山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

雪の菰釣山

2013-01-20 21:43:40 | 山歩き.散歩
山屋の習性というのだろうか、雪が降るとワクワクしてしまう。
それが大雪ならばワクワクを通り越してそわそわして落ち着きがなくなってしまう。
今回の雪は丹沢の山々にもかなりの積雪をもたらしてくれた筈である。

そんな訳で土曜日、幼馴染のオ-ちゃんと菰釣山を目指した。
道志の道の駅からは単独行のベテランが先発し、続いて中年のご夫婦が出立した。
僕らはラッセル泥棒を決め込んで2パ-ティを見送った後の午前9時半にザックをかついだ。

林道を歩き始めて30分ほどして鎌倉の若い2人のパ-ティに追いつかれた。
林道の積雪は35センチ、ここでお互いに写真を撮ってから2人に先を譲った。

写真を見るとオ-ちゃんのヤッケも僕のハ-ドシェルも25~30年も前のもので時代を感じてしまう。






登山道に入ると積雪量は更に増す。
積雪期の山では、雪の深さと同じだけ足を持ち上げないと歩けないから太ももへの負担は相当なものになる。





ここで45センチ、僕はツボ足のままキックステップで快調に進む。





これが30年前の山屋のスタイル、今は装備やウエアの進化に目を見張るものがある。





ここでオ-ちゃんはアイゼンを装着した。
この状況でアイゼンは必要ないのだけれど太ももがつってしまってキックステップができず滑るのだという。





ここで積雪65センチ、右手のステッキがここまで埋まってしまう。
ずっと僕が先行してオ-ちゃんが足を上げなくても済むようにラッセルを続けた。
丹沢では珍しいパウダ-スノ-、一歩踏みしめるたびにキュッキュッと泣くサラサラの雪が心地よい。

あぁ雪の山はいいなあ!
でも夏靴の中の足指が凍りついたように冷たくて痛い!





オ-ちゃんも何とか登り続けている。
オ-ちやんのためとはいえ雪を払いのけながらのラッセルは結構きついのだ。
頑なに軍手を貫き通しているオ-ちゃんの左手の軍手の指先はすでに凍りついている、昔とは違って冬に軍手はアカンぞ!





稜線に上り詰めて10分ほどで避難小屋に到着した。
オ-ちゃんの12爪のアイゼンもスパッツもレトロな時代を感じますなあ。
ここで、テッペンまで登って富士を仰ぐか、小屋で酒盛するかを議場に諮ると満場一致で酒盛案が採択された。
パチパチパチ、これこそ山屋としての至極賢明な選択であろう、かくして流麗な冬富士は幻のままに終わることとなった。





そうと決まれば、先ずは雪を集めて鍋用の水作りから始める。





取りあえずのビ-ルが喉に染みるのです。
オ-ちゃんの右腕の下には鬼ころしがしっかりと鎮座しちょります。
今日の鍋は鶏つくね鍋、今回はこの3倍の食材を担ぎあげております。

 



さあ1回目の鍋が煮立ちました、さあさあ宴会の始まりだす。
酒はタップリあるしピ-クハントを諦めた代わりに呑めるだけ呑むのです。





鬼ころしが効いたのでしょうか、山靴の中で凍り付いていた足指がホカホカしてきました。
やっぱり雪山には日本酒でございますな。





〆はキャベツたっぷりの塩ラ-メン、こんな別荘での一日も格別なものがありますね。

 



午後3時、さあ下山です。
足がふらついていてもブナの稜線歩きは気分爽快なのです。





ブナ沢の分岐からの下り





ひどい急斜面です。
ここをラッセルしながら登ってきたんですからね、しんどい筈です。





こんな急斜面ならトレ-スをショ-トカットして滑降するのが一番楽ちんなのです。
子供の頃に帰って、グリセ-ドじゃなくてシリセ-ド、いやあ雪山はホントに楽しいですねえ。
峪まで滑り落ちても、この雪なら死ぬことはないでしょ。



 



オ-ちゃんもシリセ-ド





雪の山は還暦を過ぎたオッサンをこんなにも無邪気に変えてしまう魅力があるのですねえ。





雪まみれになってても顔はニコニコしちょります。





標高が低くなるとブナからナラやクヌギの雑木林に変わります。



 



たっぷり歩いた今回の山旅は心地よい疲労感の残る充実した山旅となりました。





ブナ沢を渡ると旅の終わりです。







山は雪の季節が最も美しくておもしろい。
改めてそう認識させてくれる山旅になりました。









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雪ですね!

2013-01-14 15:03:05 | 独り言
午後3時現在の積雪、僕の住む府中では約9センチといったところでしょうか?
まだ夜まで降り続くであろうこの雪は東京としては大雪といってもいいかもしれませんね。

おそらく丹沢や道志の山々でも20センチを超える積雪になるものと思われます。
嬉しいですねえ、ワクワクしますねえ、雪を見るとなぜこんなにも心が躍るのでしょうか?

当然今週末は雪のてっぺんに登って富士を仰ぎながらの山飯ですね。
この3連休は缶詰になっていたので鬱憤晴らしにはちょうどええですよね。






さて皆さん、巷で使われているアウトドア(アウトドア アクティビティ)という言葉をどのように解釈しているでしょうか?
野外活動という意味でしょうから、広義に解釈すれば大自然に分け入る登山も沢登りも山釣りもすべてを含むのかもしれません。
狭義に解釈すれば、自然の入り口まで車で行ってキャンプして焚火してバ-ベキュ-なんかもやりながらまったり呑んで、
その場所から大自然を眺めながら非日常のひとときを楽しむといったところでしょうか?

どちらの解釈をとろうととやかく言うつもりはないのですが、僕は後者の解釈をとっています。
いわゆるアウトドアと、例えば大自然に分け入る登山とでは危険の種類も度合いも大きく違うし使う装備もまったく違ってきますね。

僕はどちらもそれなりに楽しんでいるので優劣や上下をつけるつもりは更々ないのですが、
野外で遊ぶ我らはこの両者の違いを明確に理解し肝に銘じておく必要があろうかと思うのです。
この違いを理解していれば少なくとも真冬の富士に防寒具もなしにスニ-カ-とチノパンで登るような無謀な行為はなくなると思うのですが、、、

今週末、晴れるといいですね
目いっぱい仕事に励みながら週末を楽しみに待ちたいと思います。
少なくとも我らは心して大自然の中で遊ばせてもらおうと思います。




さて、この週末は孫が遊びにきていました。
毎月1度は遊びにくるのですが今月は妻の誕生日、早いもので孫も6か月になりました。

息子の嫁が毎日写メを送ってくれるのですが
孫の姿がそこにあることで部屋の中は暖かくて平和な空気に満たされるのです。






幸せの形は決して一様ではないけれど
こんな平和な時間もいいものですネ!







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菰釣山へのVル-トを踏む!

2013-01-06 22:45:51 | 山歩き.散歩
Vル-トを踏む、そんな計画が初めからあった訳ではなかった。

愚かにも初っ端から入山口を間違えてしまった。
山屋にあるまじき大チョンボをかましてしまい止む無くVル-トを踏む羽目になったという訳で
新年早々なんとも恥ずかしいことをしでかしてしまったという顛末でございます。

今年の初山詣では、道志を起点にブナ沢乗越に上がり、菰釣山で初富士を仰ぎ、城ヶ尾峠を経て畔が丸の避難小屋に泊まる
翌日は加入道山から大室山へピストンしてから再び道志に下り、道志温泉で汗を流してまったりするという計画を立てていた。

先ずは三ヶ瀬川沿につけられた林道を1時間ほど歩いて枝沢の大西沢を渡り、更に林道を歩いてブナ沢の右岸から入山する、、筈であった。



三ヶ瀬川支流の西沢、ここはヤマメの沢でフライフィッシングを覚え始めたころにはよく通ったものでした。





どちらも人の形に見えませんか、自然の創りだす造形美は見事ですね。





午前8時半、1本目の大西沢を渡ると、菰釣山への指導標が、、、、これ、どう見てもこの道を行けと指示していますよね?
おかしいと思ってこの先の林道を見るとゲ-トに通行禁止の札がぶら下がってる、ということは、これが新しい入山口か?
次の沢の右岸から入山する筈だけれど、僕の山地図は滅法古くて、もしかして旧道が崩壊して新道ができたのかも?
そんなことを考えながら、つい入ってしまったんですね迂闊にも、この道に、、、(正しい入山口はやはりこの次の沢からでした)





ほら、ちゃんとした道でしょ?





15分ほど登ると、苔むしたゴロタ石に変わります、でも踏み跡はしっかり付いているし倒木には青リボンも付いてる。
更に進むと両手を使ってよじるほどの急勾配になって、こりゃ登るのはいいけれど下りるのは絶対にムリだと
少々不審感も湧き始めたのだけれど相変わらず踏み跡もあるし進んでいく方向には倒木に青リボンも付いているし、、、。

岩だらけの急勾配と格闘すること20分、ようやく尾根らしき場所に出ると細い仕事道になり、更に辿ると極細の鹿道になってしまった。
いつしか青リボンも消えて入山口を間違えたという不安が、ここで確信に変わった、こんな時には絶対に元に戻るべきなのだが僕は進むことに決めた。
このまま尾根を登り続ければ稜線上の登山道に出合えることは山地図を見れば明らかで大事なことは尾根を外さないこと、よしVル-トを楽しもう。

背の低い笹が一面に広がる林の中を細い鹿道が縦横に走り、その中から尾根に近い鹿道を選んで辿る、藪漕ぎを思えば遥かに歩きやすい。
午前11時までに登山道に出なかったら戻ろうと決めて、帰りに迷わないようにと何度も後ろを振り返りいま辿ってきた風景を脳裏に焼き付けた。
3メ-トルもの背丈の笹の密生地では鹿道が消えてしまって、まさに藪漕ぎの連続となる、しかも延々と登りが続く。
真夏なら蒸し暑さと藪蚊とダニの攻撃で辟易していたであろうが真冬で本当に幸いであった。
1時間ほど登ってようやく登山道があると思われる稜線が見えてきたのだけれど、なかなかそこに辿り着けなくて少しだけ不安がよぎる。





午前10時すぎに突然、登山道に出くわして目の前が開けた。
登山道を登れば40分のところを1時間半以上かかったことになる。
Vル-トを楽しんでしまったために50分もタイムロスしたことになる、でも道なき山もおもしろかった。
地形図は持ち合わせていなかったけれどル-トは単純だし、ツェルトも酒も食料もあるからビバ-クも悪くないと思ったりもして。





僕の辿ったル-トは矢印の付いた青線、尾根のど真ん中を登り続けて想定どおりにブナノ丸寄りの稜線に出た。





それを確かめるために西に10分ほど進むとブナノ丸の標識が確認できた、ここで長めの1本をとってちょっとした達成感に浸る。





菰釣山に向けてしばしブナの稜線歩きを楽しむ。
藪漕ぎすることを考えれば登山道なんてまるでアスファルトの道路みたいに感じてしまうから不思議だ。






菰釣山(こもつるしやま)のてっぺん1379m
ブナの老木が爺さんみたいで実にいい味を醸している。





真正面には、大きなカンバスに描かれた雪化粧の富士がひときわ空の青さに映える。
富士に登りたいとは思わないけれど、この流麗な美しさを仰ぐとなぜか感動し気分がスカッとするのだ。





遠く西北西を望めば南アルプスだろうか、冠雪した連嶺が美しく輝いている。
山座同定は得意ではないが方向からみて八ヶ岳ではなく赤石、荒川三山あたりか、手前は御正体山であろうか?





今回の菰釣山は風もなく暖かくて冬にしては穏やかな日和であった。
避難小屋で風を避ける必要もなく、ここで富士を眺めながらの山飯とする。
何となく今日の山行に満足している自分に気づき、明日の山行は中止してここで呑むことに決める。





先ずは霊峰富士に新年のご挨拶でございます。
今年も安全に山歩きと山釣りが楽しめますように!





誰もいない山頂で2時間まったりと山飯と昼寝を楽しんだ。

 



さあ下山しよう。





途中で、凍った道を走るように下る若者に追い越された。
この日、出合ったのはこの人だけ、静かな山歩きがしたければ表丹沢よりも断然裏の方がいい。









菰釣山の避難小屋、広い前庭は整地されていてテ-ブルがふたつ





丹沢の避難小屋は黍殻山以外はどこもみな同じような広さとレイアウトになっている。
宿泊者名簿を見ると、この年末年始は毎日1人~2人が泊まっているようだ。
室内は清潔に管理されており宿泊者のマナ-の良さと管理者の心配りが伺えて清々しい気持ちになる。









ブナ沢の分岐を下る、本来ならこの急登を登って来る筈であったのだ(急登でも道があるのは有難いことです)








今回の反省点!
山梨県側の指導標は、至れり尽くせりの神奈川県側に比べると極めて貧弱で不親切だと思います。
でも、山ではそれが当たり前のことだと達観することも必要なのかもしれません。
指導標を信頼しすぎるのも少々危険であり、あくまでも山地図と事前の情報収集の大切さを悟った一日でありました(完)
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予感!

2013-01-02 01:25:14 | 独り言
       『我々は未来を予測できない。だが、未来を創造できる。』
       これは、名著『ビジョナリ-カンパニ- 4』 の冒頭の言葉です。

       人生は不確実であり、未来もまた未知である。
       ましてや混沌とした時代に直面して、これから何が起きるかを予測することは不可能に近いこと。

       だからこそ、人生は面白いと思うのです。
       どうやって自分の運命と向き合い、自分の人生を創造していくのか?
       
       もう、三流の政治を当てにするのはやめにして自らの信ずる道を愚直に歩いて行きたいと思うのです。
       学び続け、少しずつでも進化し続けることで、今年もまたおもしろい1年になるような予感がしています。
                 




                  





       さて皆様は、新しい年をどのようにお迎えでしょうか?
       私は妻とふたり、朝昼晩と頂き物の美酒を酌み交わし、ほろ酔いの寝正月を堪能しておりました。




                  



       この時間に起きだして、山道具をザックに詰め込んでいます。
       コイツと山旅をするのは何年ぶりになるでしょうか?

       無骨だけれど頑強で頼りになるこの相棒に詰め込んだのは自由という空気です。
       自由という空気を背負って、この相棒と冬枯れの山を少しだけ歩いてみようと思います。

       この相棒と一歩山に踏み出せば、僕の心は自由と解放感に満たされるでしょう。
       自由はまた不安と恐怖を伴うものです。
       真冬の山でも、ツェルトと火と酒と食料がありさえすれば、どこでだって夜を明かせます。
       コイツに詰め込んだ道具の一つ一つが、そういう自由をも保証してくれる心強い相棒であるのです。


       今年もまた仕事に学びに精進しつつ、山遊びと山釣りを堪能したいと思います。
       山と釣りで繋がった仲間たちと、感動を分かち合い、支え合いながら歩いていきたいと思います。
       焚火を囲み、酒を酌み交わし、語り合い、屈託なく笑い合い、癒されたいと願っています。

   
       
       僕に付き合ってくれるすべての仲間に心から感謝します。
       そして、山と峪への皆さんの旅が事故なく締めくくれますよう心から祈っています。




       最後に、これから始まる1年が皆様にとってワクワク楽しい日々でありますように!
       
       
       
       
       

            
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