
釣りの話、料理の話、山の話と楽しい時間を共有させて頂きました。
H氏のお陰でまた大勢の若者と友達になれたことに感謝感謝です。



この後も彼らは飲み続け、そして『キジ撃ち』と『お花摘み』の快感に酔いしれたことでしょうね。
はっ、病みつきになっちゃった?H氏の策謀にまんまと嵌った若者たちの姿が目に浮かんでしまいます。



そして翌日、私とカミさんはH氏から頂いた手作りの珍味と麦焼酎『博多小次郎』を前に、
真っ昼前から人生を語りつつ美酒に酔いしれたのでありました。

えっ、それからどうしたかって?
老犬モモと3人で川の字になり、夕刻まで幸せの眠りに就いたのでありました。

これもまた至福の時である訳サ-。

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文化のちがい?

2008-07-12 21:31:35 | モモ
みなさん、こんにちは。
我が家の最長老『モモ』です。

私はいま18才、人間の年齢にするとちょうど100才くらいでしょうかね。
犬時間というのは人間の6倍の早さで進みます。悲しいかな老いも6倍の早さで進む訳ですね。

むく犬だった私も、いつの間にかお父さんとお母さんの年を追い越して
今では身体も思うようにならないおばあちゃんになってしまいました。

自分の足では5~6歩しか歩けないけれど、お父さんの手を借りて
毎日6~7回10分ほどのお散歩を欠かさず楽しんでいるんですよ。

さあ今日もまた、楽しみにしているお散歩に行ってきますね。



補助具とお父さんの手を借りて歩いていると、
まるで自分の足で歩いているようでとても満足するんです。

お散歩をしていると、顔見知りの人たちが『モモちゃん頑張ってね』なんて
優しい声をかけてくれて、私も嬉しくてつい頑張って歩いてしまうんですね。

でもね、時々出会う外人さんたちからはね、『なぜ安楽死させてあげないの?』って
不思議そうな目でみられるのでお父さんもお母さんも心を痛めてしまうのです。
多分、私がむりやりお散歩をさせられているように映るのかしらね?



ある日、老犬介護の本を読んでいたお父さんとお母さんが、こんな話をしていました。

『アングロサクソンという民族は、動物を結局は家畜としか見ていないんだね。
だから、動けなくなったら簡単に安楽死させるという発想になってしまうんだ。
文化の違いって、こんなに大きいんだよ。理解し合うのも簡単じゃないね。』



10分のお散歩から帰ると、もう疲れてしまってぐったり。
でもこの疲労感がとても好きなのです。
これから足を洗って乾いた喉を潤して、ご飯を食べさせてもらいます。



今日のご飯は『鶏肉とご飯のジュレ』
ジュレですよジュレ、とてもおいしくてペロリなのですワン。
いつもお母さんが色々なメニュ-を考えてくれて、ご飯の時間は一番幸せな時間なのです。



そして涼しい部屋でおやすみなさ~い。
夜は毎日お父さんが寄り添って眠ってくれて、真夜中にも散歩に連れ出してくれるのです。

『モモが最後まで幸せな犬時間を送れるように面倒見てあげようね。
ずっと私たちを信頼して寄り添ってきてくれたモモへの恩返しだからね』

『あぁ、モモが若かった頃よりも、ゆっくり寄り添っている今のほうが
ずっと分かり合えるような気がするな』

私は日本に生まれてつくづく幸せに思います。
日本に生まれたからこそ、最後まで犬時間を全うできるのだと思います。

旅行に行けないお母さんにも、山に籠もれないお父さんにも申し訳ないけれど
私はまだこれからも頑張って幸せに生きたいと思っています。
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神の川ヒュッテ復興!

2008-07-05 23:45:23 | フライフィッシング
文月 初旬 炎天下。
こんな日の避暑は『神の川』で喰う寝る遊ぶと決めている。

復興した『神の川ヒュッテ』もこの目で確かめておきたかった。
1階部分が殆ど埋没していたヒュッテは見事に蘇っていた。
ヒュッテを愛する沢山の人たちから寄せられた義援金とボランティアの力、そして熱い想いが結実した証である。



10月の再開が待ち遠しい。
また、スト-ブを囲んで茶飲み話が出来るだろうか。

明日は恒例の『北丹沢12時間山岳耐久レ-ス』
朝からボランティアの人たちが準備を進めていた。



これからH沢に入る。



この辺りにも熊が出没している。
6月には釣り人がヒュッテの入り口で遭遇したと言う。
熊、ヘビ、蜂、山ビル、どれも皆ぞっとする。
出てきてみやがれい、しっぽ巻いて逃げたるぞ!



緑のトンネルとほとばしる流れが相まって、清涼感はひときわである。



こんなポイントからは、、、絶対に、、、、、出なかった。



こんなとこ絶対ムリっすよねえ。



去年の台風以来、障害物が多過ぎますね。
向う側の岩陰に隠れて、左隅の暗い巻き返しを狙います。
小さい沢の溪魚は、一度喰い損ねたらもう二度とアタックして来ない。
だから正確なプレゼンとドラグフリ-が不可欠、だからこんな沢でもロングティペットなのです。



やっぱり来ましたねえ。
12番のテレストリアルをがっぶり咥えています。
考えてみたら今年初めてのイワナでござんした。



ちょっとスレンダ-だけど8寸ありました。



もうここからはチョウチン釣りしか歯がたちましぇん、オシマイ。
ちょっと早いけど、川飯とお昼寝ですな。



刻みネギたっぷりの卵焼きを焼きました。
ちょっと質素、でも溪ではこれで十分っすよ。
ビ-ルと焼酎でまったりしたら、マイナスイオンをたっぷり浴びながらのお昼寝。
こんなひとときが一番好きかな。



たっぷり眠ったらヒュッテに帰ります。
秋にはヒュッテから立ちのぼる煙が見られそうですね、うれしいなあ。



ヒュッテに寄り添うように咲く『テイカカズラ』
清楚な佇まいに、思わず抱きしめたくなってしまいます。



ヒュッテの前庭はすでに明日の準備が整えられておりました。



帰り道、山岳耐久レ-スの下見とトレ-ニングでしょうか。
30度の炎天下を走る6人のランナ-に会いました。

山坂道を12時間も走り続ける過酷なレ-スに今年も2000人が参加するんですって。

皆さん、頑張ってくださいね!
スタ-トとゴ-ルは『いやしの湯』
完走した人も出来なかった人も、〆は温泉と冷たいビ-ルが待っていますからね。



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里山

2008-07-02 01:02:53 | フライフィッシング
暖かい午後のひととき、ふる里の里山で過ごした。

秋山川の支流『王の入川』
王の入園の上流を源流まで釣り上がる。
緑濃い溪がすがすがしい。下界の喧噪を離れて素になれるこんなひとときが好きだ。



雨による増水。
平水時の水量はこの半分もない。



ここまで来ると、稚魚放流されて遡上するヤマメよりもネイティブの方が多い。
釣れてくるヤマメは、おしなべて黒っぽい体色をしている、これがここのネイティブの特徴だそうである。



この更に上流が源流帯。
魚影は極端に少なくなるが、ネイティブの美しさに魅せられてしまった男は更に遡行を続ける。



と、流れが二股に分かれる中州に聳える大木の上で枯れ枝が折れる乾いた音がした。
バキッ、ザザザ-。見上げると黒い影が大木の幹伝いに落ちていった。
ドスンと言う音はなかった。猿か?木から落ちる間抜けた猿がいるのか?
だとしたら小熊?今日は熊対策は何もしていない。急に恐怖心に駆られた。
急な斜面の藪をこいで林道に這い上がる。また今日も半端な行程になってしまった。



『いやしの湯』で汗を流し、少し眠った。



そして里山へ。



このトンネルを抜けると11戸の小さな集落がある。
手入れの行き届いた坪庭のような里山の風景に身を置いていたい。



あじさいが道を挟んだ斜面とあぜ道を飾っている。



ビワの実の色が優しい。



山ごぼうの花。
自然の色合いは何故こんなにも優しいのだろうか?







ひとしきり集落を散策して。
ベンチで食事をしながら、その刻を待った。



午後8時。
里山は暗闇に包まれた。
集落の中心の橋にはお爺ちゃんが4人、5歳ほどの女の子が一人、その刻を待っていた。

話しかけると、杖をついたお爺ちゃんが私を案内してくれた。
去年はたくさん出たのに今年は少ないと言う。


小川のそばのあぜ道に踏み入ると、、、、点滅する源氏蛍の舞が、、、見えた。



ここにも一つ。



葉の上で点滅しているのは幼虫であった。



ここにも。



9時半までの一時間半、暗闇に舞う光を子供のように追いかけた。
蛍の乱舞はなかった。お爺ちゃんと数えた蛍は12。

秘めやかな舞であった、でもその方が却って良かった。
残された自然が、すごく貴重であることを実感できたから。



今週土曜日、この里山では『あじさいとホタル祭』が催されます。
里山の風景とホタルの舞、古き良きあの頃にタイムスリップしてみませんか。
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